表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/25

第廿二話 〔最終話〕スーパーペーパーフラっと

前回のあらすじ:

【王国の玉座前で始まった謎の決闘。姫の掛け声と共に始まったのは、まさかの「ラジオ体操アルティメットリミックス」。

和真はウラ拍やオモテ拍のリズムに翻弄され、混乱の渦に巻き込まれる。

一方、余裕の青年は完璧な動きでリズムを制圧する。

しかし、カエルの謎のボーカルが入り乱れ、さらに状況はカオスにな展開に。

ミスを検知する審判・ボム師範の厳しい目が光る中、追い詰められた和真は突如覚醒。何かしらの謎の力により、完璧な跳躍とリズムの波動を掴み、カエルのテンポさえもシンクロ。

その瞬間、場の空気が一変し、観衆は息を呑んだ。

和真の動きに合わせて床が共鳴し、リズムの波が王国全体を揺るがす。

青年も動揺しながらも全力で応戦し、激しい応酬が続く。

最後の決め技が炸裂し、和真は完璧な着地を決める。

ボム師範の「勝者、和真!」の宣言とともに、王国中が歓声に包まれた。】



「僕ね……実はずっと、陽葵ちゃんに言いたかったことがあるんだ」


和真は、小さく震える声で言葉を紡いだ。


「僕は……あの時、君を傷つけた」


陽葵は、ゆっくりと目を伏せる。


「私も……和真君を傷つけた……」


いや違う――。


「僕は……僕は、君にちゃんと謝らなかった」


陽葵の瞳が潤む。


「私も……ずっと謝りたかったの……」


二人の心が、静かに重なる。


その瞬間、玉座の間の壁に刻まれた紋章が“紙のように揺らいだ”。

和真は涙で滲んだせいだと思い込んだ。



幼い日の記憶が、ゆっくりと巡り始める。


僕たちは、ずっと一緒だった。


夏の日、木陰で並んでアイスを食べたこと。


「ちょっと溶けてるよ」


陽葵が笑いながら言ってくれたこと。


春の日、桜の下でお互いに夢を語ったこと。


「僕たち、大人になったら、どんな風になるのかな?」


僕は、何も気にせず「楽しい人生を送りたい」と言った。


でも、陽葵は。


「私は……ずっと、和真君のそばにいたい」


あの日の言葉が、今になって胸に刺さる。


そして、最後の日――。


「そんなの、知らない!!」


陽葵は怒っていた。


「だったら勝手にすれば?」


僕も、彼女に冷たく言い返した。


あの日、僕は何も知らずに、何も考えずに言葉を投げた。


陽葵は、小さく眉をひそめていた。


でも――


それが、彼女と最期に交わした言葉だった。


記憶の中の陽葵の輪郭が、一瞬だけ“ノイズのようにざらついた”。

和真は涙で見間違えたと思った。



「ごめん……陽葵ちゃん……僕は……僕は、君に……」


言葉が詰まる。


そんな和真の緊張を和らげるように、

陽葵は、そっと微笑んだ。


「……遅いよ、和真君」


その言葉は、優しくて、切なくて、

そして……暖かかった。


「でも……今、聞けてよかった」


和真は、涙を流しながら陽葵の頬に触れた。


彼女も、静かに僕の手を重ねる。


「ずっと、待ってたの……」


僕も――


「僕も……ずっと、君に伝えたかった……」


陽葵が、そっと瞳を閉じる。


僕も、静かに目を伏せる。


そして――


ふたりの唇が重なる。


その瞬間、すべての思い出が溢れ出した。


楽しかった時間。


笑い合った日々。


すれ違ったあの日。


楽しかった事も、悲しかったことも、

その全てを、抱きしめるように――。


陽葵の唇は、温かく、そしてどこか懐かしい。


涙が、二人の頬をつたって落ちる。


「素敵な思い出をたくさん……ありがとう、和真君……」


「陽葵ちゃん……!」


和真の声は震え、彼の瞳には溢れそうな涙が滲んでいた。


そして、陽葵はゆっくりと微笑んだ。


その微笑みは、どこか寂しげで、それでいて優しく、

包み込むようだった。


「和真君……

もう、私のことに縛られずに、生きてね。

これからは、和真君の幸せな未来のために……」


彼女の声は柔らかく、春の風のように穏やかだった。


「私は、ずっと……和真君の心の中で応援してるから……

だから、もう大丈夫。歩いていけるよね?」


和真は、涙をこらえながら大きく息を吸い込む。


「……うん。僕……僕は、ちゃんと前に進むよ。」


陽葵は嬉しそうに微笑み――そして……、


その姿は、優しい光に包まれて、消えていった。


光が消える直前、陽葵の影が“紙のように折れ曲がった”。

和真は気づかない。

気づけない。


※エピローグに続きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ