常闇に狂う猟樹王
おおきなけものがかみくだき
おおきなとりがやきはらう
ならもし
そのふたつがいっしょになったら?
次の日……
あの獣は、夜通し駆けずり回った様だった。
“彼”の走り抜けた跡は血にまみれていて、すぐにどこを通ったのかが分かる様になっていた。
だが、たまにフェニクスの姿で焼き払っていた。
……どうやら片方だけの姿では、効率が悪い様だった。
しかも…
生徒2「…お前が悪さしてるやつなんだろ!?!?」
元々の味方であった者達も襲ってきている。
…エンは結託が結ばれた事を知らない。
だから……裏切られたのだと思っていた。
悲しくてわずかに……闇色の雫が、眼から零れた。
それに誰も気付かないまま……エンの体が、炎に包まれた。
そして、炎が消えた時―――
巨大で、背中に翼の生えた獣が、そこにはいた。
姿は、スミロドンそのものだった(巨大化してはいるが)。
翼は…フェニクスのモノに違いない、紅蓮色。
この生き物の名は無い。
キメラ……とでも呼べば良いのだろうか?
だがその異様な姿に――――辺りでは悲鳴が上がる。
そして一部では…驚嘆の声。
美しく、しなやかで…恐ろしい獣がそこにいるから。
“それ”はニヤリと笑って…吼えた。
エン「クゥオオオオン!」
二つの声が混ざり合い、分かれ、割れ……とにかく、不思議な声が轟いた。
その場にいた数名には、ちゃんと声が聞こえていた。
『えんハ私ノモノ♪全部ゼェンブ闇ニ堕トシチャウンダカラ♪』
どこにもいない――少女の声が。
数分後………激しい魔法や怒号・咆哮が飛び交った後。
生徒達は最早ほとんどいなくなっていて。
その凄惨な光景の真ん中に――エンが倒れていた。
疲れ切ったのか、みるみる内に元の姿へと戻っていく。
そんなエンの周りを、影が囲んだ。
??「…やっぱりエンか…」
??「…決まりだ。」
??「冷たいな;;;;;;」
??「仕方がないんだよ……本性の決まりは絶対だからさ」
その日、戦場の地下深くの牢獄に――――
一人の青年が、入れられた。
こわいけものはいなくなったそうです
でもせんそうはおわりません
どちらかがたおれるまでつづくのでしょうか
それとも どちらがたおれてもつづくのでしょうか