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第89話

総司の部屋 昼-


永倉が急に部屋を訪れた。

総司が体を起こそうとすると、永倉が「そのままで」と制した。


永倉「…朝…副長から、一番隊を頼むと言われたよ…。」

総司「…とうとう、この日が来てしまいました。」


総司は微笑んで言った。そして永倉が制するのを聞かず起き上がり、永倉の前で手をつき、頭をさげた。


総司「くせがつよくて手を焼くかもしれませんが、よろしくお願いいたします。」

永倉「…総司…」


「いいから寝ろ」と永倉は総司の体を支えてやり寝かせた。


永倉「一番隊士達には、私の方から伝えるように言われたが…正直辛いんだ。」

総司「……」

永倉「組長が元気になるまでの間だけだと言おうと思っている。…かまわんか?」

総司「…永倉さんにお任せします。本当は私から隊士達に話ができればいいのだけれど…。」

永倉「隊士達に伝えたいことがあるかい?」

総司「沖田から、これまでよくついてきてくれた。感謝している…と…それだけを。」

永倉「ん…わかったよ。」


永倉はうなずいた。

しばらく沈黙が訪れた。


総司「…あの…伊東さんのことで何か聞いていませんか?…土方さんが何か策を練っていると言っていたけれど。」


永倉の表情が一層厳しくなった。


永倉「…どうも近藤局長を暗殺する計画が立てられているらしい。…だから、先に伊東をやるそうだ。」

総司「やるって…あの伊東さんを…どうやって?」

永倉「さぁ…それはわからん。が、とにかく伊東をやってしまったら、仲間がだまっちゃいないだろう…ということだ。」

総司「!…じゃぁ…!」


総司は思わず半身を上げた。


永倉「…藤堂だってだまっちゃいないさ…嫌でも刀を合わせねばならん。」


総司は何か胸騒ぎがした。それは永倉も同じらしい。

永倉は総司の体をそっと抑えるようにして寝かせた。


総司「永倉さん…お願いが…」

永倉「わかっている。…あいつを死なせるわけにはいかん…。近藤さんからも逃してやるようにと言われている。」

総司「近藤さんが…」


総司は、ほっとした表情を見せた。


永倉「一番隊からも何人か手伝ってもらおうと思っているんだが、構わないか?」

総司「もちろんです…自由に使ってください」


総司はそう答えてから、「あ…」と表情を曇らせた。


総司「…もう…私の隊ではなかった…」


そう呟く総司に永倉は首を振った。


永倉「そんなこと言っちまったら、隊の連中が悲しむぞ。」


そう言って、微笑んで見せた。

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