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悪役令嬢の義弟は前世を思い出したようです。


真っ暗な中、目か覚めた。

違和感を覚えつつ起き上がる。


スプリングのないベッド、羽布団の柔らかさ、シーツの質感、

いつもの部屋とは違う…

それになんだか体の大きさも小さいような?

暗闇に目が慣れてきて部屋を見渡すと、豪華な作りの家具や、調度品が目に入る。

中世ヨーロッパ風?


って…あれっ俺の部屋じゃない!

…そういえば部屋で頭痛がして、倒れたんだった!

もしかして、死んじゃった?

…ということは、これはもしや、いま流行りの異世界転生じゃないのか!!

まじかっ!異世界転生万歳\(^-^)/

一度してみたかったんだよね!


自分がどんなやつに転生したのか確認したくて鏡を探す。

ベッドサイドにランプがあったので点けた。

扉のそばに姿見があったので、自分をまじまじと見た。


「うわっ!まじか!ラルクじゃねーか!!」

前世で妹と一緒にやっていたゲームの攻略キャラの幼少期のスチルと完全に一緒だ。

まだ子供なのにめっちゃイケメンの自分に思わずうっとりする。

脳内にラルクの記憶が流れ込んでくる。


ラルク・ウィルウッド(10才)

ウィルウッド公爵に養子として引き取られ、

悪役令嬢のリザローズの義弟となったんだった!

まだ引き取られてから半年、義姉からは毎日公爵家の品位、マナーについて注意されていた。


そういえばゲームのラルクは我が強く、親に愛されず育ち自己肯定感が低い幼少期を送る。

義姉からの注意を嫌みととらえて、嫌悪感から意見を聞かなくなるんだよねー。


しかも13才で義姉と一緒に社交界デビューを果たし、その時リザローズが第一王子フィリップ・ルクレールに出会う。

その直後に義姉と王子の婚約が発表された。

王子に恋をした娘を想い、父親でありこの国の宰相を務めるウィルウッド公爵が自らの権力を使い王子との婚約を成立させたという設定だった。


けれど後に出たファンブックには、全く逆の設定が裏話として載っていた。

この出会いや婚約も、王家がリザローズの才能とウィルウッド公爵の後ろ楯を得るための画策だった。

王子との婚約を王家から打診され、後継者がいなくなっては困るからとラルクが引き取られることになる。


この国の王子はフィリップしかいない。そのため甘やかされ育ち、聡明な妃がいなければこの国の未来は暗いと考えた王家。

そこで白羽の矢がたったのが、リザローズたったのだ。

しかしダメ王子だからしっかりした婚約者が必要、では王家の体面が傷つく。

そのため表面上はリザローズが美しい王子に惹かれたということになったのだ。


聡明なリザローズは公爵家のため王家のためにと、厳しい妃教育を完璧にこなし、そのうち氷の薔薇と言われるほどの完璧な令嬢になって行く。

しかしそんな事情もしらないラルクは、周囲の公爵家の跡取りとしてのプレッシャー、完璧な公爵令嬢の義姉と比べらることを、すべて義姉のせいだと反感を覚えていくのだ。


そんな中、15才になり義姉とステラ学園に入学することになる。

王子や他三人の攻略対象と共にヒロインのミリアの天真爛漫な魅力にはまってしまう。

婚約者のいる5人の攻略対象と親密になるミリアを窘めるリザローズを煩わしく感じていく。

そして最後は義姉を好ましく想わない王子たちと共に断罪イベントを起こして破滅へと追い込むんだよー(T-T)


でも俺は実はリザローズ、いやリザちゃんの大ファンなんだよねー!

芯の強さや、王子の婚約者としての勉強を頑張る一途さ。

きれいなシルバーの髪と薄紫の猫目。

氷の薔薇、と表されるほど完璧で優雅な身のこなしと無表情に近いポーカーフェイス。

そしてボンキュッボンの出てるとこ出てくびれるところはくびれてるという、男の理想を体現したスタイル!!

ゲーム内でも、ピンク頭のふわふわヒロイン・ミリアに引かれる王子に、嫌気どころか一途なのも健気でかわいい。

一生懸命尽くそうとするが何せ氷の完璧令嬢、ことごとく嫌みやいじめをしてるようにみえてしまう。


最後の最後に卒業旅行の宿で色仕掛けをするイベントがある。

めっちゃ色っぽい姿で皇太子に迫るんだよなー!

そのかわいらしいスチルが人気で男性ファンが増えたという。

王子とヒロインの好感度の高さで、リザローズがまとう衣装の露出が変わる。

シンプルな部屋着風のドレスに、フリルの白いネグリジェや、ネコミミにぬいぐるみを持ったちょいロリ風。バニーガールのような官能的な姿まで。

まぁ色仕掛けはどのパターンでも失敗に終わり、王子の心象を悪くし、最後の断罪の隙を与えてしまうんだけども。

つまりリザローズのファンの俺はいろんな姿を見てやろうとやりこんだのは言うまでもない…いや、妹には内緒で…(^^;

ファンサイトでも一途なリザローズとハーレムルートのあるミリア、どっちが人気だったかなんて言わなくてもわかるよね!

リザローズとラルクの幼少期を語ったファンブックも人気で、初回特典付きのやつ入手大変だったのよ(^-^;

とくにファンのなかにはリザ×ラルの続編望む声も高かった!


あー押しの義弟とか美味しすぎる…

一つ屋根の下なんて…リザちゃんぐっすり寝てるのかな…

どんな寝間着なんだろう…幼女なのにに萌えるわ…


うん!リザローズの魅力もわからないバカ王子と婚約なんてもったいない。

別に聡明な令嬢なら他あたってって感じだし?

なんだったら、王子にはヒロインに一途になってもらえば…。

まず、婚約破棄の未来が見えてる王子には、俺のリザちゃん見せるのも惜しいな…

そうだ!俺と婚約させよう!結婚して幸せになろう!

二人で公爵家を継げばいいんだよ!

ということでリザちゃんの寝顔を拝見するために、真夜中のお部屋訪問をしにいくことにした。


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