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殿下、私は困ります!!  作者: 三屋城 衣智子


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32. ごろんごろんするんです

 思わず私は馬車の窓にゴチンと額をぶつけます。

 新緑は、今の私には眩しすぎる気がしてきました、よ……。


 そんな気持ちのまま自室へ帰るとベッドの上で、黒歴史のあれこれや今日のあれこれも総動員して、ごろんごろんする羽目になったのでした。


 そうしてひとしきりごろりんぱした後、ふとお父様が言った言葉を思い出します。


「しきたりさえなければ……」


 そういえば、何故赤茶の瞳が重要なんでしょう?

 生まれる以前からあるだろうそれを、現当主が言ったからというだけではしきたりである意味が分かりません。

 伝統という名の当たり前で縛られていたことに気付き、戸惑います。


 ……これは開けて良い扉なのでしょうか……。


 わからない。

 けれど何もわからないまま闇雲に突き進みたくはありません。

 やる以上は、自分で考え、自分で選んだのだと言いたい。


 新たな目標を密かに胸の内に決め、私は夕食のために自室を後にしたのでした。




 六月に入りました。

 朝の空は少し薄雲が広がり、風がそよそよとしています。


 黒歴史の闇から一夜明け、気持ち的には少しだけ落ち着いてきました。

 あれから色々考えたんです。

 ほんとにたくさん考えて、まずはお父様にしきたりの詳細を教えてもらうことにしました。

 今日の夜に訪ねる手筈を整えています。


 初恋の方はダメです。

 もう今の恋心と合わさってひっちゃかめっちゃかで、今も思い出しかけてはドキドキがひどいです。

 ごめんなさいって言ったくせに、これまでのあれやこれやを反芻しては、ごろんごろんする変態さんになってしまいました……。

 誰か助けてください。

 こういう時、皆さんは友人と語らって思考を整理整頓するんでしょうか?

 ぼっちだったので、どうして良いかがわかりません。


 どうすることもできず困った状態のまま、私は馬車に揺られて学校へと向かったのでした。

お読みいただきありがとうございます!

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