2大英帝国魔道騎士
続きを見てくださりありがとうございます。
1が少しボリュミーだったので、果たして2まで見ていただける方がどれだけいらっしゃるか。
2は区切りが変な感じになってしまいました。そのまま1にくっつけておけば良かったです。
先日ストックが無いと書きましたが、意外とあった……というか「魔法少女(男)」よりもあったのでもしかしたらこっちの更新が多くなるかもしれません。
雫のように幼い子どもが作った料理ということで、商人は味にはあまり期待していなかったのだが、
「美味ですね! すごい! お店でもこれほどの料理は出てきませんよ。これは全部雫ちゃんが?」
「はいっ。えへへー」
商人の賛辞にニコニコと機嫌良さそうに答える雫。料理が褒められて嬉しい様子だ。
商人の箸も進みが早く、料理はあっという間に無くなってしまった。
それから四人。食後のお茶を飲み、まったりと雑談を交わす。
話の内容は昔の玄砕について。
「くくっ……オヤジが日本の英雄? あははは! 面白い冗談だ!」
「本当なんですってば!」
「そうだぞ? お父さん英雄なんだぞ?」
「「あはははは!」」
晋作と雫が声を合わせて笑う。
この二人は玄砕のかつての活躍を冗談としか思えないようだ。
「かつてこの国はアメリカの黒船の来航によって二つに割れてしまいました」
アメリカの脅威に屈してしまい、アメリカに言われるがままに従うしかない幕府と、幕府の弱腰に怒りを覚えた反幕府勢力。
二つの勢力は互いに拮抗。反幕府側を疎ましく思った幕府は敵であるはずのアメリカと手を組み、反幕府勢力を攻め滅ぼさんとした。ちなみにアメリカの協力を得られた理由についてだが、勝利した暁には日本の領土の一部をアメリカに譲るという密約が交わされていたとかいなかったとか。
このままでは内戦によって日本はボロボロ。弱った日本を残ったアメリカが蹂躙するという最悪な結末が訪れると誰もが思ったが、そこに待ったをかけたのがこの男、朝比奈玄砕である。
玄砕は幕府、アメリカの連合軍を相手に一騎当千の数々の活躍を見せ、アメリカの黒船を一人で制圧するという人間離れした武功まで挙げてみせたのだった。
それを商人が晋作と雫に言ってみせたのだが、
「いや、信じられねぇよ。だって弱いじゃん。オヤジ」
「おまえらが強すぎんだよ!?」
玄砕の言うとおりだった。
玄砕も十分に人間の域を踏み外している。
晋作に瞬殺されてしまったとはいえ、玄砕が晋作に仕掛けた際の動き……商人は玄砕がどのように動いたか、感じ取ることが一切できなかったのだ。
「この戦いを経て日本の存在は世界が強く知る所となりました。同時に、玄砕様を中心とする侍の名も。侍は世界で二番目に強い戦士だと考えられるようになりました」
ピクリと眉を震わせる玄砕。
「二番目……?」
「はい。一番と言われる戦士について、玄砕様は耳にしたことはございませんか?」
「……なんとなくは、な」
「私も実際に見たことがあるわけではありません。どれだけの強さを誇るのかも知りません。ですが、玄砕様の成された武功、それと同じことのできる人間は大英帝国に存在すると言われます。それも一人や二人ではなく、数えきれないくらいに」
「そんなことないもん! 侍は一番強いもん!」
ムキになって口を挟む雫。
商人は自身の失礼な物言いに気付き、雫に謝罪する。
「そうですね。自分もそう思います。晋作君ほどの強さならば……世界の認識を覆すことができるかもしれませんね」
「うんっ! しんさくくんは世界で一番強いの!」
まるで自分のことのようにニコニコと喜ぶ雫。
「で? 侍より強いやつって何なんだよ?」
よくぞ聞いてくれましたと、自身の知識を語ることができて喜ぶ商人。
商人は得意げに胸を張って言う。
「大英帝国魔道騎士。魔法……分かりやすく言うと妖術を使う騎士です」
次からようやく主人公である朝比奈晋矢が動き始めます。