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第拾漆話 スーパーフラっと64(住宅金利ではありません)

前回のあらすじ:

【鏡の世界を脱出した和真とオッサンは、壮麗な虹の橋を渡る。しかし、彼らがたどり着いたのは天空の闘技場ではなく、なんとビーチの特設ステージだった!そこに現れたのは大型水鉄砲を構えた探検帽の男。彼はこのビーチの支配者を名乗り、和真たちに戦いを挑む。

突然始まるウォーターバトル――圧倒的な水圧に苦戦する和真とオッサン。砂浜は舞い、服はびしょ濡れ、オッサンはすでに戦意喪失。絶体絶命かと思われたその瞬間、筋肉の神・クリマッチョが乱入!輝くオイルをまとった鋼の肉体が水流を弾き、反撃開始。

水鉄砲 vs 筋肉――異色の戦いの末、クリマッチョの豪快な拳が炸裂し、探検帽の男は海へと吹き飛ばされる。こうして、和真たちはビーチでの激闘を終えるのだった】



和真とオッサンは、出ライドンを全速力で疾走させ、敵城へ向かっていた。


「このまま突っ走りますよ!」


「お、おう……っ!」


オッサンは水鉄砲の衝撃とションベン臭から完全に立ち直れていないが、

置いていかれるわけにもいかず、ハンドルを握る和真の背中に必死にしがみつく。


そのとき、景色が一瞬だけ“横にズレた”ように見えた。

和真は目の錯覚だと思い込んだ。


しかし――


突如、風が荒れ狂い、背後から巨大な影が迫る。


「ゴォォォォォォ!!!」


「……なんだ!?風が強すぎる!!」


和真が振り向くと、異様な形をしたドローンが浮遊していた。

まるで巨大な……全国各地のスギやヒノキ花粉を計測するロボットのような姿――。


そのドローンが強烈な風を吸い込み、出ライドンごと和真たちを丸呑みにしようとしていた!


「うわぁぁ!?このままだと吸い込まれるよ!!」


和真はハンドルを握りしめ、車体を斜めに傾けながらバランスを取る。

しかし、ドローンの吸引力は増していくばかりだ。


「ぐわぁぁ!花粉が飛んでくるぅぅ!鼻がァァ!!」


オッサンは大量の花粉を浴び、涙目で大きなくしゃみを連発する。


くしゃみのたびに、周囲の色が“一瞬だけ別の配色”に切り替わった。


さらに異様な存在が現れた――。


道の先から猛スピードで疾走してくる獣脚類の恐竜のような生物。


「ちょ、なんだアイツ!?!?」


巨大なカメレオンのような舌を持つ異形が爆速で駆けてくる――。


「ひぃぃぃぃ!?!?」


オッサンの半ケツが標的にされ、ぺろぺろと舌が迫る!


「やめろおおお!!何で俺ばっかり!!」


オッサンは逃げようとするが、カメレオン恐竜はひたすら舌を伸ばし続け、執拗に狙う。


「和真!助けてぇぇぇ!!!」


和真は歯を食いしばり、ハンドルを握る手に力を込めた。

背後のドローンは轟音を生み出しながら距離を詰めてくる。

吸引力は尋常ではなく、すでに出ライドンの後部が浮き始めていた。


「くっそ!このままじゃ後輪が浮いて制御不能になる!!」


和真はとっさにハンドルを右へ切り、急カーブで車体のバランスを取り戻そうとした。

しかし、強風がそれを許さない。


「鼻がァァァァァ!!もうダメだァァ!!」


オッサンは花粉まみれでくしゃみ連発のあまり、和真の背中を叩き続ける。


「叩いちゃだめです!バランスが!!」


「ムリ!くしゃみが止まらん!!」


その瞬間、ドローンの巨大な吸入口がガバッと開き、出ライドンを飲み込もうとする。


バイクごと持ち上げられそうになるが、和真は必死にアクセルを踏み込み、地面へと押しつける。


だがそのとき――。


「ゴァァァァ!!」


横から猛スピードで駆けてくる影。

それはまたもやカメレオン恐竜だった。


長い舌を振り回しながら、逃げ惑う二人を狙う。


「うわぁぁぁぁ!また来たァァァ!!!」


オッサンは泣き叫びながら車体の横へずれるが、

カメレオン恐竜は全速力で並走し、まるでホーミングミサイルのように狙いを定める。


「こいつ、何が何でも俺の尻を舐める気か!?!?」


舌がビュンッと伸び、オッサンの太ももスレスレをかすめた。


「ひぃぃぃぃ!!やめろおおお!」


カメレオン恐竜は驚異の脚力で地面を蹴り、前方へ大ジャンプ。

着地の瞬間、巨大な体が和真とオッサンの進路を完全にふさぐ。


「やばい!!避けられない!!」


和真は咄嗟に車体を左へ傾け、カメレオン恐竜の足元を滑るようにくぐり抜けようとした――


その一瞬、世界の奥行きが“平面化したように”見えた。


だが、ドローンの吸引が再び襲いかかる!


背後から迫るドローンの轟音と、カメレオン恐竜の舌の執拗な攻撃。


「もうやめてくれぇぇぇ!なんで俺ばっかりぃぃ!!」


オッサンは必死に身をよじりながら舌を避ける。


和真も冷や汗をかきながらハンドルを握る。

ドローンの吸引力がさらに増し、出ライドンのタイヤが地面を滑り始める。


「ちくしょう!このままじゃ飛ばされる!」


和真は前傾姿勢を取り、オッサンに叫ぶ。


「腹を伏せて!風を受け流すんです!」


「む、無理ぃぃぃ!お尻の方が狙われてるぅぅ!!」


オッサンは泣きながら車体にしがみつく。


その瞬間――。


カメレオン恐竜の攻撃が一瞬だけ止まり、静寂が訪れた。 


その隙に、オッサンがぽつりと漏らす。

「……和真。

お前、本当は“こんな世界”に来るはずじゃなかったんだよな……」


和真が聞き返す前に、再び舌が襲いかかる。


「ゴァァァァ!!」


舌がムチのようにしなり、オッサンの背後をかすめる。

その衝撃で上着が剥ぎ取られ、宙を舞う。


「ひぃぃぃ!!上着がぁぁぁ!!」


しかし、その布がドローンの吸入口へ飛び込む。


「ゴゴゴゴゴゴ……カレイシュウ……イヤイヤ」


ドローンの吸引が一瞬弱まり、異音が発生する。


「和真!今しかねえぇぇ!!」


和真はアクセルを限界まで踏み込む。


出ライドンは突風を切り裂きながら、一気に敵城へ突入する――!!


突入の直前、オッサンが低くつぶやいた。

「……行くぞ和真。

この先は……“お前の記憶”が一番揺れる場所だ。」


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