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エピローグ スーパーフラット・アフターグロウ

陽葵の光が夜空へ溶けていったあと、

公園には静かな風だけが残った。


和真は、

しばらくその場に立ち尽くしていた。


胸の奥に残っているのは、

悲しみではなく──

確かな温もり。


陽葵が最後に触れた指先の感触が、

まだそこにあった。


毅がそっと肩に手を置いた。


「……行こう、和真。

陽葵は……

もう大丈夫だ」


和真は、

ゆっくりと頷いた。



数日後──図書館


和真は、

陽葵が好きだった図書館へ向かった。


入口の自動ドアが開くと、

紙の匂いと静かな空気が迎えてくれる。


(……陽葵……

ここが……

君の居場所だったね……)


ふと、

陽葵が最後に借りていた本が頭をよぎった。



見覚えのある表紙。


ページの間に、

小さな紙片が挟まっていた。


和真は震える指でそれを開いた。


そこには、

陽葵の文字でこう書かれていた。


「まくんへ

いつか、ほんとうの気持ちを伝えられますように」


和真の胸が、

静かに震えた。


(……陽葵……

君は……

ずっと……

僕に伝えようとしてくれてたんだ……)


紙片の端には、

小さな押し花が貼られていた。


陽葵が好きだった、

あの白い花。


それは、

陽葵が残した“最後の痕跡”だった。


和真は、

そっとそれを胸に抱いた。



季節が巡り、

桜が咲く頃。


和真は、

図書館の前のベンチに座っていた。


毅が隣に座り、

缶コーヒーを差し出す。


「……元気そうだな、和真」


和真は笑った。


「うん。

陽葵が……

前に進めって言ってくれたから」


毅は、

少しだけ目を細めた。


「お前は強いよ。

陽葵も……

安心してるだろうな」


和真は、

空を見上げた。


春の空は、

どこまでも澄んでいた。


(……陽葵……

僕は……

ちゃんと生きるよ。

君が残してくれた言葉を胸に……

君がくれた“ありがとう”を抱いて……

前へ進むよ……)


風が吹き抜けた。


その風は、

どこか懐かしくて、

どこか優しくて。


まるで陽葵が

「がんばってね」

と背中を押してくれているようだった。


和真は、

そっと目を閉じた。


そして──

静かに歩き出した。


陽葵が残した痕跡を胸に、

新しい日常へ。


※ショートストーリーに続きます。


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