残り日数、29日
もし、あなたの一生が、たったひとつきで終わるとしたら…
目が覚めた、さっき何をしていたかの記憶がない。
1番前にいる人は誰?先生かな。横の人は?この服は…?
殺風景な部屋の中。私たちとはどこか空気の違う、先生らしき人が口を開いた。
「こんにちは、本日生まれたみんな。新たなあなたを歓迎します。早速ですが、手元に配られたプリントを見てください。」
私は促されたまま、プリントに目を落とす。
内容は、要約すると「ひと月で一人一人が終わりを迎える」こと、「短い時間でいかに楽しむかが大切」であること。
残り日数、29日。残り日数を示す札が光る。
昨日の殺風景な部屋に申し訳程度の衝立が立てられた。そこで身支度を整えて、学校へ向かう。学童期を終えた先輩から引き継いだ制服を着る。ひとりひとりのために支給された髪飾りはお気に入り。「私のためだけの新品」なんてそれくらいしかないからさ。
不安を胸に、部屋を出て先生らしき人に着いて行く。並んで歩く道中で
「おはようございます」
と挨拶をした。みんなが
「初めまして!」「おはよう」
昨日の静かな雰囲気から変わって、少し明るい。この子達も、私も、ひと月で居なくなる。やっぱり短いなぁ。当たり前なはず…なのにね。昨日からずっと、元々いた所と何かが大きく違う気がしていた。みんなはどう思っているのかな。
考え事をしているうちに、朝礼開始のチャイム。
「みんな、おはようございます。みんなの担任の、カナタといいます。」
ほぼ全員が、元気な挨拶を返した。
「突然だけど、みんなに残された時間は少ない。だから、精一杯幸せになって欲しいの。そのお手伝いを、学校ではするんだ。たった5日間、されど5日間。よろしくね」
みんな、真剣に話を聞いている。偉いなぁ…私は遊びに行きたいや。
今日は、「職業の大切さ」だとか「資源は有限だ」とか、習った。あとは、名前を貰ったよ。「ミライ」って言うんだって。友達なんて出来なかったけど、多分タメになった…と思う。正直短い人生の中で習う必要がわかんない。29日後、わかってから死にたい。




