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第参話 フラっとブラザーズ

和真は目を開けた。

次の瞬間、彼は息をのんだ。

「な……なんだここは……!?」


目の前に広がるのは果てしなく続く縦長の奇妙な世界だった。

奥へ進むことはできる。

しかし、右にも左にも動けない。

まるで、手前から遥か彼方まで真っ直ぐに伸びる一本の巨大な柱の内部に閉じ込められたような感覚だ。


視界の端が一瞬だけ“波打つように揺れ”、すぐに元に戻った。


周囲を見回してみても、異様な世界が広がっている。

地面は奇妙な模様が刻まれた硬い岩で覆われ、足元から微かに振動を感じる。

その振動は一定のリズムを刻んでいて、まるでこの世界そのものが生きているかのようだった。

空を仰ぐと、青く澄んだ空にふわりと漂う白い雲がゆっくりと流れていた。

しかし、それ以上に和真の目を引いたのは、空中に浮かぶ奇妙なブロックだった。


「……なんだ、あれ?」

ブロックは規則的な間隔で浮かんでいる。

表面には見たことのない模様が刻まれ、金属のように鈍く輝いている。


ブロックの模様が、一瞬だけ“別の模様”に切り替わったように見えた。

和真が瞬きをすると、元の模様に戻っていた。


和真はそのブロックに手を伸ばそうとした。

しかし、その瞬間、彼の足元に異変が起きた。

地面が揺れ、かすかな振動が急激に強くなる。


「えっ……?」

次の瞬間、目の前を分厚い甲羅を背負った巨大なゾウ亀がのっそりと横切っていった。


ゾウ亀の影が、地面に落ちるたびに“微妙にズレて”見えた。


その四肢は力強く地面を踏みしめ、どっしりとした体躯を揺らしながら進んでいく。

甲羅は硬そうで、岩のような質感を持っていた。

だが、それだけではない。その背中には小さな光る紋章が刻まれ、時折輝きを放っている。


「なんだこいつ……?」

そのすぐそばでは、丸い形の不思議な菌類生物が跳ねるように歩いていた。

茶色い体に小さな目を持ち、その動きはまるで一定のリズムを刻んでいるかのようだった。

よく見ると、地面に接するたびにわずかに光るエネルギーが漏れ出している。


菌類生物の動きが“同じ動作を繰り返すアニメーション”のように見えた。


「歩くキノコ……?」

和真は思わずその生物に視線を奪われた。

しかし、さらに奥へと視線を移したとき、彼の驚きはピークに達した。

遠くの草むらから、巨大な食虫植物が突き出ていた。

その植物は不気味なほどに大きな口を開き、赤々と燃え盛る炎を吐き出している。

炎は唸るような音を立てながら地面へと落ち、その熱気が和真の顔にまで届いた。


「やばい……!」

和真は慌てて後ろへ飛びのいた。

幸い、炎はすぐに消えた。

しかし、その植物はまだ獲物を狙うように口を開き、時折うごめいている。

その視線は確実に和真を捉えていた。


植物の“口の開閉音”が、どこか機械的なループ音に聞こえた。


「ここは……どんな世界なんだ?」

周囲を見回すと、この奇妙な大地がどこまでも続いていることに気づいた。

上へ進めば浮かぶブロックがあり、下には危険な生物たちが歩いている。

奥へと進む道もあるが、左右の世界が途絶えている。


左右の空間が“塗りつぶされたように平坦”で、奥行きだけが異様に強調されて見えた。


そのとき、和真の耳に聞き慣れない音が響いた。


「ピコーン!」

まるでゲームの効果音のような音だった。


音が鳴った瞬間、視界の色調が一瞬だけ“鮮やかになりすぎた”。


驚いて周囲を見渡すと、和真の足元には金色の光を放つ小さな箱が浮かんでいた。


「なんだ、これ……」

恐る恐る手を伸ばすと、箱はすっと消え、代わりに彼の手の中に妙な輝く星が現れた。


星が現れた瞬間、画面の“読み込みのような白いフラッシュ”が走った。


触れた瞬間、全身に力がみなぎり、まるで体が軽くなったような感覚が広がった。


「これは……何かの冗談……かな……?」

次の瞬間、和真は信じられないほどの速さで前方へと駆け出していた。

自分でも驚くほどの俊敏さで障害物を飛び越え、迫りくる危険な生物たちを軽々と避けていく。


走るたびに背景が“スクロールしているように”見えた。


和真は医学部志望として、自身の筋肉の反応速度やアドレナリンの分泌が異常な数値に達していることを直感的に理解したが、まるで、彼自身がゲームのキャラクターのように動き始めたのだ。


「ここは……ゲームの世界なのか?」

しかし、これがただの奇妙な世界ではないことを、和真はまだ知らなかった。

この先、彼の前にはさらに異なる次元の存在が待っていたのだから……。


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