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早田音さよの超絶物語  作者: 中二病少女
第一章 私達の出会い
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魔法学校の生徒3

 俺達は教室から連れ出され人気のない廊下の隅まで移動する。

「ごめんなさい。不快な思いをさせてしまって。生徒会長として謝るわ」

 生徒会長は俺達に対して頭を下げて謝り始める。別に生徒会長が悪いんじゃないと思うけど……。

「き、気にしないでください。全部私が悪いので」

「いいえ、全部私の責任です。私がもっとしっかりしていれば」

 しっかりしていてもどうにかなるような問題には見えなかったが……。最初に変な噂を流したやつが悪いに決まってる。

「本当に大丈夫です。クラスの人もみんな謝ってくれたしそれほど気にしてないです」

「そう言ってもらえると嬉しいです。それに神山君もごめんなさい。転校初日からこんなことに巻き込んでしまって」

「俺も全然気にしてないですよ」

「助かります。二人とも優しいですね。ではもし機会があれば――」

「こ、こちらこそありがとうございました」

「あ、最後に一つだけ――雛井さん、できればあなたの魔法はあまり使わないでほしいわ。あなたには申し訳ないけど、もしまたさっきのようになってしまうと今度こそあなたのそばでは魔法が使えないと定着してしまうかもしれません。なのでしばらくの間は魔法を使うのは避けてほしいの。では二人とも楽しい学校生活を――」

 そう言い残して生徒会長は俺達の前から去って行った。



「生徒会長っていいやつだな。わざわざ呼び出して謝ってくれるなんてな」

 生徒会をやってるからってあそこまで真剣になれる生徒会長はほんとに凄いと思う。少なくとも俺には真似できない。

「……そうですね。で、でも、生徒会長さんと話してると少し変な気持ちになってしまいます……」

「変な気持ち?どういう意味だ?」

「そ、その、上手く言えないんですけど……」

 浮かない表情でそんなことを言い始める。確かにできすぎた理想の生徒会長っぽいがそこまで言うことか?

「ごごご、ごめんなさい。私はなんてこと言ってたんですか……。助けてもらったのにそんなこと言っては失礼ですよね。今のは忘れてほしいです。生徒会長さんは頭がよくて学校内で知らない人がいないくらい有名なんです。そんな完璧な人がそんなこと私のこと気にかけてくれてちょっと動揺してました……」  

「そうだな。勘違いなんて誰でもあるからな。そろそろ授業始まるぞ。早く教室に戻ろうぜ」

「そうですね……そ、それに神山君って魔法使えたんですね」

「あ~さっきのあれか?嘘に決まってるだろ?昨日話しただろ?俺が魔法なんて使えるわけないだろ」

「え?」

 雛井は目を丸くして驚いている。気が付いてなかったのか?確かにこいつって嘘とか全部信じそうだしな。

「で、でも、どうしてそんな……、だってもし本当に滝見君と戦うことになっていたら……」

「そうだな、まず勝てなかっただろうな」

「ならどうして……」

「お前がいろいろ言われて辛そうだったから頭にきたんだよ。誰だって友達がバカにされた怒るもんだろ?ただそれだけの理由だよ」

「あああ、ありがとうございます」

 なぜか雛井は顔を真っ赤にさせてかなり動揺している。俺って今そんなに恥ずかしいことを言ったのか?

「は、早く次の授業へ行きましょう」

 雛井は照れてるのを隠すかのように教室へ歩きだす。



 教室に戻るとクラスの女子達に雛井が連れてしまった。

「ごめんね、今まで変な噂を信じて話しかけなくて」

「私もE級だし雛井さんとあんまり変わらないよ」

「い、いえ、わ、私は別に――」

 本人はいつも通り顔を真っ赤にして嬉しそうに照れていた。雛井がクラスに溶け込めて良かった。

 そういう俺も滝見や他の生徒達と普通に会話することができた。さっきあんな事があったのにこんなふうに仲良くなれるもんなんだな。これも生徒会長のおかげだな。

「神山って結局何者なんだ?」

「あーあれか。俺も適当に言ってただけで魔法なんて対して使えないぞ」

「なんだよ。そうだったのか」

「俺はてっきりすげー魔法が使えるとかと思ったぜ」

「俺も俺も」

 誤解が解けて良かった。こいつらそんなに悪いやつじゃなかったんだな。生徒会長が居なくなった瞬間にいろいろされると思ったがそんなことはなかった。高校生なんて適当な噂で人をいじめたりするからな。周りの連中が避けてるからみんなで避けよう。そんなくだらない理由でいじめにまで発展する。俺の性格からしてきっと普通の高校に通っていたらクラスで孤立してしまっていただろう。なんだかんだ言っても、この学校に来て良かったと思う。

 滝見達とくだらない話をしていると先生を呼びに行った時葉が戻ってきた。俺の為にわざわざ先生を呼びに行ってくれたし、一応ありがとくらい言っておくか。

「と――」

「つかさ!さっきは大丈夫だった?」

 名前を呼ぶ前に時葉の方から俺に話しかけてくる。

「ああ、別に大丈夫だったぞ。わざわざ先生呼びに行ってくれてありがとな」

「気にしないでいいよ。いやーほんとにビックリしたよ。いきなり滝見と喧嘩し始めるんだもん」

 やっぱりこのテンション少しうざく感じてしまう――こいつはもう少し落ち着いて話すことはできないのだろうか?

「あんなことよくあることだぞ」

「そんなことないと思うけどな、なんかつかさって変ってるよね」

「そうか俺からしたらこの世界の奴らのほうが変わってるけどな?」

「ん?この世界?」

 ――やべっ、なんてこと言ってるんだ俺!

「い、いや、なんでもない。と、ところで時葉は雛井のことどう思ってたんだ?」

 話を逸らすためとは言え俺はなんでこんな質問してるんだ!?

「直也でいいよ。むしろ直也って呼んで!雛井さんのことは知らなかったな。っていうよりは女子にあんまり興味なかったんだよね」

「そうなのか……」

 良かった……。何にも思ってないみたいだ。こいつってもしかして男なのに男が好きって言う珍しいやつなのか?ってことは俺もしかして狙われてる?

「って言っても少し前までだけどね。さっきも話してたよね?入学式の日に出合っちゃったんだよね」

 あ~そういや朝運命的な出会いをしたと訳が分からないこと言ってた気がするな。あの時はこいつと関わるのがめんどくさくてまともに聞いてなかった。

「そ、そういやそんなこと言ってたな」

「この学校の制服着てたからこの学校だと思って探してるんだけどなかなか見つからなくて……」

「どんな見た目のやつなんだ?もし良かったら俺も手伝うぞ?」

「ありがと!ほんとにつかさと親友になれてよかったよ」

 こいつの中で俺はもう親友になっているらしい。親友でも特に問題はないけど。

「見た目は長い黒髪のツインテールで黄色のリボンを付けてる子だよ」

 うーん、たくさんの生徒が俺のことを見てたが俺自身はできるだけ目を合わせないようにしてたから全くわからない。

「悪いな、そんな人は見たことないな。また見かけたら教えてやるよ」

「うん、お願いするね。ってそろそろ授業始まっちゃうよ。またあとで話そう」

「そうだな」

 気が付けば黒板の前にもう教師が来ている。雛井も席に戻っており俺達は急いで席に着いた。確か午前は普通の科目の授業って言ってたな。クラスのやつとも結構仲良くなれたしもしかしたら楽しい授業になるかもしれないな。俺は少し期待をしながら授業が始まるのを待った。

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