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早田音さよの超絶物語  作者: 中二病少女
第一章 私達の出会い
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魔法学校の生徒1

 隣を歩く雛井の姿を見る。雛井は昨日着ていた制服に身を包んでいる。一方俺は……。

「本当にこの服で学校に行ってもいいのか?」

 もちろん、俺は制服なんて持っていない。なので私服で学校へ向かっている。そもそも俺はこの服しかもっていない。またこいつから金を借りないと……。服以外にも生活に必要なものはたくさんある。

「やっぱり私の制服を……」

「だからそれはない!」

「ひい、ごめんなんさい。で、でも、神山君なら何を着ても似合うと思いますよ」

 そんなに似合ってるか?そう言われ想像する――――――自分が女子の制服を着て登校して「あ、制服間違えました。俺ってドジっ子だな。テヘ」と言ってる姿。いやいや!!なんでキャラまで変ってるんだよ!!絶対にありえないだろ!!ただ気持ち悪いだ!

「どうしたんですか?」

「いや何でもない」

 朝から変な妄想をしてしまった。こいつは俺に女子の制服が似合うなんて本気で言ってるのだろうか?



 学校まで到着する。昨日も思ったがかなり大きい学校――いかにも金持ちのやつが通いそうな感じだ。普通に暮らしてたら絶対にこんないい学校に来ることはできなかった。そもそも来ようとも思わないけど。

 それよりも――この学校より圧倒的に存在感を放つ建物。学校の真正面に建つ――これは一体どういう店なのだろうか?色鮮やかな看板には『あなたのすべてをわたしにちょうだい』と訳が分からないことが書いてある。外から覗く感じだと飲食店っぽいけど……。何を思ってこんなところにこんなふざけた建物を建てたのだろうか?正直理解に苦しむ。雛井なら何か知っているかもしれない。

「なあ雛井あれって――」

「あの――」

 俺が話しかけた瞬間、雛井も同時に俺に声をかける。

「ご、ごめんなさい」

「いや、気にしないでくれ。俺の話はたいしなことない。雛井こそどうしたんだ?」

「え、えっと、その私は少し用があるのでここからは別々に行きましょう。多分、職員室に行けば制服は貰えると思います……。あと……学校ではあんまり話しかけないでください……では、またあとで会いましょう」

 そう言って雛井は俺から逃げるように先に学校へ行ってしまった。どうしたんだ?


 ――雛井と別れて一人職員室に向かう。最悪だ……。職員室がどこにあるか全くわからない。昨日来たことがあるといっても行ったのは校長室だけだし、そもそも真っ暗な中を校長についていっただけで校長室にもどうやって行けばいいかわからない。雛井を追うか?今から追いかけて間に合うだろうか?それに理由はわからないが学校ではあまり話しかけるなと言っていた。学校では一人とか言ってたし、俺と一緒が見られるのが恥ずかしいってことなのだろうか?うーん、今からどうするか……。かなりの生徒が俺のことを見ている……。全員が学校の制服を着てる中俺だけ私服姿だ。そりゃみんな注目するだろう。でも、自分から話しかける勇気は出ない。自分のコミュニケーション能力の低さが恨めしい。まあ、ぶらぶら歩いてればなんとなるだろう。

「ねえ、あなたこんなところで何やってるんですか?」

 そんなことを考えていると後ろからタイミングよく声をかけられた。振り向くとそこには一人の女の子がいる。彼女は背は俺とそこまで変わらない。同じ年だろうか?腰までかかる長い黒髪に眼鏡をかけており、いかにも賢そうな感じだ。

「えっと、俺は今日からここに転校することになってて……」

「転校?この時期にですか?」

 女の子は厳しい視線を俺に向ける。今考えてみるとまだ入学式を終えて一週間くらいしか経ってないって言ってたな。そんな時期転校してくるなんて怪しいなんてレベルじゃないか。俺ならまず関わろうと思わないだろうな。

「昨日校長先生に言われたんだけど……制服とかってどこでもらえるかわかるか?」

「あの校長に?とりあえず職員室に行きましょ。その姿では目立ちすぎます」

 


 俺は女子生徒に連れられて職員室までやってきた。

「私の二年の早田音(はやだね)さよです。この学校で生徒会長をしています」

 こいつ年上だったのか!?てっきり同じ年だと思ってた。しかも生徒会長だなんて……。

「すみません、先輩だったんですね。俺は神山つかさって言います」

「気にしないでいいですよ。神山君ですね。あ、職員室が見えてきました。昨日校長先生と会ったんですよね?校長先生は神山君のクラスのことなんか言ってましたか?」

「雛井森里って女の子と同じクラスって言ってました」

「あなた雛井さんと知り合いなの?」

 驚いた様子で聞き返してくる。雛井と知り合いなのがそんなにいけないのだろうか?

「そうですけど、なにかいけないですか?」

「いえ、そうではないけど――私が見るといつもクラスで一人だったから心配だったんです。知り合いなら雛井さんと仲良くしてあげてくださいね」

 そうか……。あいつの言ってたことほんとだったのか。俺も学校ではほとんど一人だったのでその辺の気持ちはよくわかる。

「では、ここで少し待っててください。私が職員室に行ってきます」

「お願いします」

 そう言い残して生徒会長は職員室に入って行った。

 ――――――しばらく待ち生徒会長が帰っててくる。

「神山君、これをどうぞ」

 そう言いながら生徒会長が制服を渡してくれる。

「ありがとうございます」

「ひとまず更衣室で着替えましょ。更衣室まで案内します」

 そう言われ俺は無言で生徒会長の後ろを着いてく。



「ここが更衣室です」

「朝から迷惑かけてすみません」

「大丈夫ですよ、気にしてませんから。私は今から生徒会で用事があるので今から生徒会に行かないといけないのであとは一人でも大丈夫かしら?」

「はい、大丈夫です。いろいろありがとうございました」

「これも生徒会長の仕事だから。ではまた機会があったら」

 生徒会長は笑顔でそう言い残して俺は生徒会長と別れた。生徒会って朝も仕事してるのか。はっきり言って生徒会とか全く興味がなかったからな……。そもそも関わることも一切なかった。まあ、生徒会長と会うことなんてもうないだろう。



 更衣室で着替えを終えて雛井がいる教室を目指す。教室に向かう途中迷わない程度に校内を見て回った。校内は外見同様綺麗だった。汚れひとつない綺麗な真っ白な塗装。透明すぎる窓のガラス。遠くから見たら窓が開いているかどうかもわからない。

 朝から盛り上がっている生徒達。魔法使いって言うくらいだからさっき会った生徒会長や雛井みたいに落ち着いたやつが多いと思っていたがそんなことはなかった。生徒たちが喋っている内容も一般の学校で聞くようなものだった。やはり俺のいた学校とほとんど変わらない。どこをどう見ても魔法学校には見えない……。俺はなんて未練がましいのだ――まだこの世界が自分の世界だったらと思っている。別に今すぐに帰りたいと思ってるわけじゃないがどうしても期待してしまう……。



「ここか」

 一年四組と書かれている。確か生徒会長が席は雛井の隣って言ってたな。教室の外から中を見回す。だが教室に雛井の姿が見えない。っち、あいつ俺より先に教室に向かったのになんで教室にいないんだよ……。おかしいだろ。これじゃ俺がどこの席かわからない。転校生ってホームルームとかで自己紹介してそれから初めて教室に入るみたいな感じじゃないのか?いきなり席が増えてて知らないやつがクラスに増えてたらみんなビックリするんじゃないのか?そもそも昨日通うことになったのに俺の机なんて教室にあるのか?ああ、なんかもうどうでもよくなってきた。教室の中に入ればさっきの生徒会長みたいに誰か話しかけてくれるだろ。よし、いつもの他力本願で行くことにしよう。

「ねえ、君ってもしかして噂の転校生?」

 教室に入ろうとすると後ろから声をかけられる。なんでバレてるんだ?昨日校長に言われて急に通うことになったんだぞ。そういう魔法なのか?未来予知とかそんな感じか?さすが魔法学校ってだけはあるな。

「なんか朝来たら机が一つ増えててその話題で持ち切りだよ」

 ……………………ほんとにここは魔法学校なのか?

「大丈夫?」

「ああ、悪いな。少し考え事してた。多分転校生って俺のことだ」

「ほんと!もしよかったら友達にならない?」

 あ~俺こいういタイプ苦手だ。クラスにいても絶対に自分から話しかけないやつだ。友達になれる気がしない。関わっても特があるような気が一切しない。

「ああ、よろしくな。俺、雛井森里って子の席の隣なんだけど。どこかわかるか?」

「雛井さん?俺、女子とはあんまり話さないからな……どこなんだろ?」

 雛井ってそんなに影薄いのか?最初会った時は知らないんですか?って驚いてたくらいだし、生徒会長も知ってたから有名だと思ってたんだけどな。

「って、多分増えた席じゃないのかな?てか、俺の席の後ろじゃん!いやーなんか運命を感じるね」

 男子生徒は窓側から二列目の一番後ろの席を指さす。俺どれだけ運ないんだよ!こいつと一緒に過ごしてくのか……。このテンションはさすがにうざい。いやいや、こんなこと考えてるからいけないんだ。もっと自分から話しかけないと――それができたら苦労しないけどな……。

「俺は時葉直也(ときはなおや)って言うんだ。よろしく!」

「俺は神山つかさだ。よろしくな。えっと、とりあえず席に案内してくれるか?」

「おっけー」

 俺はめんどくさそうなやつ――時葉直也と一緒に教室に入った。



 大体の生徒が集まってきたな。俺の隣の雛井以外の席がすべて埋まっている。分かっていたことだが、みんなが俺の方を見ている。まるで転校生のせいの気分を味わってるかのようだ――実際、転校生だけど。

 いろんなやつに話しかけられるかなとか思ったが、時葉と話してるせいかほかのやつからは話しかけられることはなかった。ナイス時葉。話は全く頭に入ってないけど……というかこいつは一回話しだしたらもう止まらないのか?席に着いてからずっと話を聞かされ続けている。

「ねえ、つかさ聞いてる?入学初日にめっちゃくちゃ運命的な出会いをしたんだ。なんか警察に絡まれてた小学生を助けてたんだけどめっちゃかっこよかったんだよ!その時一目惚れってホントにあるんだなって思ったよ。つかさって恋愛とかしたことある?」

 気が付いたら名前で呼ばれている……。どんだけ馴れ馴れしいんだよこいつ……。てか警察に絡まれてる小学生ってなんだよ。

「悪いな、少しぼーっとしてた」

 今日でこの言葉をこいつとの会話で十回は使った。はっきり言ってこれ以上俺に関わらないでほしい。

「さっきから大丈夫?気分でも悪いの?」

 時葉は心配そうに聞いてくる。お前が話をやめれば気分良くなるぞって言ってやりたい。

「いやそういうわけじゃない。気にしないでいいぞ」

 時葉と会話しているとやっと知っている顔が現れる。教室の普通のドアから銀髪の女の子――雛井が入ってくる。雛井は俺に顔を合わせず黙って席に着いた。どうしたんだこいつ?雛井が入ってくるとすぐに担任っぽい人が入ってきた。

「みなさん、おはようございます。ホームルームを始める前に少し時期外れですが転校生です。もう話しかけた人はいるかもしれませんが神山君。こっちへ来て自己紹介お願いします」

「は、はい」

 先生からご指名だ。自己紹介とかしたくないな。憂鬱な気持ちになりながらも俺は自己紹介するためにこれから担任となる先生の元へ俺は足を運んだ。

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