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サードパーティー  作者: なつ
第二章 一日目には過剰な演出を
14/28

 7

「問題」

「またですか、歴史は苦手なんですよ」

「むっ。それでは文化的な質問にしよう。ファウストの作者は?」

「ゲーテですか?」

「正解だ」

 甲斐雪人はシャワーのあと湯船に入っている。隣には柳ヶ瀬尋司が頭にタオルを載せて体を浮かせている。アルフレッド・インディーは未だにシャワーをずっと浴びているだけだ。

「それでは君主論は?」

「マキャベリです」

「さすがだな。では方法序説は?」

「デカルトでしたよね、確か。あまり得意分野ではないです」

「そうか。では最後にドラキュラは?」

「ドラキュラ?」

「そう、吸血鬼ドラキュラ」

「ブラム=ストーカー」

「かー、本当お前なんでも知ってるな」

「その四冊に意味があるんですか?」

「ある人にとってはある」

「柳ヶ瀬さんにとっては?」

「ない。その反応からすると、甲斐は知らないようだな」

「何をですか?」

「まあ、関係のない話だ」

 意味ありげに柳ヶ瀬は顔を上げる。眼鏡を掛けていないときの方が長髪が似合う。あの眼鏡はかなりマイナスな気がする。それに筋肉もしっかりしているし、学生服を止めてもっとラフな格好をすればいいのに、というのは甲斐の勝手な思いやりだ。

 けれど、それよりも気になることがある。

 ブラム=ストーカーのドラキュラ。

 そしてあの紙に書かれた文字。

 何か関係があるのだろうか。

 関係があるとしたら何なのだろう。

「どれ、俺はそろそろあがるかな。少し上せてきた」

「僕もです」

「それにしても、花瓶を落としたって言っていた割にきれいな気がするが」

「そうですか? 一通り掃除はしましたが、もしかしたら破片が残っているかもしれません」

「本当にそう思ってるなら、裸足でこんな場所歩けるはずがない」

 甲斐は答えない。

「来栖さんも、お前も。まあ、俺はお前たちが何かを隠しているのだろうことに察しはついているし、その内容も方法も大体想像がつく」

「何ですか!」

「さあ?」

 隠しているのは確かだが、柳ヶ瀬が意図しているのは、芹沢のことのように思われた。芹沢の行動の内容と方法の想像がついている、ということだろうか。

「ヒントを言えば、本当に高貴なものには色があるということだ」

 体を拭きながら、柳ヶ瀬は声をあげた。



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