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6話

6話

 はっと目を覚ます。はて、一体どんな夢だっただろうか。嫌な夢だった気がする。自分の存在が揺らぐような……。いや、そんなことより。寝返りを打ち、隣を見る。すやすやと眠るマシロが居た。あぁ幸せだ。隣にマシロが居る。それだけで私は満たされる。早く起こしてここを出ていかなくては。

「マシロ!起きて〜!朝だよ!」

「ゔーん……」

「マ〜シ〜ロ〜!」

「もう朝……?」

ゆさゆさと体を揺すると、眉間に皺を寄せながらマシロが目を覚ます。今は午前7時30分。顔を洗って歯を磨いて、朝ごはんを食べればいい時間だろう。まだ眠そうなマシロの手を取り無理やり立ち上がらせる。一緒に洗面所へ行き歯を磨く。口をゆすいで、次に顔を洗う。マシロはまだ眠そうだ。うつらうつらとしながら、まだ歯ブラシを口に入れたままでいる。仕方がないなぁ……。

 えいっと水で冷やした手をマシロの首筋につける。

「ひぇ」小さい悲鳴をあげて、ぱっちりと目を開いた。「おはよ、ようやく目覚めた?」

「……おはよう」

 マシロは不満げに挨拶をかえす。私はにんまり笑って顔を洗うように促す。

「朝ごはんはスティックパンだよ。チョコチップはいったやつ」

「ん、あれ好き」

 顔を拭きながら答えるマシロを急かす。

「早くご飯食べて出かけよう!」

 マシロの背中を押して居間へ向かう。そこにはやはり父の亡骸があった。夢じゃなかったんだなぁと思いつつ横を通り抜け、椅子へ腰掛ける。

いただきます、と声に出して食べ始める。うん、いつもの味だ。パンを口にしながらマシロとこの後どうするかを話す。

「最初はどこに行く?」

「まずは水族館。次はショッピングして服を買って着替えちゃおう。」

「その次は?」

「うーん、それから……。あ、食べ歩きしない?」

「そうしよ〜!楽しみ!」

 水族館にショッピング、食べ歩き……。今までした事の無いことばかりだ。

「よ〜し!出発!」

「ミツキ、忘れ物」

「え?あぁ〜、ありがと!」

 そうだそうだ。忘れるところだった。先程マシロと家中をひっくり返して探した現金を忘れるところだった。これがないと何もできない。所持金は1万2千円。結構あったものだ。これだけあれば、1日遊べるはずだ。

 現在午前9時30分。電車で行けばちょうど開園した頃だろう。

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