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第97話

総司の部屋-


近藤と土方は、涙を残したまま寝入ってしまった総司の顔を見ていた。

総司が何故、泣いたのかわからなかった。


土方「…何を思ったんだろうな…」

近藤「…んん…」


近藤は、うなるような声を発した。

土方は、腕を組んでいった。


土方「なぁ…近藤さん…。総司を江戸へ帰してやらねぇか?」

近藤「…!…江戸へ?」

土方「…どちらにせよ、このままじゃ、総司は悪くなるばかりだ。姉さんの傍で養生した方がいいと思うがね。」

近藤「……」


近藤も腕を組み、黙って総司の顔を見た。


近藤「しかし、この弱りようで…江戸まで体が持つだろうか?」

土方「…そうだな…」


二人はしばらく総司の顔を見つめたまま、黙り込んだ。


近藤「…それよりも…総司が素直に「うん」と言うかだな。」

土方「言わせるさ…今回は私が悪役をすると決めたんだ。…嫌われても言わせなくては。」

近藤「歳さん…」


近藤がぽんと土方の肩を叩いた。


土方「…?」

近藤「もうお互い悪役はやめだ。」


土方は目を見開いた。


近藤「総司についてきてもらおう…地獄の果てまで…。」

土方「…!…近藤さん…」

近藤「…今、なんとなくわかったんだ…。総司が泣いた理由が…。」

土方「え?」

近藤「総司は、いつか我々がばらばらになってしまうと思ったんじゃないだろうか…」

土方「ばらばらに?」


近藤は、総司の寝顔を見ながらうなずいた。


近藤「…そして、今おまえさんが言ったことも予想したんだろう。江戸へ帰されるってな。」

土方「…!…」


土方も、総司を見た。


近藤「総司は、どこまでも私たちについていくと言ったんだ。…総司の納得するところまでついてきてもらおうじゃないか。」

土方「……」


土方は総司を見たまま、「そうだな」と呟き、ゆっくりとうなずいた。

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