目が覚めたらオフィスの中全員が等身大のフェネックになっていた!?
ピピピ!ピピピ!
新入社員のハギワラ(20)はアラーム音で目が覚めた。
「ふあぁ・・・。んー・・・。」
眠い目をコシコシ。
朝ごはんを食べ、歯を磨き、スーツに着替えて会社へ向かう。
いつものように会社に行くと何だか様子がおかしい。
おいおいおい、ちょっと待ってくれよ。
みんなが・・・みんながフェネックになっている!!
しかも体は等身大!!
つまり、今俺の目の前では大きなフェネックがスーツを着て二足歩行で歩いたりデスクでパソコンをいじったりしているという奇妙な光景が広がっているわけだ。
何これなんで!?昨日まで普通だったよね!?
自分と街の人は普通だったよ!?
このオフィスの中の人だけがフェネックになっている。
何かのドッキリか!?
俺は上司ことスズムラさん(37)のところへ行き、真実を聞いてみた。
「あのー、これって何のドッキリですか?」
「何がだ?」
ピクリとスズムラの眉毛が動く。
「だって、みんなフェネックになってるじゃないですか。」
「フェネック・・・?」
「はい、着ぐるみなんですよね?」
「はぁ・・・ハギワラ君、君は何を訳の分からないこと言ってるんだ。
さっさと席につきなさい。ただし、体調が悪いなら早引きしていい。」
スズムラが頭を抱えながら手をひらひらと振る。
なんか呆れられた!
でも、これでハッキリと分かった。
スズムラさんの耳やら尻尾やら、ゆらゆらと揺れていて毛並みも本物っぽかった。
明らかに着ぐるみじゃない。
果てしなく意味が分からない!!!
その後、俺はミスをしてスズムラさんに怒られていたのだが・・・。
「全く何をやってるんだ!」
「す、すみませ・・・ぷっ」
「何がおかしい!」
「すみません、すみません!!」
だって、フェネックの眉間にシワが寄ってて毛が逆立っててめちゃ笑えるんだもん。
席に座り、チラッと隣の席のマドンナを見る。
すると、マドンナがニコッと笑い返してくれた。
ダメだ!いきなり顔見て笑ったら傷付けてしまうだろ!
我慢しろ俺!我慢がまん!!
ぷるぷるしているハギワラを心配してマドンナが聞く。
「ハギワラ君、どうかした?」
「す、すみません、ちょっとトイレへ・・・。」
男子トイレ。
「ぶくくっ・・・。」
ちょっマジか・・・。
隣のマドンナこと、憧れの先輩ツキミさん(28)が化粧濃い〜フェネックになっているではないか。
いつもナチュラルメイクなのに、何でフェネックになった途端あんな化粧濃くなるんだよ!あんなの笑っちゃうだろ!!
耳がずっとペタンとなっているのは可愛かったけど!!
年齢関係なく、顔はほとんど変わらない。
ただ、体型は違うわ化粧してるわでかなり差があることが判明した。
席に戻り、作業を終わらせた俺は少し離れたお局ことマツムラさん(50)の席に向かう。
「書類チェックお願いします」
「あら〜、ありがとう。」
マツムラさんが体をこちらに向けて書類を受け取る。
お節介なのがたまに傷な
ぽっちゃりとした世話焼きお局は服からお腹がはち切れそう。なんかいつもよりボリューミーなんだけど?
メイクは濃く、まつ毛がバサバサしている。
シュッとしてるはずのフェネックの顔がぷくぷくしててちょっと可愛いと思ってしまう。
「はい、大丈夫よ。」
「ありがとうございます。」
ペコリとお辞儀をして席に戻る途中、
通り過ぎ様、同期のツツミに話しかけられる。
顔を見た瞬間、吹き出しそうになる。
「ハギワラ君、チェック大丈夫だった〜?」
「ああ、うん。大丈夫だっ・・・たよ。」
ツツミ(20)は愛嬌たっぷりなモテモテ新入社員だ。
耳がツンツンしていてピコンピコン動いている。
「そっかそっかー、良かったねぇ。あ、そうだ。ちょっといい?」
「なに?」
少し近付くとツツミが手で口元を隠し、こそっと話しかけてきた。
「今日飲み行こー。」
「行かないよ。」
「ふ〜ん、やっぱりツキミさんがいいんだ?」
ツツミがいたずらっ子のように笑みを浮かべ、片方の眉毛を上げて見せた。
「か、彼女は関係ないだろ。」
「へ〜?」
「こらっ、私語は慎みなさい。」
「「は〜い。」」
くそぅ、俺の気持ちツツミにバレてたのか。
ハギワラはむすっとしながら席に着くと両手を組んでうなだれた。
いや、今はそれどころじゃないだろ。
ツツミの顔だよ顔。
へのへのもへじって・・・。
チラッとツツミの方をつい見てしまった。
するとこちらに気付いたのか不適な笑みを浮かべ軽く手を振ってくる。
顔はへのへのもへじのままだ。
それやめろってまじで・・・。
「ハギワラ君、大丈夫?具合悪いの?」
「いえ、大丈夫です。」
ハギワラはツキミに心配をこれ以上かけまいとサッと姿勢を正すと作業を始めた。
お腹痛いよう。
頼むから元に戻ってくれないと俺の腹筋が持たないよう。
しばらくの間、フェネックオフィスは継続された。
元に戻る頃にはふにょふにょしていたハギワラの腹筋がちょっぴり割れたらしい。




