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宮廷書記官の復讐記録  作者: 高山直
オブレシア国記
3/12

【オズワルト= オズボーン】


 大国カルフシアの宮廷魔導師、オズワルト=オズボーン。


 オヴレシア国の生まれで、同じ魔導の師を持つ兄弟子でもある彼は、早々に祖国に見切りを付けて、師匠と共にカルフシアに亡命し、魔導師としてメキメキその頭角を現した。現在は師匠と並んで宮廷筆頭魔導師を務めており、また、カルフシア宮廷最も結婚したい男ランキング2位に輝く勝ち組でもある。

 好きな言葉は「三倍返し」。やられたらやり返せが基本のオズワルト様は、その言葉通り、今回の事件も三倍返しで報復している様だ。■■おっと失礼。インクが飛び散ってしまった。「どう見ても三倍以上だろ」と、私の背後から記録を覗きこんで呟いた同僚の頭に金ダライが落ちた衝撃によるものだから、私に非があるわけではない事を明記しておく。

 いやはやしかしオズワルト様。三倍返しと言うかやりたい放題しているだけの気がするのは気のせいでしょうか。宮廷の至る所が倒壊し、宮廷の真上でだけ嵐が起こり、王の頭上には延々と鳥が糞を落とし、宝物庫の宝は全てオズワルト様直筆サインに変わる。最後に至ってはただの嫌がらせです。オズワルト様は何時からナルシストになったのですか。いや、そう言えば昔からでしたねそうでした。■■ ■


 ■■■ あ……失礼。後で改めて書き直しましょう。今回の記録は汚れが酷すぎます。勿論私がインクを零したのではなく、金ダライの餌食となった同僚が漸く復活して、私の体を支えに立ち上がろうとしたのでしょう、その手が私に触れた途端、金ダライ第二波が襲ってきた衝撃のせいです。

 可哀想に。この同僚は腐ったオヴレシアの役人ではなく、間者として宮廷に潜入していたカルフシアの人間なのに。おそらくハイになって「よっし当たりィ! やっぱオレすげぇわ。つーかやべオヴレシア超ウケるブフォ」と自画自賛しつつ噴き出すオズワルト様の、暇潰しを兼ねた報復に巻き込まれてしまったのでしょう。何やら呻き声を上げて私に助けを求めている様ですが、申し訳ありません。次々と空から降り注ぐ金ダライのせいで、途切れ途切れになったあなたの言葉は文章になっていないため何を言っているのかサッパリです。とりあえず慰めておきましょう。鳥の糞よりはマシですよと。


 しかしそれにしてもオズワルト様、少々悪ふざけがお過ぎではないでしょうか。うちの失敗に終わった杜撰計画がなかなかえげつないものだったので、それを頓挫させたオズワルト様は、三倍どころか十倍くらいのえげつなさでオヴレシアに反撃すると思っていたのですが、えげつないと言うよりは可愛らしい嫌がらせの数々に憤りを感じます。どうして本気を出して下さらないのですか。鳥の糞だなんてつまらない物ではなく、高圧電流や硫酸でも降り注げばいいではありませんか。マグノス=セスティアロレス=オヴレシアにはそれくらいじゃ生温い気もしますが。そうですね、王の【ピー(自粛)】を【ピー(自粛)】して更に【ピー(自粛)】してしまえばいいと思います。ええ是非やって下さいオズワルト様。容赦なく遠慮なく骨の髄までしゃぶり尽くす勢いで王をどうにかしちゃって下さい。



 まだまだ書き足りませんが、復活した同僚が引いた目で私の記録を見てくるので、今日はここで終わりにします。


 どうかオズワルト様。私の案も吟味してあの愚王への対応を決めて下さると嬉しいです。被害が尋常ではないので。主に生温い制裁への苛立ちという私のメンタル面で。




【オヴレシア国記】

―マグノス歴8年人物録

書記官 ラヴェンナ=ルシェド


■■はインクのシミ

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