27. 許可を取るんです
それから暫くは、穏やかな日々が続きました。
あ、もちろん物が無くなるのは変わりありませんよ?
結構めげないお方のようで、細々無くなっています。
この前は鉢植えが落ちてきたので、植えてあったお花はちゃんと花壇に植え直しておきました。
あのお花、枯れずに済んでいるといいのですが…。
さておき。
流石に何度も買い直しは家族に訝しがられるので、きちんとお父様に報告しました。
「……というわけなのです。しばらく私の方に注意を向けておきたいので、諸々少し目を瞑っていただけませんか? お父様」
「普通の子女ではないとはいえ、お前は可愛い可愛い娘なんだよ? ルルーシア」
「お願いします、お父様」
「……はぁ……仕方がない、許可しよう。危ないと思ったらすぐに幕引きを図ること、これが条件だからね?」
「約束します、お父様ありがとう」
私は思わずお父様に抱きつきました。
気持ちを伝えるのに、たまにはこういうスキンシップも大事です!
お父様はやれやれといった雰囲気ながらも、優しく背中をポンポンとしてくれました。
「それにしても、いつの時代も女子の間柄というのは、大変なものなのだね」
ため息をつきながらお父様が呟きます。
女子の間の揉め事は、どうもお母様とお父様にも経験があるらしく、少し遠い目をしていらっしゃいます。
何があったんでしょう?
聞きたいような、怖いような……何はともあれ、心置きなくされるがままになれることに私はホッとしました。
お父様にはまだ内緒にしていますが、今、可愛い悪戯だけでは済まないことも、時々起こるようになっているんです。
併せて第四皇子のイヤーカフが、慕う女子の間に密かに流行していたりもしていて。
私がこの件から手を引いてしまうと、以前のようにただ慕うだけだったり片想いをしていただけのご令嬢が危ない目にあうのではないか。
そう考えしばらくは矢面に立とうと決めました。
なので実は私も既にイヤーカフを常に身につけていたりします。
つけた途端、瞬間風速的にあれやこれやの嫌がらせが増えに増えて、ちょっとびっくりしました。
なんでかなと思いましたが、そういえば皇族の中で未婚だったり婚約が決まってないのは春まではただ一人、その第三皇子は正直……根暗、と影で言われている人物です。
四月の断罪劇で夢を見た子が結構いたんだなぁ、と今更ながらにあそこでキッパリ断れなかったことが……悔やみたいのに、以前のようには思えない、です。
っといけません、お父様の前ですから知られるわけにはいきません。
再度、ありがとうございました、と言ってお父様の前を辞することにしたのでした。




