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ワンダーワールドⅡ  作者: 白龍
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四つ葉とドクロの協力プレー

黒い雲が覆う暗黒の空の下、闇姫軍はある作戦会議に集まっていた。

大きなテーブルを囲うように様々な動物の姿をした上級悪魔兵士たちが座り、一番奥には紫色の球体の体に翼を生やした悪魔、闇姫軍四天王のデビルマルマンが、他の兵士たちを見下せるように高い椅子に座っていた。

「勇者エメラルドの欠片。あれは諦める」

デビルマルマンの放った発言に、悪魔たちは立ち上がりそうになる。

伝説の勇者の欠片。

この上なく強大な力を、どうして諦めてしまうのかと。

兵士が聞く前に、デビルマルマンは静かに説明した。

「貴様らにあの力を抑えられると思うか。伝説の勇者の力だぞ?」


悪魔たちが座りだす…。

「俺ら四天王や闇姫様ならあんな物指一本で扱えるが、お前らは…」

小馬鹿にしているように密かに笑うデビルマルマンを睨む兵士も少なくはなかった。険悪な雰囲気に嫌気が差したのか、鹿のような顔をした一人の若い兵士が手をあげる。

「では!我々はまた強力な資源を手放し、戦力は後戻りですか!」

デビルマルマンは、短い手を振って短い足を組む。


「悪鬼を使え。エメラルドほどではないが、使えない事はない…」




人間界にて…。

森の鳥たちが一斉に飛び去り、丁度散歩をしていたドクロが空を見上げる。

今日の天気は曇り。雨は降らなそうだが、森はどこか寂しげな寒気に包まれている。

「四葉、風邪引いてないと良いけど」

森に住むクローバー族の仲間…四葉の心配もあってここへやって来たのだ。

ドクロは、早いところ済ませようと森に入っていった。


森の奥では…その四葉が花の水やりをしていた。

桃色の髪に黄色一色の着物と緑の帯、黄色のハートの髪飾りに四葉のクローバーの髪飾り。その姿は、都会では決して見ないような、まさにクローバー族の姿だった。

幼い四葉だが、毎日こうして森の花の世話を欠かさない。それ故に、モンスターに襲われる事もしばしばあった。

鼻唄を歌いながらジョウロで花に水をやっていたが…。

「ん?」

彼女を、大きな影が呑み込んだ。


振り替えると、巨大な青い大蛇がこちらを見下ろしていた…。

黄色い目は白い血管のような管が浮かんでおり、口からは紫の液体が垂れ落ち、並べられた牙は殺意を剥き出しにしている…全体的なシルエットはコブラと近いが、頭には角が生えていた。

「きゃー!!」

短い悲鳴をあげながら、四葉はたまらず逃げ出した。

コブラは一瞬で口を開き、目の前の花に飛び込んで一呑みにする。

四葉は茂みを掻き分けながら逃げていくが、蛇は意外に速いのだ。すぐに追い付かれてしまい、噛みついてきたところを跳ねてかわすしかない。

四葉はだんだんと疲れて涙目になってきた。

「助けてー!!」


その時!

コブラの頭に衝撃が走り、勢いのままに転倒させた!

砂煙をたてながら倒れるコブラを見て、四葉は体を前のめりに倒しながら困惑の表情。

同時に、彼女の小さな手を、綺麗な白い手が握りしめた。

「走って四葉!」


手をひいたのはドクロだ。何とか間に合った。朝から感じていた嫌な予感が当たったようだ。

走って声を荒げつつも、ドクロは話した。

「やつは青蛇鬼せいじゃき。悪鬼よ」

呼吸と呼吸の間にてんぽよく台詞を入れるかのように話していく。

「最近悪鬼が大発生しているの。この森もそろそろ安全ではなくなるわ」

あんな怪物が何匹も…?四葉の顔に不安が溢れる。


…だが、目の前のドクロの背中を見ていると少し安心できた。


背後から豪音が響く。

青蛇鬼が起き上がったのだ。

「速度あげるわよ!」

四葉は引きずられそうになりながらドクロに必死についていく。

背後から迫る毒牙は今にも二人を食いちぎってきそうな勢いだ。

ドクロが飛び跳ね、四葉は空中でバランスをとる。


跳び跳ねた先には、大きな木が立っていた。

二人はその陰に隠れ、青蛇鬼の目を逃れる手に出る。

青蛇鬼はこちらを見失い、その巨体をくねらせながら二人のそばから離れていく。


「ふー…」

まずは一安心…。四葉は今まで溜めていた息を吐き出すように胸を撫で下ろす。


だが、休息という名の天使はすぐに二人から離れる事になる。

「ふうううううううううううううう!!!!!!」

あまりに安心しすぎたのか、ドクロがとんでもない息を吐き出した。

周囲の草木も大きく揺れ動き、あまりの息にドクロ自身も吹き飛ばされそうになっている。


青蛇鬼が、こちらに気づく。四葉はドクロの手を掴んで逃げ出した。


「くっ!このままじゃ追い付かれます…!」

四葉とドクロは必死に逃げ続けるが、青蛇鬼の学習能力は高い。二人の動きを読んでいき、先回りしたり頭上を飛び越えたりと二人を翻弄する。

その度に毒の牙で噛みつこうとしてくるのだからたまったもんじゃない。

このままどこかに隠れてもすぐに見つかるだろう。

(こうなったら…!)

四葉は決心した。

戦わなければ、この恐怖は終わらない。


四葉は足を止めた。ドクロは勢い余って転びそうになっている。

「えっ?ちょ、四葉!?」

四葉は、黄色い瞳を輝かせながら青蛇鬼を睨む。その勇気を踏みにじるように、青蛇鬼は口から毒液を涎のように垂らし、横幅の広い首を更に広げて威嚇する。

ドクロは手を伸ばし、四葉を守ろうとした。だが、彼女は守られてばかりいるほど柔な子供ではない。

四葉は気を集中させた。

同時に彼女の周囲に葉っぱが集まりだし、竜巻のように周りを回りだす。

四葉が両手をあげると、葉っぱたちは徐々に一つの場所へ集まり…。



青蛇鬼が、大口を開いて四葉に飛び込む!


四葉の目が、開いた。


集まった大量の葉っぱが、青蛇鬼の口内へと飛び込む!

青蛇鬼はガラガラ声をあげて驚いた。口の中を葉っぱで切られ、自慢の食欲ももう無くしてしまう。

葉っぱを吐き出し、口が使い物にならなくなる事に気づく。

尻尾を縦に振りながら慌てる青蛇鬼に、今度はドクロが飛びかかる。

「くらえ!!!!!」

ドクロの両足が青蛇鬼の頭部に炸裂し、吹っ飛ばした!

青蛇鬼の長大な体が木を押し倒し、砂煙をたてながら地面に擦り付けられるように倒れる。


青蛇鬼の体は青い粒子と化し、どこかへ飛んでいってしまった。悪鬼を倒すと必ずこうなるのだ。

その粒子はどこへ向かうのか…。ドクロは何となく嫌な予感がし、それを追わなかった。



粒子が向かった先には、茶色のマントに屈強な肉体を持つ鬼…罰悪修羅が、森の大岩の上から二人の戦いを見下ろしていた。

青の粒子を右手に集め、そのまま握り、自身へと取り込む。

「こいつに苦戦する時点で、このワシに勝てぬ事はもう確定だ」

マントを翻し、罰悪修羅は森の木々に紛れて消えていった…。

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