ずっと知らなかった真実
鳥と話す能力。
それは小さい頃から持っていた能力。
その能力のお陰で――――――――
本当の家族を知る事になろうとは。
4月。それは高校に入学する時期。
エンはOPと軽くふざけながら歩いている。
今日は入学式。
校長の長い話を聞き……先輩方からの話を聞いて…
そして入学した。
その時、鳥達が話しているのを聞いた。
『あの子供、生き残りの子だよね?』
『何で偽名を使ってるんだろうね?』
その言葉が妙に気になりつつ、平穏に過ごした。
そして数日後……休日…。
散歩中に、あの鳥達に出会った。
だから話を聞いてみた。
勿論、鳥語なので……皆には口笛を吹いている様にしか聞こえない。
エン『ねぇ、何の話してたの?あの時。』
『ああ、その事?それなら……ライトブラウンの森の長老に聞いてごらんよ。』
『そうそう。きっと答えは見つかるよ。』
その日、エンは誰にも許可を取らず…ライトブラウンの森へと向かった。
そこの森で長老と呼ばれていたのは……老いたフクロウだった。
エン『長老さん、長老さん』
『…フム…?お客さんか………!?お前さんは!?』
何故か驚いた表情で、エンの顔を凝視する。
それに対するエンは真剣な表情だ。
エン『長老さん、貴方の知っている真実を教えてください』
『…どんなに残酷でも…か?』
エン『構わない』
『では…話そうかの?この森で起きた、小さな悲劇を…』
そして……話し始めた。
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昔、この森の西地区で…一人の子供が生まれた。
その子供は生まれながらにして魔力が強かった。
その上、特別な力をも持っていた。
じゃが…何処からかその情報が漏れたのじゃろう…。
“スノービーチ”から来た…アサシン…とか言ったかのう?
そ奴等がその子供を連れて行ってしまったんじゃ。
母親は抵抗したから…殺されてしまったんじゃ。
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『そして今現在、行方が掴めとらんかったんじゃが……そうか、そうか。』
エン『じゃが、何だ??』
『…お前さんが、その子供なんじゃよ』
一瞬だけ、時間が静止した。
ただ一言…
エン『長老、西地区へ行っても良い?』
とだけ発した。
『では案内に…この鳥を付けよう。…そこで色々と話すと良い。』
そうして、エンは西地区へと進んだ。
西地区と呼ばれた場所。
そこは、小さな村があった。
きわめて健全(?)に過ごしていて…
それでいて、とても清浄な空気が流れていた。
案内の鳥は言った。
『エン様、ここがその西地区です。』
…名前を教えた覚えはなかった。
その微妙な気掛かりを聞いた。
エン『何で名乗ってもいないのに、名前を?』
『名前は、貴方のお父様から聞きました。』
エン『…まだ…生きて…??』
『ハイ。……まさか、本当の名を知らない…?』
エン『ああ…だから……教えてくれないか?』
『…貴方の本当の名は…エン・スィナー・ディ・レング。』
その名を聞いて、何か吹っ切れた気がした。
その時、背後から声をかけられた。
??「何をしている?」
僅かに振り返ると、男性がいた。
顔を見た瞬間、驚いた顔になる。
??「まさか――エンか?」
少しだけ頷いてやると…何故かいきなり泣き始めた;;
??「良かった…生きていて…」
この後、少しだけ村に滞在する事になるのだが…
それはまた、次の話にて。
本当の名前
それを知ったからと言って…
何かが変わる筈じゃあなかった。




