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第6話

京の町中-


総司は礼庵の診療所へ向かって歩いていた。


総司(土方さんには、何もかも見透かされているようで怖いな…)


そう思い苦笑したとき、前に九郎を従えた礼庵の背が見えた。

総司は表情を緩めて、礼庵に走りよりながら名を呼んだ。

その声を聞いて、礼庵と九郎が総司に振り返った。


礼庵「!…総司殿。」


礼庵はいつものやわらかい笑顔で総司が駆け寄ってくるのを迎えた。

九郎が総司に頭を下げた。


総司「九郎殿、ご苦労様。毎日大変ですね。」


九郎が顔を引き締めて頭を下げた。


九郎「お久しぶりでございます。」

総司「あなたがいつ剣の稽古にきてくださるのか、ずっと待っているのですよ。」


総司のその言葉に、九郎が飛びずさった。


九郎「とととんでもないっ!!」


総司と礼庵が顔を見合わせて笑った。

二人は歩き出した。九郎があわてて二人を追う。


礼庵「…総司殿…お顔の色がすぐれませんね。」

総司「土方さんもそう言うので、あなたに診てもらおうと来たのです。」

礼庵「これは珍しい。…あなたから来られるとは。」


礼庵が笑いながら答えた。

そして、ふと神妙な顔つきになると、何気ないそぶりで総司の首元に手を差し入れた。


総司「!!」

九郎「!!!」


総司はやられた…と思った。

後ろで見ていた九郎が目を丸くして言葉を失っていた。


礼庵「…熱がありますね。」

総司「……」

九郎「礼庵先生っ!道の往来で何をっっっ!?」


礼庵が笑いながら九郎に振り返りながら言った。


礼庵「熱を測ったのです。」

九郎「熱を…あんなところで測るのですかっ!」

礼庵「そうですよ。」


九郎は心の中で(自分もやってほしい…)と思っていた。

すると礼庵がすっと九郎の首元にも手を差し入れた。


九郎「(*@@*)(*@@*)(*@@*)」

礼庵「…あなたは冷たいな…総司殿が熱すぎるのかな…」


礼庵はそう呟いて、何もなかったかのように総司と一緒に歩き出した。

九郎はその場に立ちすくんで動かなかった。

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