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殿下、私は困ります!!  作者: 三屋城 衣智子


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19/82

18. 贈るんです

 何が、とか、よくわからないまま、けれど捕まってしまうという急激な危機感に、思わず――


 ゴイィィィィン!


 とレイドリークス様の頭に頭をぶつけ、体を引き剥がし起き上がりながら私は叫びました。


「しつけの悪いエロ魔獣には、プレゼント没収の刑です!!!」

「ちょ、待ってルルごめん!俺が悪かったよ」


 だって髪の毛今日は結ってあってうなじがとか、悪気はなかったんだとか、だからそんなこと言わないでとか、ごにょごにょ言いながら殿下が飛び起きます。


 そう、今日もメリーアンに髪を結ってもらっていました、今ので少し乱れてしまいましたが。

 私だって髪を結うときくらいあ、ありますよ?

 ……いえ、今のは誇張(こちょう)しましたごめんなさい……本当はいつも、どうせ演習などでほどけかけるのだしと下ろしたままが多いです。

 最近は何となく、他のご令嬢の髪型とかが気になっていて、たまにメリーアンに伝えて結ってもらうようになっていました。

 目敏(めざと)すぎますレイドリークス様。


 髪が少し崩れたのもあって、結構おこ……怒って……ません、ね。

 気まずいので怒っていることにします!

 とはいえあまりに必死なのと、あげなければ使ってくれる人がいなくなってしまうので、仕方なしに許す事にして私はややあって口を開きました。


「ま、まぁ、せっかく選んだので? そちらに置いてあるプレゼントは差し上げます」


 言った途端レイドリークス様の顔がぱぁぁぁぁと輝いたと思ったら、目にも止まらぬ速さでプレゼントの置かれた場所へ行き包みが開かれていきます。

 と、彼の手が止まりました。


「……これ」


 私が贈ることにしたのは、この国では一般的なプレゼントであるイヤーカフです。

 左耳に身につけるこの飾りは、大切な人との永遠を誓う場面からちょっとしたお祝いにも喜ばれる、便利な装飾品だったりします。

 今回選んだのは健康・長寿のレリーフの入った銀色のシンプルな物です。

 昔の記憶から健康を選んだというのは私だけの内緒の理由です。


「何かの縁でこうしてお知り合いになりましたし、長生きしてください。お誕生日おめでとうございます」

「あり、がとう。強請(ねだ)ったとはいえ祝ってもらえて嬉しいな、ルルと一つしか違わなくなるし。……付けてもらっても?」


 本来ならお断りするところですが、さっき無体を先に働いてしまった手前、ごめんなさいも含んで希望を叶えることにし、レイドリークス様の耳にイヤーカフを付けます。

 少し緊張しましたが、何とかやり終え殿下の反応を見ました。

 誰であれプレゼントはした経験が少ないので――荒れていたこともあり友人が非常に少ないのです――気に入ってもらえたか少し不安になるんです。


「似合うかい?」


 そう言って微笑んだ彼は、とても幸福そうに見えて。

 私まで、何だか、得体の知れないくすぐったい気持ちになったのでした。

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