修学旅行と憧れの存在
修学旅行
それは小さなイベント
そこでは何が起こるのか
※ちょっとした小さなネタバレ…があるかも?
バサバサと、沢山の羽音が校庭に響き渡った。
それは沢山の天使と、沢山の悪魔の羽音。
修学旅行へと出かける生徒の中には…飛べない者もいたが…
クラスメイト達の力で、一緒に行く事に成功していた……。
~修学旅行・一日目~
先生「もうすぐエスケープですよ!」
先生の声で、皆はザワザワとした。
ついてきた他の先生が言った。
先生「いったん止まってください;」
生徒5「何でですか?」
先生「この先は…天使と悪魔、それぞれ分かれてください!」
再び生徒達がざわついたが、先生は構わずに言った。
先生「えーっと…悪魔の方!皆さんは私について、アンダーリブルへと行きますよ~」
そしてさっさと飛び始めたので、悪魔の姿の皆は焦ってついて行った。
もう一人の先生が言った。
先生「天使の方…私について…スカイリトへと向かいます。行きますよ。」
そしてそちらも飛びはじめた。
数分ほど経って…もうすぐ目的地、という時………危険を察知したエンは、素早く二人を弾いた。
生徒1「うぉ!?」
生徒2「おい、何す…」
言葉は出なかった。
(恐らく拘束魔法を食らった)エンが、透けて行って……消えたのだ。
二人は先生に伝えようとしたが……意識が一瞬消え、目覚めた時には既にスカイリトについていた。
先生に伝えた後、一日目の少しを捜索に使ったが…見つからなかった。
生徒4「成功だな」
生徒5「ああ。」
二人の生徒がそう話していたのを、誰も知らない。
中心街からやや東の森・プラントプレット。
そこには、一人の…片翼の青年が倒れていた。
結界のお蔭で誰にも見つからず…ただグッタリとしていた。
そこへ通りかかったのは…小さな精霊。
名はシュウナ。緑色の…小さな精霊。
でも彼女にすら、姿は見えていない。
………その時…何処からか、闇魔法が漂ってきた。
シュウナは嫌そうな顔をして避け…その直後、不思議そうな顔になった。
それは…エンが闇魔法を吸収していたから。
シュウナから見れば、何もない空間に闇魔法が消えていく様な感じで…
エンの力が少しだけ大きくなり…結界が砕けた。
(そしてこの時…ギィという人格が生まれた)
瞬間的に現れた天使を見て、シュウナは思わず声をかけた。
シュ「そなた、大丈夫か?しっかりせぇ!」
僅かに身じろぎして目を開けた青年は…すぐに飛び退っていた。
まぁ目の前に精霊が現れたらそうするだろうが…気に食わなかったらしい。
シュ「そなた、初めて会った者にその態度…失礼ではないか!?」
青年はやや瞠目して…とりあえず謝った。
青年「…スイマセン。初めて精霊を見たもので。」
シュウナは聞きながら、マジマジと青年を見ていた。
片方の羽は…根元からないのか、それとも元々ないのか。
そして一番気になるのは…
シュ「そなた、天使なのか?それとも悪魔か?」
普通に無言になっている。
シュウナは苦笑しつつ、名乗った。
シュ「我はシュウナ。この森の精霊じゃ。…そなたは?」
青年「エ………リオネットです。天使でも悪魔でもありません。」
リオネットと名乗った青年は、一見にこやかに答えた様に思えた。
だが、笑ってなどいない事を、見抜いていた。
…フと、気になった事を聞いた。
シュ「そなた、何故ここに寝ていた?」
リオ「寝ていたんじゃなくて、落とされたんですよ;;」
そしてシュウナは思い出した。今の時期は確か…
シュ「そなた…修学旅行という集団の、一人なんじゃろう?」
リオ「理解が早いですね。」
驚いた様に言った青年を見つつ、シュウナは聞いた。
シュ「それで…今宵から三晩ほど…過ごすところはあるのか?」
リオ「ここら辺で探しますよ~。無くても野宿は慣れてますよ。」
何かを言おうとしたシュウナの先手を打って、
リオ「…………泊める、というのはご遠慮いたします。」
とまで言った。シュウナは完全に苦笑している。
リオネットは普通に歩いて行って…適当にそこら辺に場所を見積もり、泊まるようだった。
そしてその夜…
リオネットは、空を見ていて…二つの影を見つけた。
リオネット…エンは夜目が利く。だからはっきりと見えた。二つの影の正体が。
天使だった。男の子と女の子。恐らくは兄弟の。
男の子は右が白・左は黒の翼をもっていた。
女の子は透明な翼をもっていた。
………二人とも、ちゃんと両翼そろっていた。
そして…綺麗だった。
エンはこの時、憧れを抱いた。
誰にも抱いたことのない、憧れを。
そして強くなろうと思えた。
攻撃が使えなくてもいい。
補助が使えなくてもいい。
ただ、皆を回復させて、死なせない事。
それだけを思えるほどに。
そしてその夜は、眠りについた。
次の朝、体に毛布がかかっていて驚いたのは…また、次の機会に。
次は二日目。
街へはさすがに行けない。
だから遊んでいた。
…何か、違和感が…??




