表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/10

8話

8話

 昼食を食べ終え、水族館を後にする。電車に揺られ、大きなショッピングセンターを目指す。

「どんな服にしようかな〜。あ、マシロお揃いのもの買おうよ!」

「え〜、ミツキのものだけ買いなよ。アタシはこのままで十分だし」

「小物でいいから!お願い!」

「……仕方ないな……。お金が余ったらね」

「やったー!何お揃いにしようかな〜」

 マシロは私のお願いに弱い。無理やり約束を取り付け私は得意げに前を向く。

 マシロとのお揃いが欲しかった。唯一の肉親であり、家族だから。繋がりが欲しかった。それがどんな小さなものでも。小物ならアクセサリーだろうか。イヤリングかネックレスか。ブレスレットもいいかもしれない。そんなことを考えながらガタゴトと揺られる。心地良い振動が眠気を誘う。マシロの肩に頭を預けウトウトと夢の世界への引きずり込まれた。

「ミツキ、駅着いたよ」

 そんな声で現実に引き戻される。また夢を見ていた気がする。どんな夢だったかは忘れてしまったが。

 そんなことよりも今度はショッピングだ。少し歩くと大型ショッピングセンターが見えてくる。どんな服を買おうか。フラフラと1階と2階を一回りし、目星をつける。

「あそこのお店のワンピースかわいいね」

 それは白と紺を基調としたベルテッドワンピース。それに合う靴も同じ店で見つけた。

「うん、似合うね」

「ならこれにする!ありがとう!」

 試着を終え、会計へ持っていく。2点合わせて5600円。割引があったらしく、元の値段よりお得に買うことができた。このまま着ていってもいいか聞くと、構わないとの返答があったため、試着室で着替えを済ませる。

「どぉ?似合う?」

「うん、かわいいよ」

 微笑みながらマシロは答える。その顔を見るのが好きだった。残りの残金は5000円程。これだけあればアクセサリーは買えるだろう。服は選び終わった。次はアクセサリーの番だ。アクセサリー系が多いのは2階だったはずだ。エスカレーターで移動し、あぁでもない、こうでもないと話しながら見て回る。その時とあるひとつの店の前で止まった。

「このブレスレットかわいいね」

「あ〜、いいね。デザイン好きだな」

「あんまり高くないし買えそうだね、これどう?」

「まだ諦めてなかったんだ……。いいよそれにしよう」

 2つ分のブレスレットを持って会計へ向かう。値札を外してもらい、袋も断りそのままもらう。

「はい!マシロの分」

「ん、ありがと」

「えへへ、おそろいだね!」

「ミツキは1度決めたら譲らないからね」

「何それ悪口〜?」

「まさか!さて、これからどうする?食べ歩き行く?」

「行きたーい!」

 なら行こうか、と次の行動が決まる。

 大型ショッピングセンターを出て、繁華街を目指す。そこなら屋台が多く立ち並んでいる。ふと上を見上げた。街頭ビジョンに殺人事件のニュースが流れている。被害者は……立花マサカズ。私たちの父親だ。ニュースによれば、娘が姿を消しており行方を探していると。

「マシロ、どうしよう。警察に追われてるよ」

「食べ歩きは中止にしようか。戻って人気のなさそうなところに行こう」

 どうしたらいいのだろう。まだ父親は私たちの邪魔をするらしい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ