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殿下、私は困ります!!  作者: 三屋城 衣智子


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11. ずぶ濡れなんです

 翌日。

 珍しく起きて来ていた弟たちに挨拶と抱擁をして家を出ます。

 上の弟二人にはちょっと嫌がられてしまいました……すっかりお兄さんなんですね、ちょっとずつ自重しなくては。


 学校へ行く為所有している馬車に乗り込み、窓を少し開けました。

 晴れた朝の空気は、とても気持ちがいいです。




 バシャァァァン


 そんな素敵な日……でしたが、ついてない……。

 いいえ、多分これは――()()です。


 学校へ着き校舎に近づくなり、二階から水が降って来ました。

 白シャツを中に着、スカート裾や襟袖に臙脂(えんじ)色のラインが入り全体に青みがかった灰色の可愛らしいツーピースの制服は……すっかり、ずぶ濡れになってしまいました。

 量、多過ぎやしませんか?

 今日は少し気合を入れて侍女のメリーアンに髪を結ってもらっていたのに、台無しです。

 ごめんなさいメリーアン。


 メリーアンの分の怒りも上乗せして二階を見やると、窓際の影はさっと逃げていきます。

 ……実力行使しちゃおうかしら……そんな物騒な事をちらりと考えたところ、「きゃっ!」という悲鳴がしたのでそちらに目を向けました。

 あれは確か――ローゼリア=アインバッハ男爵令嬢です。

 どうやら私のこの姿を見て驚いてらっしゃる様子。

 ですよね、びっくりですよね、私もびっくりしました……顔には出していませんが。

 こういうのは、反応を返した方が相手の思う壺、なのです。

 アインバッハ様がこちらに駆け寄って来ました。


「ジュラルタ様!! 大丈夫……っじゃないですわ、ね? 医務室に行きましょう!!」


 彼女は私の手を取り引くと、医務室へ歩きはじめます。


「先生! ウィッシュバーグ先生!!」


 一大事とばかりに、彼女は自身のハンカチで私を拭いてくれながら、医務室へと連れてきてくれました。


「ん〜、どうしたの慌てて〜。病気〜? それとも怪我?」

「……すみません先生、病気でも怪我でもなく、服が濡れてしまったんです……」


 私は理由は伝えず現状だけ伝えます。


「あっちゃ〜、これは凄いねぇ。ちょっとそっちいって待っててね」


 私は指示された通りにベッドの側の椅子に座って待つことにしました。

 最後まで面倒を見る気でいるのか、アインバッハ様がついてきます。

 ちなみに先程の、ちょっと間伸びした物言いでウェーブのかかったワンレンショートボブの先生は、医務室の主であるハンスヴァン= ウィッシュバーグ先生です。

 先生は他の生徒のお世話があったのか他のベッドの方へ行った後、こちらにやって来ました。


「お待たせ〜。じゃ、ぱぱっとしちゃおうか〜……『暖かい風よ、水を連れて舞い散れ!』」

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