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義弟とお父様とわたし~愛するあなたのため~ リザローズ視点&後半お父様視点

ある晩、また唐突にラルクは泣いた。

「最近公爵様に嫌われてるみたいなんだ…ぐすん」

あんまりかわいすぎて、ラルクの頭を抱え込むように抱き締めながらお父様に嫌われてる訳がないことを伝えた。

だっていつも私と二人のときにはラルクは素晴らしい、勉強熱心で努力を惜しまないのは才能だ、公爵家は安泰だ。と手放しで誉めているのだ。

しかしラルクがこんなに悲しい思いをさせるとは…お父様、許すまじ…。

ラルクはびっくりしたような顔をしている。

本当に嫌われてるなんて、勘違いをしていたみたい。かわいそうに!

それからラルクはお義父様と呼びたいこと、3人で添い寝したいことなどを話した。

3人で寝るとか突拍子もないこと言わないで欲しい。

いや、もう11才なのよ…。

本当は姉弟で寝てるのも、ギリギリアウト、いやアウトでもやめないけど。お父様とか、無しよりの無しだわっ!

でもラルクのお願いには弱いのよねっ(泣)

もしかしたら私がお父様に甘えられなくて寂しいとか言っちゃったから?

あのときの発言、撤回させてください。

ラルクの寝顔堪能したいの!

ラルクオンリーでいいのに…(泣)


リザローズもお義父様に甘えたいでしょ?

とにっこり笑う。あーん、やっぱりラルクのわがままには負けちゃうんだなぁ…。

「ラルクと三人でならお父様と添い寝してあげてもいいわっ」

といつものかわいげない態度をしてしまい、心でため息をついた。


***

 

そして連れて行かれたお父様の部屋。

ラルクがお父様に言った!

「公爵様!いえ、お義父様!

僕たち話して決めたんです!

……」

えっこれはもしや、結婚のお許しを伺いにきたんだっけ?とうっかり期待してしまう。

「二人の関係を認める訳にはいかないぞ!!」

とお父様が大声を出す

えっそこは認めよーよ!ラルク以上の男なんてこの世界にいるの?と口がポカンと開いちゃった。やだ淑女がはしたなかったわ。

ラルクも驚いてるじゃない!!

「今日からお義父様の都合がいいときだけでいいので、リザローズと僕と三人で一緒に寝たいんです。

お義父様が真ん中です!」

ですよね!その件で来たんですものね!

でも何故にお父様が真ん中なの?

私もラルクの隣がいいよ~(泣)


ふとお父様を見た。お父様がにやけてる!何、その嬉しそうな顔は!!

「二人とも大きくなったと思ったけど、まだまだ子供なんだな」私の頭を撫でる手の優しさ、お父様、実は甘えて欲しかったのね…

気づかなかった。


「リザローズもお義父様に素直になって甘えたいし、僕だって本当は公爵様をお義父様って呼びたかったんだ!甘えて一緒に寝てみたかったんだよー!」

ラルクの心からの叫びだった。

私たち親子はラルクの寂しさに気づかず、こんなにも悲しい思いをさせていたのね…。

するとお父様もラルクの寂しさに気づいたみたい。

ラルクの頭を優しく撫で、

「そうだったのか…。

二人とも寂しい思いをさせていたんだね…

これからはいつでも甘えてきなさい。

私は二人の父親なんだから」

ガバッとお父様の広い胸に抱き締められる。

私はお父様にちゃんとラルクのことを分かってもらえた気がして、涙を流しながらしがみついた。

ラルクも私がお父様に甘えられて喜んでいると思ってるようだわ。

お父様にしがみつく私に嬉しそうに微笑んでくれた。

ラルクは本当に優しいのね。いつも私のことを考えてくれるんだから。

「ラルクありがとう、お父様に甘えることできたわ、本当に本当に嬉しいの…」

するとラルクの細く、でも力強い腕が私の背中に周り、優しく優しく抱き締めてくれたの。




***公爵視点***


ある晩私のかわいいリザローズと、ラルクが私の部屋を訪ねて来た。

毎晩毎晩、ラルクは私のかわいいリザたんの部屋で一緒に寝ている。

いや、まだ子供だし、と多目に見てたけどやっぱり面白くない。

前にリザたんにダメじゃね?って軽くジャブ入れたら、

「お父様が反対なさるなら、リザローズ、修道院に入ります。」

と静かに、でも鋭いカウンターをもらったので、それ以上は何も言えなくなった。

ラルクには八つ当たりで、リザたんが居ないときに嫌みを言ってるのは内緒だよ!


いやーリザたんのお寝巻き姿、めっちゃ、いや神的にかわいすぎる。

この姿をラルクのヤロー独り占めとか、美味しすぎるだろっっ!!


するとラルクから3人で一緒に寝たいとか、お義父様と呼びたいとか、めっさかわいいこと言われた。

マジか!いままでのツンはどうした!?

愛する妻と同じ銀の髪、ちょっと気の強そうな顔立ち、そんなラルクからデレされたら、可愛がりたくてしょうがないじゃん!!

しかも、リザたんに、ラルクに挟まれて寝るって…

ある意味拷問やんっ!!



しかし、その拷問は夢じゃなかった。

私が二人の寝る時間に間に合うように仕事が終われば、毎晩嬉しい拷問が待ってるのだ。

どちらを向いても、かわいくって、良い匂いで、ふわふわの髪の毛が気持ちいい、寝返りすらうてない位緊張して。

仕事が早く終わってるのに、寝不足で次の日辛い。

でもおじさん頑張る!

あと何年この拷問が続くか分からないのだから、無理するなら、今でしょ!!


かわいい子供たちは前より私には甘えるようになり、

とても仲の良い親子になれたように感じる。

他愛ない会話も、お茶の時間も、ピクニックも。

すべてがラルクを中心にキラキラと輝く日常になったのだ。

話下手の感情表現下手の親子は、ラルクに助けられながら親子の絆を取り戻したようだった。

妻が亡くなってからこの家は死んだように静かになったが、

ラルクが来てから、前よりも幸せな家になった気がする。

もうラルク無しの生活なんて考えられないほどだ。


しかしあと少しで子供たちは社交界デビューをする。

そうしたらリザたんはフィリップ王子との婚約が待っている。

どうにかすれば断ることもできるが、引き受けるつもりだ。

皇太子妃、この国の最高の名誉を娘に…と考えての事だ。

そのため公爵家を引き継ぐ子が必要だと、ラルクを引き取ったのだ。

リザローズは男子しか家督を引き継げないため、養子をとったと思っているようだがラルクを本当に可愛がっている。

王家の嫁として王妃教育が始まれば、いままでのように過ごすことも儘ならなくなるだろう。

あんなにかわいいリザたんに、あのくそ王子との婚約はもったいない…。

でもリザたんイケメン好きそうだしなぁ。

あの王子、見た目だけはいいんだよな。一目惚れとかあるよな。

でもバカ王子だしなぁ!リザたんと一緒に居られなくなるのも嫌だしなぁ。

あーっ!やっぱり断っちゃおうか?!

思い悩む日が続いた。


ある夕食時、リザたんの婚約話になったが、

「私は結婚なんてしませんわっ!!ずっとずっとお父様とラルクと一緒がいいですわっ!」

とうるうるの瞳で懇願するリザたん。


「そうだよっ!僕もリザローズのいないのはやだよぉ!お義父様だって嫌だよねっ!!」

ときらきらの瞳で懇願するラルク。


かわいい二人の子供たちが、こんなに嫌がってる。


そうだな、リザローズが本当に好きな人ができて…、その人と一緒になりたいって人ができるときまで…、それまでは婚約はなしにしよう。


うんっ名案ってやつだな。


「えっー!そんなのもうリザローズにはいるよね~!

リザローズは僕とずっと一緒にいる約束だもんっ!!

僕と結婚してくれるんだよね~!」

って結婚って意味知ってる?

ラルクくんおままごとじゃないんだよ!

責任持てるのかな?


すると顔を真っ赤にしたリザローズが頬を押さえるように両手を当てて

「お父様!私はラルクと結婚して二人で公爵家を切り盛りしていきますわっ!!」

ばんっとテーブルを叩いて立ち上がり、高らかに宣言してきた!!


ラルクくん、リザたんに本気だよ…

かわいいリザたん幸せにしなきゃ、どうなるか分かってるよね…。


そうしてなしくずし的に二人の婚約を許したのであった。


ある日ラルクはリザたんが居ないときを見計らって、わざわざ私の執務室まで足を運んできた。

「お義父様、先日は私とリザローズ嬢の婚約を認めていただきありがとうございます。

しかし王家にはまだ私たちの婚約の話をしていないようで…。

このままほっといては、あの聡明で美しいリザローズ嬢を見たフィリップ王子に一目惚れされ婚約話を進められてしまう可能性もあります。

いやあの王子の事だ、絶対気に入ってしまう。

対外的に婚約者として勝手に公表されては、公爵家としてリザローズ嬢を渡さない訳にはいかなくなります。

しかし、リザローズ嬢は幸せでしょうか?

愛するお義父様と引き離されて、厳しい妃教育の日々。

せっかく親子の絆が深まり、心からの笑顔を取り戻したというのに。

幸せだった公爵邸での思い出を胸に、一人涙するリザローズ嬢。

そうなってからでは遅いのです!!

社交界デビューする前に、王家にリザローズ嬢の素晴らしさが露見する前に、早めに婚約の辞退を王家には伝えた方がよろしいかと。

リザローズ嬢がお義父様と一生一緒にいるためにも、社交界デビューしたらすぐに婚約パーティーも開きましょう。」

と私相手に怯むことなく提案をしてきた。

そのことにも驚いたが、

あのときのままごとの延長のような婚約のお願いではなく、

しっかりとこの先のことを考えた発言に目を瞠る。

このラルクになら、公爵家を、愛するリザローズを任せても大丈夫だと確信した。


その翌日、早速リザローズとラルクの婚約の書類を作成し提出した。

そして王家には丁寧に婚約者候補からの辞退を表明し、ウィルウッド家の安泰は約束されたのだ。

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