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第77話

新選組屯所 総司の部屋-


総司は膳を前に中條を待っていた。

やがて中條の声がふすまの外からした。


総司「どうぞ。」


中條がそっとふすまを開いたが、何か申し訳なさそうな表情をしている。


中條「先生…あの…」

総司「?どうしました?…何かありましたか?」

中條「いえ…その…。…実は山野さんもご一緒したいとおっしゃるんですがよろしいですか?」

総司「!?」


総司は驚いたが、ふと表情を緩めてうなずいた。


総司「もちろん構わないよ。…こんなところでよければ。」


中條が嬉しそうにしたが、再び申し訳なさそうな顔をする。


中條「それが…山野さんだけじゃないんですが…」

総司「…え?」

中條「僕だけずるいと言って…あと3人ほど…」


総司は笑った。


総司「どうぞ。」


すると、中條がうれしそうに後ろを振り向き、ふすまを大きく開いた。

山野を先頭に数人の一番隊士達がそれぞれ膳を持って待っていた。

総司は何か胸が熱くなるのを感じた。


総司「…いらっしゃい…」


それを言うのが精一杯だった。



とたんに総司の部屋がにぎやかになった。

全員が落ち着いたところで、食事会が始まった。

何か試衛館時代を思い出させる、懐かしい雰囲気だった。


「先生だけ、おかずが違うんですね…」

「ばか、人の膳を覗くな。失礼だぞ。」

「だって、先生の方がおいしそうじゃないですか。」

「あ、先生のは僕が作ってるんです。」

「え?先生のは特別なんですか。…いいなぁ。」

「でも、ちょっと少なめじゃないですか?」


総司は隊士たちの会話にくすくすと笑いながら食べた。いつもと箸の進み方が全く違う。

やはり、独りで食べるより大勢で食べる方が食が進むらしい。



…時間の経過--


食事を終え、皆総司に頭を下げると、膳を持って出て行った。

部屋がとたんに静かになる。


独り残った中條が総司に新しいお茶を注ぐと、空いた膳を持って出て行こうとした。


総司「中條君…今日はありがとう。…とても楽しかったよ。」

中條「いえ…。うるさすぎませんでしたか?」


中條はどちらかというと恐縮しているようだ。


総司「いや、楽しかったよ。…またいつでも来て欲しいと伝えておいてくれるかい?」

中條「え?いいんですか!?」

総司「もちろん」


中條は「はい!」と答えると、嬉しそうに出て行った。



総司はごろりと横になった。食事の後は、しばらく胃を落ち着かせるために体を横にするよう、礼庵から言われていたのである。


総司「…そう言えば、しばらく大部屋に行っていないなぁ…」


また体力が戻ってきたら行ってみよう…総司は思った。

しかしいつになるのか、自分でもわからなかった。

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