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エッセイアラカルト

恐ろしい名前の付け方

作者: 降井田むさし
掲載日:2024/02/10

小学生の頃に宿題があった。


こんな宿題。


『自分の名前の由来』を調べる。


そんな宿題。



聞いた。


両親に聞いてみた。


そしたら、美しい系の由来だった。


しっかりとした、由来だった。


ただ、それは表向き。


裏には違う理由があった。



まあ、違わなくもないのだが。


合ってはいるのだけれど。


裏にもうひとつ、隠れている的な。


由来が奥に、潜んでいる的な。


そんな感じだ。




それは、ある意味恐ろしく。


ある意味、良くもある。


名付けられた当事者としては、複雑。


父の性格を含めて考えた場合、恐ろしくなる。


いい加減なところがあるから。


まあ、普通にあることかもしれないが。



僕の名前の、裏の由来というのが。


父の親友と同じ名前。


ということだ。


父が親友の名前を気に入り、付けたのだ。


拝借したということか。


他の人は、どうか分からない。


ただ、僕には受け入れがたかった。



もちろん、読み方だけではない。


漢字も一緒だ。


よくあることだとは思う。


本当に、よくあることだとは思う。


まあ、ましな方だとは思う。



だって、初恋の人の名前だったり。


好きな芸能人の名前だったり。


普通に名付ける人がいるのだから。


それに比べれば、いい方だ。



ニュアンスで、とか。


画数のみで、とか。


なんとなく、みたいな。


そんな理由じゃなくてよかった。



学校で発表しないのなら、由来なんて気にしなかった。


たぶんそうだ。


発表を前提としてるから、恐ろしく思ったんだ。


発表となったら、話は別だ。


急に、恐ろしく感じてしまう。


それだ。



美しい由来があってよかった。


それがなかったら、こうなった。


『なんか、父が友達の名前を借りたみたいです。はい。』


そうなったら、もう駄目だ。



本当に、美しい理由があってよかった。


といっても、その父の友達の名前の由来を、貰った形なのだが。


そりゃそうだ。


その父の友達さんは、想いを込められて名付けられたのだから。


ちゃんとした由来がある。


僕には、そこまで想いが込められていない。


そんな気がする。


でも父は、いい名前だと思ったんだ。


きっと、意味を咀嚼して、飲み込んだんだ。


だから、よしとする。




僕もよくない。


オリジナリティーをテーマに、生きてきたような人間だから。


勝手に、恐ろしい名前の付け方だと思ってしまった。


でも、普通なのかもしれない。


だんだん、そっちの方が強くなってきた。




まだ、引っ掛かることがある。


それは、僕の名字と、その父の親友の名字がほぼ一緒。


そういうことだ。


全く違うのなら、我慢できた。


のか?


まあ、我慢できただろう。


でも、ほぼ一緒の名字で、名付けるのはちょっと。



『ほぼ一緒の名前だろうが!』


『全体通しても一緒だろうが!』


『響きも全く一緒だろうが!』


初めて聞いたとき。


そう脳が叫んでいた。


気がする。




[僕の名前][父の親友の名前]


それをフルネームで、


滑舌の悪い人が言った場合。


口を十分開けずに言った場合。


性能の悪いマイクに通して言った場合。



どっちがどっちか、わからなくなる。


そのくらい似ているのだ。




いい解釈をすればいいのに。


勝手に悪い方へ、持っていっていた。


本当に恐ろしいのは、父の名前の付け方じゃない。


僕の、恐ろしいと感じてしまった心だ。


それが、一番恐ろしい。


のだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] いや,なるでしょう…>解釈 受け入れるには時間がかかったことと思います わたしも大概でしたけどね(笑 「男の子がほしかったんだー」 性別不明な名前になったのはそれかーーー!!
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