悪役令嬢は交友関係が広いから助かる
本日はお日柄も良く、ピクニックに最高だ!
パーティーの時に約束したピクニック、めっさ楽しみにしてたんだよね。
ハロルドとマーロンの婚約者も来ることになっているが、どんな感じの人だろう。
付き合いやすい人だといいな。
エリックもあのパーティーのあと、いままであまり付き合いのなかったルミエールとお茶をしたようだ。
話をしてみたら思った以上に話が合うらしく、いままでなぜ遠ざけていたのかと、手紙に書いてあった。
エリックは騎士家庭に育ち兄弟も男だらけの3人兄弟の長男。
女の子に免疫がなく、ルミエールは逆に4姉妹の2番目、男に免疫がない。
つまりお互い緊張して、会う機会があっても上手く話せず沈黙ばかり。
それでお互い、嫌われていると思い違いしていたらしい。
***
広い草原の丘を登り、大きな木が植えられている場所で敷布を広げた。
この上にそのまま座るのか?
などと聞いてきたので、そうだと答える。
すると変わったやり方だななんて声が聞こえてきた。
俺からすれば使用人を引き連れて、テーブルセットを準備してまでピクニックにいく方が変わってると思う。
それぞれ持ってきたバスケットの中身を交換したりしながら食事を始めた。
マーロンとハロルドの婚約者はマーガレットとレベッカという、どちらも侯爵家の末娘。
政略的に小さい頃から婚約していたので、やはり公爵家に相応しい家柄の令嬢だ。
そして、やはりリザローズとはお茶会で良くお話するお友達だった。
リザローズはお茶会などで人脈を作り上げて来ていたので、今回のお友達になっちゃおう計画は半分終わってるようなものだ。
リザローズはとにかく顔が広い。公爵家に生まれて、これまでも公爵家に相応しい生き方をしてきたのだから、当たり前と言えば当たり前だった。
おれは引き取られる前からの積み重ねというものがあるんだよね。
あとはこのカップルを仲良くさせれば目的は完了である。
リザちゃん(*^ー゜)b グッジョブ!!
リザちゃんには今回婚約者同士仲良くなろう作戦を大まかに説明してある。
リザちゃんは俺のことを友達思いだと思ってるらしかった。
リザちゃんはルミエール、マーガレット、レベッカのいいところをさりげなくアピールしてきた。
「ルミエールの刺繍の腕は素晴らしいんですよ。まるで本当のお花がそこに咲いたように愛らしく刺していくんですもの!
今度エリック様もハンカチに刺して頂いたら?」
「ルミエール、ぜひともハンカチを頂けないだろうか?
訓練に欠かさず持っていくようにするから。」とエリックもおねだりする。
「分かりましたわ!エリック様の家紋を入れて今度会うときにでもお渡しします。」と頬を染めるルミエール。
「マーガレットの注いでくれたお茶は本当に美味しくって、香りも素晴らしいんですよ。
私もラルクがお仕事覚えるためにお父様の執務を手伝っているのを知ってるから、お茶を美味しく入れて癒して差し上げたいけど、マーガレットのお茶には敵わないわ!」
「へー!マーガレットのお茶を飲んでみたいなぁ。
今度の顔会わせの時には、ぜひ僕にも入れてくれるとありがたいな!
実はあまーいミルクティーが好きなんだ。」とマーロン。さすが甘えん坊キャラ、さらっと自分の好みを相手に伝えた。
「まぁミルクティーでしたらロイヤルミルクティーになさるととても香りが出て美味しいんですよ。あまーくすると本当にミルクと相性良くて、よく自分にもいれてますの。」とマーガレットも手を叩いて提案している。
「レベッカはとても本を良く読んでいて、知らない知識をいろいろと教えてくださるのよ。
でもレベッカは知ってるだけじゃなく、知識を自分のものにして私の悩みにもすぐ対応してくれますのよ。」
「それは素晴らしい。本を良く読むご令嬢はあまり聞いたことがない。どんな感じの本を読まれているのかな?私は哲学の本を最近は読むようになってね。」ハロルドが興味深げに質問をすると
「私も哲学の本を最近は読んでますのよ、テレーゼ様の本は読まれまして?」
「君もテレーゼ様の本を読んでいるのか!?
あの方の本を読んでいるなんて、本当に勉強熱心だね!!」と知的好奇心が旺盛なもの同士、二人だけの世界に入ってしまった。
***
ルミエールがリザローズをチラリと見ながら、
「お二人は本当に仲がよろしいんてすね。
どうしたら、そんなに素敵な雰囲気になれるんです?」
と聞いてきた。
リザローズは頬を染めながら、
「何言い出すの!恥ずかしいじゃない!」
と照れている。
「リザローズは養子に来た私にとても優しくしてくれたんだ。
細かなところにも気づいてくれて、手を差しのべてくれる。
そんな天使のようなリザローズに愛情を抱かないわけないよ。
これからは私がリザローズを幸せにしたいんだ。」
とリザローズを見つめながら言ってやった!!
どうだ!このあまーい雰囲気。
充てられてみんなもあまーくなれば、とちょっとやけくそも入ってるが本心だ。
「リザローズは本当にラルク様に愛されてるのね!!」
とうっとりとするルミエール。
リザローズはもうゆでダコのように真っ赤になって、プルプルしてる。やだ、めちゃかわいい!頭から抱きしめて、
「こんなかわいいリザローズは誰も見ちゃダメ!!」
とおどけてみせる。
「きゃー」と女子たちは騒いで、うらやましいわぁと冷やかした。
男子たちは「ああいうのがいいんだー」とラルクをひたすらに見やる。
うん、女心勉強して幸せになってね。とラルクは心で独りごちた。
***
食事も済んで、バスケットの片付けが終わると、リザローズのひざにゴロンと頭を乗せて横になる。
「まぁ、ラルクったらみなさんいらっしゃるのにはしたないですよ!」とリザローズは恥ずかしさにいたたまれないのか、嗜めてきた。
「えっ!だっていつも膝枕してくれるじゃん!
友達と来てるからって無しなのは嫌だよー!」
と膝に顔をグリグリ埋めて甘えてみた。
「まぁ、ラルクったら、本当にしょうがないですわねっ!!」
とかツンデレモード発動。
「みんなも婚約者殿に膝枕してもらったらー」
と手を挙げてひらひらさせた。
するとマーロンが
「膝枕いいなー、マーガレット、いい?」
とあどけない顔を最大限生かし甘える。
「マーロン様!!私の膝で良ければ…」
「私とリザローズだけじゃ恥ずかしいから、レベッカもルミエールも膝枕なさいよ!」
と照れ隠しに捲し立てた。
レベッカとルミエールも頬を赤らめながら、
「もし、お嫌でなければ…」
なんて、ハロルドとエリックを誘った。
清々しい空気のなかで、膝枕をされて、髪を鋤くように撫でてもらい、男子たちは今、男に産まれた幸せを堪能していた。
女子の膝ってなんでこんなに気持ちいいんだー!と心から叫びたい衝動に駆られるが、そんなことしたら女子から嫌われるの分かってるからやらないけど。
ピクニックがお開きの時には、別れが名残惜しく、みんな口々に
「またピクニックに行こう」
「今度はお茶会にしよう」
「街に出てショッピングもいいな。」とか、次の約束をしたのだった。