第拾捌話 スーパーフラっとストーリー
前回のあらすじ:
【和真とオッサンは出ライドンに乗り、敵城へ向かって疾走していた。しかし、突然異様な形のドローンが出現し、強風とともに彼らを吸い込もうとする。さらに、巨大なカメレオン恐竜が追いかけてきて、オッサンの尻を狙って執拗に舌を伸ばす。強風とドローンの吸引力に翻弄されながらも、和真は必死にバイクのバランスを取ろうと奮闘する。オッサンは花粉攻撃に苦しみながらも、ドローンの吸入口に上着を飛ばすことで機械の動作を鈍らせる。隙を突いて和真はアクセルを踏み込み、二人は猛スピードで敵城へ突入していく――!】
「おぬしらに試練を与えよう……。
クイズを解くのだ!」
突如響いた重厚な声――
それと同時に、和真とオッサンの目の前に巨大な魔法陣が出現した。
地面から淡い光が立ち昇り、その中心から漆黒のローブをまとった
異次元の魔法使いがゆっくりと姿を現した。
「ク、クイズ……!?」
「戦闘じゃないんかい!?」
驚く二人を尻目に、魔法使いはニヤリと笑い、杖を一振りした。
すると――
魔法陣が輝き、門を開くための試練としてクイズが浮かび上がる。
魔法陣の光が一瞬だけ“砂嵐のように乱れ”、
和真は胸の奥に小さなざわつきを覚えた。
【問題①】メビウスの輪とは何か?
奇妙な図形が浮かび上がる。
「えっと……どんな輪だったっけ……」
和真が慎重に考えるが――
「知らん!ぐるぐるした輪!」
オッサンが豪快に叫んだ。
魔法使いの笑みが深まる。
「フフ……誤答だな。罰ゲームだ!」
すると――
飢えたワンちゃん軍団が進軍を開始した……。
地面の奥から、可愛い見た目のワンちゃんたちがじりじりと迫る。
しかし――その瞳は異様だ。
瞳の奥に宿るのは “飢え” そのもの。
「ちょっと待て!?アレ、絶対ヤバいヤツだろぉぉぉ!!」
ワンちゃんの影が、一瞬だけ“二重にぶれて”見えた。
和真は目をこすったが、すぐに元に戻った。
【問題②】クラインの壺とは何か?
魔法陣が再び光り、別の図形が浮かび上がる。
「これは、空間の概念を覆す不思議な構造の壺……」
和真が答えようとするが――
「壺!?花瓶のことか!?
なら、家にあるぞ!」
オッサンがまた適当な答えを叫ぶ。
魔法使いの目が光る。
「誤答!罰ゲームだ!」
ワンちゃん軍団の動きが加速する。
「ぎゃあぁぁ!?!?」
オッサンは汗だくで後退する。
そのとき、オッサンがぽつりと呟いた。
「……壺とか輪とか……やめてくれよ……思い出したくねぇ……」
自分でも何を言ったのか分からないように首を振った。
【問題③】ペンローズの三角形とは何か?
魔法陣が光り、次の図形が浮かび上がる。
「これは……実際には存在しない、錯覚の構造を持つ三角形……」
和真が慎重に答えるが――
「錯覚!?何かのマジックアイ!?目のトリックだろ!!」
オッサンがまた余計なことを言う。
魔法使いの杖が光り、罰ゲームが発動する。
ワンちゃん軍団、狂乱の第二形態へ突入。
「ワンワンワン!!!」
ワンちゃんたちは走り出した。
「ちょ!?今までの進軍より速くなってるぅぅぅ!!」
「完全にエサ抜きが限界突破したヤツだろぉぉぉ!!」
オッサンは涙目で後退する。
和真の視界が一瞬だけ“平面化”したように感じた。
まるで世界そのものが紙のように薄くなる感覚。
しかし次の瞬間には元に戻っていた。
【問題④】一本の直線だけを使い図形を作図せよ
魔法陣が最後の光を放つ。
「これは……直線を使って円を描く方法だ……」
和真が答えようとしたが――
「直線!?一本の線だけ!?
じゃあ俺の腕で適当にぐるぐる描いてみるか!」
オッサンが豪快に自爆。
魔法使いは満足そうに笑い、最後の罰ゲームを発動する。
「では、最後の罰ゲームだ……」
魔法陣が強く光ると――
大狂乱のワンちゃん軍団が全力疾走へ突入!!!
「いやぁぁぁぁぁ!?!?
速すぎぃぃぃ!!!」
オッサンは逃げ場を失い、涙目で地面へ転がる。
「た、助けてくれぇぇぇ!!!」
その瞬間――
和真が叫んだ。
「答えは……円だ!!!」
魔法陣が光り、ワンちゃん軍団がピタリと止まる。
魔法使いはニヤリと笑い、杖を振った。
「正解だ……門を開こう。」
巨大な門がゆっくりと開く。
和真たちはようやく次のステージへと進むことができた。
門が開く瞬間、オッサンが小さくつぶやいた。
「……和真くん……もう戻れねぇぞ……」
その声は震えていたが、本人は気づいていないようだった。




