表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/25

悪役令嬢というお役目、辞退させて頂きます。

社交界デビューも終え、すぐに婚約御披露目パーティーも催した。

婚約パーティーはティーパーティー形式で、日頃から懇意にしている方だけを呼んでのささやかなものだ。

家の関係上呼んでいるお客様への御披露目なので、婚約した二人以外は既婚の大人しかいない。

公爵家秘伝のポーカーフェイスと、微笑、社交辞令、本当に接待のような場だ。

まぁ婚約パーティーとはこの国ではこのように行うのが一般的だったので、特にイベント感はなかった。


邸でまたいつも通りの日常を過ごす。

あれ以来、なるべく王子が参加しそうな大規模のパーティーにはリザローズを連れては参加しないようにしていた。

お陰でリザローズは王子に会わすことなく、守り抜く事が出来た。

そして王子との婚約回避できたため、王妃教育がなくなり、社交界での「氷の薔薇」という呼び名もつくことはなかった。

親しい女性の友人も出来た、話しかければにこやかに受け答えもする。

とても優秀で美しい令嬢。

成長期も相まって女性らしい体つきになり、最近目のやり場に困るほどだ。

そんなわけで、婚約者の俺は鼻高々である。


俺は有力者への顔合わせのため、王宮でのパーティーに参加しなければならない時もあり王子には何回か出会っていた。

しかしその都度、

「そなたの美しい婚約者殿は来ていないのか?」

と聞かれる。

「体の調子が悪く、本日は大事を取っています。」と毎回答えるのだから、避けてますよって察して欲しい。


ゲームでもラルクは側近になっていたし、そろそろ牽制ばかりでなく、懐に入って信頼を築いて行くことが得策かな?とか考えている、今日この頃。


そうしてリザローズがらみでなければかなり近くにいるようになっていった。

王子ものほほんとした優しい気質だからか、側にいて嫌な気持ちはしないし、素直な性格も好感が持てる。

政治や経済の話を振ると分かるものには自信満々に答え、わからないものについては耳を傾け調べることも忘れない。

弟がいればこんな感じかな?と思うような人懐っこさもあった。


あと一年もしないうちに、学園に入学する。

そうすれば、王子も運命の相手ミリアに出会うことだろう。

このミリアゲーム内では5人の攻略相手をものにする、ハーレムルートすらある難敵。

なるべく王子以外の攻略相手には近づけず、王子一筋のルートに乗せる。

うまく嵌まれば、王子は賢王になるルートに進んで行くのだ。

リザローズと一緒に暮らすこの国を治める王は賢王である方がいいに決まってる。


***


確か…とゲームのイベントを思い出していた。

ミリアと王子の出会いイベントは、入学半年前の秋の王宮パーティーだったはずだ。

そこでミリアは持っていたグラスをうっかり落として王子に掛けてしまう。服を濡らしてしまったことを必死に謝るミリア。

「どなたか存じませんが、クリーニング代はフローレン男爵家に請求してください!!」

と言うと、

「そなた、私が誰か知らないのか?

面白い令嬢もいるものだ。

代はいい、次会ったときぜひダンスの相手を務めて欲しい。」

と言って去っていく。


そして春、入学式の時に張られているクラス分け表を見るのに、人混みを跳び跳ねているミリアに王子が声を掛ける。

「そんなに跳び跳ねて、どこのうさぎさんかな?

お名前をお教え頂ければ、どこのクラスか見て差し上げますよ」

その声に振り替えるミリア。そこで二人はパーティーの時の相手だと気づく。

しかも一緒のクラス。

必然的に仲良くなる二人。

ミリアもかなり出来はいい。

王子も賢いミリアに一目置き、王子であるフィルにも屈託なく接するミリア。

他の攻略対象もみんな同じクラスメイトだったはずだ。

しかもみんな王子に使える家臣。

宰相の息子の俺。

近衛騎士隊長の息子のエリック。

財務省大臣の息子のマーロン。

外務省大臣の息子のハロルド。

それぞれに苦悩や痛みを持つ身。

優しいミリアに絆されていく。

でもみんな確か婚約者いたよね…。あんまりゲームでは触れられていなかったからうろ覚えだ。

乙女ゲーム定番の「婚約者のいる殿方と近づきすぎですよ。」

って台詞をやたらリザちゃんが言ってた記憶しかない。


隣のクラスのリザローズは毎回つま弾きにされて、自尊心をズタズタにされることを5人から言われる。

将来王妃となる自分よりミリアを大切にする婚約者、義弟、国の重鎮の息子たちに敵意をむき出しにし、ミリアにはいやがらせをしてしまう。最後はミリアを階段から落としてしまう。


ゲームでは、最後はルートに乗った攻略対象者が落ちるミリアを助ける。ハーレムルートだと5人で助けるのだ!!

王子をはじめ5人の攻略対象者が、あまりにひどいいやがらせ、階段から落とすという傷害未遂を卒業パーティーで断罪する。

所謂、婚約破棄!


そしてミリアは選んだ殿方と幸せに暮らし、

リザローズは公爵家の恥として、一生公爵家で幽閉されて過ごすことになりました。

というのがストーリーなのだ。


とりあえず、俺はルートから完全に外れてるし、

リザちゃんも婚約してないから、断罪ルートから外れてると思う。


しかし、王子の執着が気になる。

毎回気にかけているし、婚約者でもないのに…。

やはり手を打たなければ!

ゲームの強制力が強くて、やっぱり断罪を受けるとか、マジ勘弁です!!

リザちゃんとの明るい未来のため、俺、悪役令嬢お役目回避、頑張る!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ