表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/82

3. 平凡なんです

 これは夢かしら?


 私が皇子とイチャイチャしている……。

 ああっ!! そんな、ご飯の食べさせ合いっことか、なんというバカップルのラブラブっぷりなんでしょうか。

 自分じゃなくて小説の主人公なら、いただきましたー! な場面です。

 素敵。

 じゃなくて、自分がというのは……ちょっと。


 だって私、平凡なんです。

 ジュラルタ公爵家は平凡(ぞろ)い――なんて噂されるほど。

 私は赤茶の、お母様譲りで垂れ目がちな目がどうにも三白眼(さんぱくがん)で、色素も少々薄く。

 緩くウェーブのかかった髪は、どこにでもある茶色で。

 ぽつんと形よく鎮座(ちんざ)する小さい鼻と、ぽってりちょこんとした口、身長もこじんまりとしてしまっているせいか二、三歳幼くさえ見えてしまうんです。

 その反動か見るのは断然格好良いもの綺麗なもの!

 そして事情もあって、自分には降ってわかないだろう恋愛物語が大好きなんです!

 大衆小説にはそういうのがたくさんあって、いつも心ときめかせて、拝読しています――作家様ありがとうございます。


 ともあれ。

 あれはきっと夢。

 今見ているのは妄想……というか、あ、ちょ、妄想の私と殿下、ちゅーしようとしないで




「……っくださ〜〜〜〜い!!」


 がばっと上体を起こすと、簡易ベッドに寝ていました。

 どうやら、気を失ってしまっていたようです……う゛う゛、情けない。

 調度品がうすだいだいと白で統一されたここは――医務室、でしょうか?

 在籍して六年目ですが、つつがなく過ごしてきたのでここに来たのは初めてです。

 流石は皇立の学校ですね、生徒十人寝られる位ベッドが置いてあります、お薬の棚も五つ……六つはあるでしょうか?


 ここ、皇立ララスタン魔法学校は、カルマン皇国(おうこく)首都リッシュバージュに建国当時からあるといわれる、剣技と魔法が習える学校です。

 皇国民で魔法の素地がある者なら十二から十七まで通えて、学校の費用は全て国から助成されます。

 魔法の使用は許可制で学校での免許取得が必須であることと、助成があり就職先の斡旋も手厚いことから生徒が全国から集まってきています。


 私は今年で六年生――誕生日がまだ来ていないので十六歳ですが、後一年もすれば卒業して成人する歳になるのです。

 だから余計に不思議でした。


 二つも年が上の、何故、私なのだろう……って。

 まぁ、理由なんて本人ではないのでよくわかりませんし、あれはきっと何かの冗談だったのだと思います。

 だって会ったこともありませんし。


 そう結論づけると、帰宅する為にどこかおかしな所がないか確認して、医務室の先生に声をかけました。

 先生からも、怪我等はないとのお墨付きをもらいます。


「ありがとうございました、失礼致しました」


 私はお辞儀をしながら退出し――ようとしたその時。

 ドアの向こう側に気配を感じてぴたりと自身の行動を止めることにしました。


 なんだか、うきうきとした空気を感じます……!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ