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第39話

川辺から屯所へ戻る道-


総司とみさは手をつないで、屯所への戻り道を歩いていた。

そして、中條も後ろから空の重箱と、ござをかかえてついてきている。


総司「…みさは、大人になったら何になりたいの?」


総司がふいにみさに尋ねた。

みさは、その言葉にふと口をつぐんだ。


総司「あ、ごめんよ。前にいいお嫁さんになりたいって言ってたっけ。」


総司がふと思い出してそう言うと、みさは首を振った。


みさ「…今は、違うの…」


みさがうつむいた。


総司「へえ…。何になりたいの?」

みさ「…あのね…みさ、先生みたいなお医者様になりたいんだけど、先生がだめだって言うの…。」

総司「…え?」


総司はみさが医者になりたいと言ったことにも驚いたが、礼庵が反対していることにも驚いた。


総司「…どうして…?」

みさ「…大変な仕事だから、簡単にはできないんだよ。…って…みさには、みんなと同じようにいいお嫁さんになって欲しいって、先生は言うの。」


総司は胸をつかれたような思いがした。

総司は礼庵が、何故男姿になってまで医者という大変な稼業を続けているのかは知らない。

もちろん、礼庵を男として接している総司には聞けないことだった。

しかし、みさにはその大変な思いをさせたくない…という礼庵の親心はなんとなくわかった。

例えば、総司に子供がいて、その子供が新選組に入りたいなどと言ったら、同じように反対するだろう。

子供には、穏やかで普通の生活をさせたい…。そう思うのが、この波乱の時代に生きている親の共通の思いではないかと思う。


総司「そうか。…先生がそう言うのなら、仕方がないね。…でもね、お医者様になる勉強をするのはいいことだと思うよ。人を助けるお仕事だからね。」

みさ「うん!」


みさが嬉しそうに顔を上げ、総司を見上げた。総司も微笑みを返した。

みさはふと顔を赤くして、総司から視線をはずし何かうつむいて歩いた。


総司(そして私の仕事は…人を斬ること…)


総司の表情が少し曇った。

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