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ワンダーワールドⅡ  作者: 白龍
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リューガの裏切り 憤怒の罰悪修羅

「獄炎刀、入手いたしました」

悪鬼の本拠地である岩山にて。リューガは獄炎刀を罰悪修羅に献上した。

罰悪修羅は顔を暗闇で覆い、座ったまま静かに頷く。

回りには側近の悪鬼たちが、初めて見る獄炎刀に物珍しそうな目を向けていた。

不完全ながらも、そこからははっきり地獄の力が放たれている。…さすが、罰悪修羅はその力を感じ取っていたようだった。

悪乱修羅を作り上げる数千の犠牲に対価を払えるほどの刀。部下の悪鬼たちには到底理解できなかった。



「リューガよ。よくやった。なるべく不安要素を消しておく為に、次は勇者アメジストの暗殺を…」

「あんた、俺に俺の前の上司を殺せってのか?」

罰悪修羅の命令に、突然リューガは反抗した。

周囲の悪鬼たちは、あまりに突然の反抗に状況を理解しきれておらず、オロオロと小刻みに震えだした。

勿論、リューガはその前の上司…名無しの魔王に敬意など何一つ持っていない。


そして、この罰悪修羅にも。


「…やはりかリューガ。お前のような男をはじめから信用していなかった」


リューガの口元が、邪悪に歪む。



同時に、リューガの両手の全ての指から、桃色のレーザーが放たれた!!

罰悪修羅を除く全ての悪鬼の胸元を貫き、全身に炎を燃え広がらせる。

悪鬼たちのおぞましい叫びが響く。


罰悪修羅は立ち上がらず、ただ冷静に部下の死を見送っていた。

「罰悪修羅様、お助け…」

「使えぬお前らの言葉など聞かせるな。ワシの耳が腐るわ」

罰悪修羅は両手から赤いエネルギー波を放ち、彼らにとどめを刺す。

洞窟中に豪音と衝撃が響いた。


多くの悪鬼たちの成れの果てである灰が天井から舞い落ち、あとにはリューガと罰悪修羅が残るのみ。

リューガは、何やら不満そうな顔をしていた。

「…その態度は何だ鬼さんよ。まるで俺よりお前の方が邪悪だと言いたいみたいな面だな」

「当然だ。悪鬼とは人間の罪の象徴、化身だ。この世に悪鬼以上の悪はおらぬ」

再び、リューガは笑う。不気味な笑顔を歪め、今まさに手元にある獄炎刀を持ち上げる。



「…?」

罰悪修羅の目の前で、リューガは獄炎刀を両手で持つ。


「あ、そう。ならこれならどうだ?」



何かを察したのか、罰悪修羅の両目が大きく見開いた。


バキ、と嫌な音が響く。




…何とリューガは、手元の獄炎刀を真っ二つにしていたのである。

本来刃がついている部分だけを右手に持ち、残りの部分は罰悪修羅の前に投げ捨てた。

罰悪修羅は慌ててその残骸を拾い上げる。


「!」

残骸は罰悪修羅の手に触れた瞬間、紫色に輝いた。



直後、大爆発が起こり、悪鬼たちの拠点であるアジトの洞窟はその衝撃で一気に崩落。罰悪修羅は瓦礫に飲み込まれた。


「ひゅー!!俺の大勝利~」

獄炎刀の残骸に頬擦りしながら、リューガは遥か空へと飛んでいった…。




罰悪修羅は…当然こんな物では死んではいなかった。

瓦礫を払いながら顔を出す罰悪修羅の両目は、いつになく赤く輝いていた。

「…許せん…この罰悪修羅をここまでコケにしおって…」








その頃、れなたちは今まで集めたエメラルドの欠片を集めて事務所の前の広場に集合していた。

事務所の全メンバーが集結した理由はただ一つ。エメラルド復活計画だ。

集めた欠片は山積みになっており、眩しいくらいに輝いている。

これだけあると、何かもうこれが本当に勇者の欠片なのかと疑いたくなるが、この輝きは間違いなく勇者と呼ぶべき神秘の光だ。

「…ただくっつけただけじゃ復活しないみたいだね」

一点にエメラルドの欠片を集めてくっつけあうれなの頭を、ラオンがアホかとばかりに叩いていた。

腕を組む粉砕男と葵は、あらゆる手段を考えていた。

特定の魔力が必要なのか、まだ欠片が足りないのか、欠片の他に、何か必要な物があるのか…?今の自分達に知る術はなさそうだった。

エメラルドが復活すれば、心強い味方になるというのに。

中々頭を疲れさせる勇者だった。




「…!!」

一同の視線が、エメラルドの欠片から、お互いの目に視線が移る。



目を合わせあう一同。



何かを感じ取ったようだった。




…そんな彼らのもとへ、殺意の矛先が密かに向けられていた。

殺意は…上空からだった。


「避けろ!!」

粉砕男の指示と共に、全身が後ろへ飛び跳ねる。

直後、空から音もなく巨大な火球が落ちてきた!!

それはエメラルドの欠片に直撃し、凄まじい熱を放ちながら欠片を木っ端微塵に破壊してしまう!

「あっ!」

れなは急いで駆け寄ろうとしたが、煙のなか、れみが腕を掴んで止める。


砕け散ったエメラルドの欠片から放たれたエメラルド色のオーラのなか、何者かが佇んでいた。


茶色のマントを風に揺らしながら、拳を握りしめる赤黒い鬼…罰悪修羅だ。

れなたちは動揺しつつ、拳を構えて戦闘に備える。

「ふん…エメラルドの復活を阻止できたぶん、よしとしよう。あとはアメジスト、リューガ、そしてお前らだ」

れなたちは歯を食い縛りつつも混乱していた。

自分達や、名無しの魔王ことアメジストはまだしも、なぜリューガが?リューガはやつの手下ではなかったのか?

「…さては、裏切られたか」

粉砕男の呟きを、罰悪修羅は聞き逃さない。

全身に炎を纏わせ、プライドのままに力を高める。

拳を地面に叩きつけ、地割れを引き起こす!

れなたちは空中に飛行して回避するが、これが罰悪修羅の狙いだ。

三メートルほどの巨体で目にも止まらぬ速さで動き、まずはドクロの目の前に現れる!

ドクロは声をあげる間もなく殴り飛ばされてしまう。妹を傷つけられ、激怒するテリー。

「貴様我が妹を…!許せん!!鬼は外だぁぁ!」

怒りのまま魔力で骨を形成し、筋肉のない骨の手で器用に投げつけるテリー。

だが罰悪修羅は左手を軽く振るだけで骨を破壊、そのまま全身でテリーにタックルをかます!

テリーが吹っ飛ばされる先にはラオンが。

ラオンも対応できず、ぶつかり、地上に叩き落とされる。

今まで感じた事のない凄まじい力だった。

諦める訳にはいかない。

れなたちはまだ残ってるエメラルドのオーラのなか、激しい激闘を開始した!









…まさにその時、テクニカルシティの特別研究所では、ある者が動き出そうとしていた。

紫色の体を震わせながら、緑の液体に浸かされてカプセルに閉じ込められている…名無しの魔王だった。

赤い目には徐々に生気が宿っていく…。



「…兄…さ…ん?」


無意識に、その言葉が出た。



直後、目が開く。









気がつけば、彼はカプセルから脱出していた。

緑の液体にまみれた自分の体の周りには、ガラスの破片が飛び散っている。


「魔王が脱走した!!取り押さえろー!!」

魔王脱走の光景は、監視カメラでしっかり捉えられていた。

沢山の職員が凄まじい勢いで部屋になだれ込み、静寂の空間は一気に変わり果てた。


「…邪魔だ!!」

魔王は、紫色の衝撃波を放って彼らを散らした!!



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