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第拾肆話 スーパーフラっとワールド

前回のあらすじ:

【和真は縦長の世界に囚われ、前後と上下には移動できるが左右の概念が存在しない。ある日、彼の世界にはないはずの横方向へ移動する砲弾型の生物と、白い雲に乗った謎の男が現れる。この男は和真の世界の法則を超えて自由に動き、次元を超えた存在であることを語る。彼の登場によって、和真は自分のいる世界が本当に閉じているのかという疑問を抱き、より広い世界の可能性に気付き始める。】



和真は頭上を通り過ぎる異次元の存在に困惑しながらも、ゆっくりと足を前へ踏み出した。


踏み出した瞬間、地面の模様が“読み込み中のテクスチャ”のように一瞬だけぼやけた。


この世界は奇妙だ。


彼は左右に動くことができないという法則に閉じ込められているのに、


異次元の生物は自由に横へと移動している。


まるで彼を嘲笑うかのように、流れるような動きで行き交う生物たち。


生物たちの影が、地面に落ちるたびに“位置を飛ばすように”ズレた。


その理不尽な景色を前にして、和真は言葉を失った。


「……この世界には、きっと僕の知らない理がある。」


その言葉に呼応するように、視界の端で“ノイズのような揺らぎ”が走った。


その瞬間、彼の視界にさらなる異変が飛び込んできた。


「うおおおお!くらえぇぇぇぇぇ!!」


突然、地響きのような叫び声が響き渡る。


叫び声が響いた瞬間、背景の色調が一瞬だけ変わった。


何事かと振り向くと、前方の広場で壮絶な格闘が繰り広げられていた。


8等身のゴリマッチョな男を前にキノコ頭のオッサンが地面に倒れ込む。


ゴリマッチョは顔にクリの仮面を被り、


胸板は分厚く、腕は丸太のように太い。


その男の下敷きになり、


猛烈な勢いでプロレス技をかけられているのは――


キノコの帽子を被った、


どこか見覚えのあるおっさんだった。


和真は一瞬、“この光景を前にも見た気がする”という既視感に襲われた。


顔つきはまるで◯川のようで、


必死に絞め技を決められながら「やばいよ!やばいよ!」と叫んでいる。


広場の周囲には奇妙な観客が集まり、


まるでこれが日常の出来事であるかのように無関心な表情を浮かべている。


観客の表情が、一瞬だけ“全員同じ顔”に見えた。

瞬きをすると、元に戻っていた。


「……なんだ、このカオスな状況は。」


和真は、顔は笑相を保ちつつも目を引き攣らせながら、ただ呆然と立ち尽くした。


不毛な戦いはなおも続いている。


クリ仮面のゴリマッチョは猛然とキノコ帽子のオッサンを締め上げているが、


キノコ帽子のオッサンは必死に抵抗しながら叫んでいた。


「くそっ、姫を誘拐した犯人はお前じゃないのか!?」


その言葉に、和真は眉をひそめた。


「誘拐……?」


“誘拐”という言葉が、和真の頭の中で妙に反響した。

まるで別の記憶が混線しているようだった。


状況が理解できず、彼は二人の間に割って入ることにした。


「宥める和真、怒るゴリマッチョ」


「ちょっと待て!いったい何がどうなってるんだ!」


和真の声に、二人の戦いが一瞬止まる。


その瞬間、世界全体が“静止画”になったように動きを止めた。

すぐに再生されるように動き出したが、和真の背筋に冷たいものが走った。


ゴリマッチョは荒い息を吐きながら和真を睨みつける。


「この男だ!このキノコ野郎が姫のそばにいつもいるのに、姫がさらわれた時に何もできなかったんだぞ!」


キノコ帽子のオッサンはなおも必死に抵抗しながら、「違うんだよぉぉぉぉ!」と叫んでいる。


和真は考え込む。


このクリの仮面を被ったゴリマッチョは、どうやら姫の熱烈なファンらしい。


そして、キノコ帽子のオッサンは姫に仕える者だったようだ。


「くそっ、お前のせいで姫がさらわれたんだ!」


ゴリマッチョはオッサンの襟を掴みかけるが、


和真が咄嗟に仲裁した。


「待って待って!ひとまず落ち着こうよ!


お姫様を助けたいんでしょ?


だったら、今は争ってる場合じゃないですよ!」


その言葉にゴリマッチョは少し考え込む。


「……たしかに、お前の言う通りだ」


「わかって、もらえたんですね……?」


「駄菓子菓ー子!俺はこの男を信用できん!」


「じゃあ、こういうのはどうですか?


僕がこの人の処遇をあずかります。


僕がこの人を連れて、二人でお姫様を助けに行きます!」


そう言い放つと、キノコ帽子のオッサンは、


「えぇぇぇぇぇ!?」と驚く。


しかし、ゴリマッチョは静かに腕を組んでうなずいた。


「……いいだろう。あんたに任せる。」


こうして、和真はキノコ帽子のオッサン伝説(レジェンド)◯ケモンを譲り受けることになった。


和真の手がオッサンの腕に触れた瞬間、視界が一瞬だけ“白くフラッシュ”した。


「ううう……こんなことになるとは……。」


キノコ帽子のオッサンは涙目になりながら、


電動スクーターを取り出した。


「姫を助けに行くんでしょ?


じゃあ早く行きますよ!」


和真はオッサンの背後にまたがり、


しっかりとしがみつく。


「俺、二人乗りなんて初めてなんだけどぉぉぉぉ!※」


「いいからさっさと出発しましょうよ!


出ライドン」


ブォォォン……!!


電動スクーターは音もなく滑るように進み、


和真とオッサンは姫を救う旅へと出発した。


走り出した瞬間、背景が“スクロール”し始め、和真は胸の奥に不気味な違和感を覚えた。


しかし――この旅の先に待つものは、


ただの姫の救出ではなかった。


和真はまだ知らなかった。


この先の世界に、さらなる次元の異変が待っていることを――



※このストーリーは、地球とは法律や物理法則の異なる異世界での出来事であり、

現実世界の自動二輪車の排気量や免許証の保有年数を問わず二人乗り行為を肯定・推奨するものではありません。当方では一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。

また、この物語は、法律や法令に反する行為を 助長・奨励するものではありません。

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