やまない飴と皆の様子
拡声器か何かを使っているのか、どこかの上から「無料のプレゼントです」という声が聞こえた。
すると、次の瞬間に飴が空からふってきた。
どうしてか分からないけれど。
通を歩いていた人たちは、喜んでいた。
皆、手を差し出している。
子供達は無邪気な笑顔で、飴を手に取った。
何かのイベントかな。
そう思うけれど、それらしいニュースはなかった気がする。
けど、場所は心当たりがあった。
近くに大きなタワーがある。
観光地にもなっている場所だ。
もしかしたら、誰かがそこの上から投げたのかもしれない。
小さな小さな飴玉が、雨のようにふってくる。
途切れる事なく、ふってくる。
手を差し出せばそれはのってきた。
軽い重みが伝わってくる。
包みを開いてみると、メッセージがあった。
ヘル。
減る?
どういう意味だろう。
首をかしげれば、近くの人が崩れ落ちた。
泡をふきながら、崩れ落ちた。
脳裏に単語が浮かんだ。
――地獄へ。
メッセージの意味を悟って、飴玉をすぐに捨てる。
飴玉を受け取った他の皆がばたばたと倒れていく。
倒れた人達のその喉には、みんな必ず飴玉があったらしい。