第67話
新選組屯所内 平隊士の間--
一番隊は巡察を終え、皆、すっかりくつろいでいる。
その中で、中條が庭に面する廊下の柱にもたれて座り、外の雨を見ながらぼんやりしていた。
中條「…女の子って…どんなものをあげたら喜ぶのかなぁ…」
山野がそんな中條に気づいた。
そして、全く山野に気づいていない中條の顔の前で、手を振ってみせた。
中條「…はっ!…あ、なんですか。山野さん」
山野「明日のことを考えているんですか?」
中條が顔を赤くした。
中條「…それもあるんですが…何か贈り物をしたいと思って…」
山野は中條の横に腰を落ち着けた。
山野「ふーーん…恋する男も大変だ。」
中條は一層顔を赤くした。山野はくすくすと笑いながら、
山野「贈り物はわからないけど、誘うのにいい場所しってますよ。」
と言った。
中條「え?どこです?」
山野「清水寺の近くに神社があるんです。なんでも縁結びの神様だそうですよ。」
中條「…縁結び…。でも、一度しかお会いしていないのに…いきなりそんな…」
山野が笑った。
山野「何を言ってるんです。そんな消極的なことでは、振られちゃいますよ。」
中條「はぁ…ありがとうございます。そこへ行ってみます。」
山野「女の子に贈り物かぁ…。あ、私は初めて女性と逢引した時に、そう言えば、あれを贈ったなぁ…」
中條「あれ?あれってなんです?」
山野はにこにこして、そっと中條に耳打ちした。
中條「…へぇ!そんなものがあるんですか?…じゃぁ、早速行ってこなきゃ。」
中條が立ち上がろうとするのを、山野が笑って「ちょっと待って!」と止めた。
中條「?」
山野「…お店の場所…わかりますか?」
中條がまた赤くなって慌てて座った。山野がくすくすと笑った。




