プロローグ
オレ達はあの冬、一つになった……。
「あ"〜寒い…」
オレは玄関を開け放ち、早足で学校への道を進んでいた。
「この寒さは異常だろ、死ぬし」
と、独り言を言いながらそそくさと歩いていると、あいつが現れた。
(よりにもよってこんな寒い日に…)と、心の中で思っていると、案の定、こっちに向かって進んできた。……猛スピードで。
「シュウ!おっはー!!」
異様に高いテンションで体当たりとともに、古い挨拶をしてきた。
オレは体当たりをよけて、
「…おっはー」
低い声で無愛想に挨拶した。
「どうしたどうした?テンション低いぞ!!」
お前が高すぎるんだよ。
「ユリ、朝からお前に会うとテンション下がるし」
冷たくあしらうと、 「シュウ、死ね」
跳び蹴りがわき腹にヒットした。
「ごめんなさい」
痛いのはやなので、素直に謝るオレ。 「よろしい」
と、威張って言っていた。ユリはオレの一つ下の女の子で、非常に生意気だ。テンション高いし。
「シュウ、彼女いるの?」
「いねぇ」
即答。
「あ、あたしが付き合ってあげる?」
「けっこうです」
またも即答。
ユリは泣き目で、
「あたしぢゃだめなの?」
と、言ってきた。
泣かれるのは面倒なので、
「わかった、付き合ってやるから泣くなよな」
と、つい、言ってしまった。
(ヤバ……)
これがオレに残っている少ない記憶の一つだった。




