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ワンダーワールドⅡ  作者: 白龍
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悪鬼大発生 圧倒的拳滅鬼

赤い着物に赤い髪の女が、大きな鎌を持ちながら山道を歩いていた。

空はまさに日本晴れ。こんな日、世間ではピクニックやプールにでも行って楽しんでいるのだろう。

だが彼女に休息はなかった。


鬼子きこぉぉぉ!」

突如茂みから、彼女を呼ぶ声と共に、丸い形の影に黄色い目と口がついたような生物が現れた!


女はそれに対し、鎌を振って一太刀で切り捨てた。


体に赤い切り傷をつけられたその生物は、一緒に切り捨てられた草と共に地に落ち、気絶した。


女は再び足元に鎌を下ろし、何事もなかったかのように歩き出す。


「…このところ、悪鬼が多いわね」

鬼子は、真昼の空を見上げ、不穏な気配を感じ取っていた。




「おっらー!!!」

その頃、れなとれみは事務所で大騒ぎ。

狭い部屋のなかで走り回り、周囲の本棚や机が今にも倒れそうになっている。

葵はその勢いでサイドテールを揺らされながら止めようと必死だったが…。

れなが派手につまづき、れみに突っ込む。

ドミノ倒しのようにれみも正面の本棚に頭をぶつけ、本棚も倒れ、机も倒れ、部屋は丸ごとひっくり返ったかのように空中に色々な物が弾丸のごとく跳ねとぶ。


床に叩きつけられるれな、れみ、葵の三人…。

「いてえなぁ!!何突っ込んでんだ糞姉貴!」

本性を現すれみに対し、れなも舐めた口調で

「あなた走り回りましたよね?それいけない事ですよね?」

…お互い自分の事を棚にあげていた。


その時、インターホンが鳴り響く。

真っ先に焦ったのは葵だ。こんな散らかりきった時に来客か!?

これを片付けるには時間がかかるだろう。

仕方なく葵は、事務所内に入られないように接客する事に。

怪しまれないよう、わざと素早くドアを開き、愛想のいい笑顔を見せる。

「いらっしゃいま…」


葵の前に立っていたのは…赤い髪に赤い着物の女。


「き、鬼子!!」

れなたちと共に昔共闘した鬼子だ。

まさか鬼子が来るとは思わなかった葵は、呆気にとられたような顔をした。


「突然お邪魔して悪いわね。だとしても相変わらずっぽいけど」

とりあえず鬼子を部屋に入れ、紅茶を差し出す葵。

周囲に散乱した悲惨な家具たちは特に気にする事はなかった。

鬼子で良かった…と胸を撫で下ろす葵。

「それはそうと、今日はある事をお伝えに来たの」


鬼子が訪問してきた理由は、どうやら最近また悪鬼たちの行動が盛んになっている事を伝えに来たらしい。

悪鬼というのは鬼子が昔から対立している、モンスターとはまた違った地獄の生物たちだ。

「それで、貴女たちにも警告しに来たのよ。近いうちに悪い事が起きると思うわ」

鬼子の言葉を聞き、葵の頭にやつの顔が浮かぶ。


「…リューガ」



その頃、テクニカルシティの住宅地では、ある事件が発生していた。

「助けてくれえええ!!」

人々が逃げ惑うなか、黒いゴリラのような体格に、額には赤い宝石が嵌め込まれた生物が。

身長は十メートルほどはある。まさに巨大ゴリラだ。

周囲の建物を拳を振るわせて破壊していくなか、ゴリラの頭上に何かが飛んでいた。


ドローンだ。

闇という漢字が書かれた黒い紋章が描かれている…闇姫軍のものだ。


ドローンから送信される映像を見て、闇姫は豪華な赤い椅子に座りこんで優雅な一時を過ごしていた。

「最近なぜかは知らんが悪鬼たちがよく出るようになった。あの拳滅鬼けんめつきも我が軍の力となれて光栄だろう」

今回の騒動は、闇姫の仕業だった。

ただ、悪鬼の行動が盛んになっている事は、彼女でもよく分からないようだ。

どちらにせよ、拳滅鬼と呼ばれたゴリラ悪鬼は破壊の限りを尽くしていた。


その悪鬼としての力は、鬼子の全神経を揺るがすような勢いで彼女に届く。


「…!悪鬼がどこかで暴れてるわ」

その台詞で、転がった家具に埋まっていたれなとれみがようやく顔を出した。



空中飛行ができない鬼子は、コンクリートの地上を走り抜けながら力を辿っていく。彼女の頭上ではれな、れみ、葵の三人が飛行して鬼子を追いかけていた。


「…あれね!」

鬼子が見上げる先には、巨大な黒いゴリラの悪鬼、拳滅鬼。

目を赤く光らせ、鋭い牙をちらつかせながら暴れる様は、れなでさえも一瞬怯む程の迫力だ。

このまま放っておく訳にはいかない!


鬼子は驚異の跳躍力でビルを蹴りながら拳滅鬼に近づいていく。

町でも特に高いビルの屋上に辿り着き、フェンスを踏み台にして飛び上がり、拳滅鬼に鎌を振り下ろす!

拳滅鬼は右手を突きだして彼女を殴り飛ばそうとした!

「危ない!!」

突きだされた拳に向かって飛んでいくれなとれみ!


抜群のコンビネーションで拳滅鬼の拳を両手で受け止め、鬼子を守り抜く。

「今だ鬼子!」

二人の合図と共に、空中で鎌を振りかぶる鬼子!

「獄昇天法!(ごくしょうてんぽう)」

鬼子が叫ぶと、鎌は赤い炎を纏って拳滅鬼に振り下ろされ、体を切り裂く!

悲鳴をあげる拳滅鬼。腕を振り回し、やがて炎が全身を包んでいく。

そして、拳滅鬼の姿はゆっくり消えていく。



そして、あとには破壊された建物が並ぶテクニカルシティのみ。


「本来いるべき場所である地獄へと送り出したわ」

鬼子はビルの壁に足を突っ込ませ、上手く速度を保ちつつ地上に降りたった。

ハイタッチするれなとれみ。

「それにしても…何故悪鬼の行動が盛んに…」

鬼子は、やはり何か嫌な予感がしてならなかった。

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