第64話
土蔵前-
山野があわてて総司の上に覆いかぶさり、降ってくる土蔵の破片をかぶった。
しばらく小さな爆発音が続き、火が隣の木などに燃え移っている。
「早く火消しを呼べ!」という声がする。
爆発音がおさまってから、山野は体を起こした。
山野「先生、大丈夫ですか?」
総司「ありがとう…大丈夫です。」
総司はそう言って、体をあげた。そして、少し離れた場所に、爆風で飛ばされて倒れている中條を見つける。
総司「!…中條君…」
血だらけになっている中條の姿に、山野は呆然として立ちすくんでいた。中條の近くには合田が倒れていたが、やがてゆっくりと体を起こした。中條にかばわれて、助かったようである。
総司は、中條の手首を取り、脈を見た。
総司「大丈夫…生きています。」
それを聞いた山野が、ほっとした表情をした。
総司「東さんの所は遠いな…。急いで礼庵殿の所まで運べ!」
その声を聞いた隊士達がかけより、中條の体を担ぎ上げた。
……
礼庵の診療所-
中條が、白い布を体のあちこちに巻かれて昏睡している。
その横に治療を終えた礼庵が、手を洗っている。
礼庵「総司殿、いいですよ。お入り下さい。」
その声を聞いた総司が、ふすまを開き入ってくる。
総司「どうでしょうか?」
礼庵「ええ。命に別状はありません。」
総司「…よかった…」
総司はほっと息をついた。
礼庵「…背中に火傷を負っていますが、それは大丈夫です。あとは全身打撲というところでしょうか。心配なのは…頭を強く打っていることですね。目を覚ますまで、安心はできません。…何かの破片などが体のあちこちにささっていたけど、皆、筋肉の所で止まっていて、内臓まで達しているものはありませんでした。意識が戻るのもすぐでしょう。」
総司「…そうですか…」
礼庵「合田という人は、奉行所へ?」
総司「ええ。」
礼庵「中條さんのおかげで、少しのかすり傷ですんだというのは…皮肉ですね。」
総司、苦笑する。




