第1話 現在編パート1 合コン その1
『なぁ、頼むよ!』
休日。
いつものように家でダラダラしていると、友人の文月 亮から電話があった。
「あのなぁ…俺が……」
『お前がどうかしたのか?』
すぅっと、一度、深呼吸をして、口を開く。
「合コンなんていう、クソビッチしかいないものに参加するわけねぇだろうがああああああああああああああああっ⁉」
『うるせぇよ! 電話越しに、叫ぶな!』
「いいか? そもそもな、恋愛っていうのは、出会いを求めた時点で負けなんだよ! 俺はロマンチックな恋愛を求めてるんだ! そんな俺からすれば、合コンなんていう、意図的に設定された、クソビッチしかいない出会いの場は論外なんだよ!」
『ロマンチックねぇ…例えば、どんなのだよ』
「十年ぶりに再会した幼馴染と…そのまま昔の約束で結婚とか」
『お前…幼馴染、俺しかいねぇじゃん…』
「親にお見合いを進められて、行ったら、会社のクソ怖い美人系上司とばったり。そして、そのまま恋に…」
『お前…今、フリーターじゃん…』
「………」
『………』
電話越しに、沈黙が訪れる。
言いたいことは、分かる。
俺だって、ガキじゃない。
そんなことが現実に起こらないことくらい知っている。
『なぁ…お前もいい加減、ちゃんと現実見て、恋愛してみたら、どうだ?』
少し声のトーンを落とし、真面目な声になる。
「……俺だって、そんなことは分かってる」
『だったら、明日の合コン…参加してみないか? 俺の自分勝手で、申し訳ないけど、お前と相性よさそうな子を呼んだんだよ。まぁ、俺は会ったことないから、正確にはよく知らないんだけど…。でも、向こうの女の子達からの話を聞いてる感じ、絶対に、奏人は仲良くなれると思う…』
「文月…」
『ん? どうしたんだよ?』
「いや、その…」
『だからなんだよ?』
こいつは、彼女がいるのに合コンとか何考えてんだろ。クソヤリ〇ン野郎が。
なんて、思っていたけど。
まさか俺のためを思って、行動してくれていたとは……。
俺も…その優しさには……
「それとこれとは話が違うんだよォォォォォオオ!?」
『今のは普通、オッケーの流れだろ!?』