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ワンダーワールドⅡ  作者: 白龍
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黒い意思 天へと昇る

一気に決着をつける為、闇姫は隠していた黒い尻尾を突き出した。

「この闇姫様にここまで楯突くとはな。一思いに殺してやろう」

闇姫は、妹たちの亡骸を背に、リューガに手の平を向けた。



同時に手の平から放たれる何十発もの赤い光弾!

それらは全てニヤケ面のリューガ目掛けて飛んでいく。

リューガは難なく跳ねてそれを回避するが…。


リューガの表情が、またもや一瞬歪む。赤い光弾は彼を追いかけてくるのだ。

空中に飛び上がった事で光弾も向きを変えて上へ向かって飛んでいく。

はたき落とそうとするが、光弾の速度は尋常じゃなく、避けるのに専念するしかない。


更にそこへ闇姫は翼を広げて飛んでいき、リューガの顔面に鋭い拳を突く。

その勢いに、リューガは怯むと同時に光弾に激突、爆発に巻き込まれる。

吹き飛んだところへ闇姫の回し蹴りが脇腹に炸裂!

「ぐはっ」

若干無気力ながらも、リューガはハッキリと息を吐いた。

怯めば闇姫の拳が彼を突き、突かれれば光弾にぶつかって怯んでしまう。

見事なループだ。

そのままリューガははめられ、ハッキリとダメージを受けていた。


闇姫は彼の腹を全力で蹴りつける。同時に周囲の空間が振動し、揺れ動いた。


闇姫は更に魔力を溜め、全身に黒いオーラを纏う。

リューガは空中で姿勢を整えるが、遅かった。

闇姫の赤い目が一層輝き、リューガに目線をあわせる!


「魔眼砲!!」

鋭い赤い目から放たれる破壊光線!!

リューガに直撃した光線は槍のように彼を突き刺さんばかりの勢いで宙に押し上げていき、魔力が拡散し、大爆発する!

赤と黒の禍々しい爆発の嵐。闇姫は再び翼を羽ばたかせて飛行、空中から落ちていくリューガの落下地点に先回りする。


落ちてきたリューガの背中に、闇姫は右膝を振り上げて彼の背中に叩きつける!

落下の勢いと膝蹴りの勢いが直撃し、背骨が折れる音がハッキリと響く。

吐血するリューガ。


更なる一撃が待っていた。

闇姫は彼の胸に拳を振り下ろして地面に叩きつけた!

またもや島中が揺れ、黒い破片が飛び散った。

衝突の勢いでバウンドするリューガ。

バウンドしたところで、闇姫は彼をボールの如く蹴りつけ、吹っ飛ばす。


とどめとばかりに彼の心臓目掛けて尻尾を伸ばし、彼を串刺しにした!


石の地面に、彼の赤い血が落ちている。

リューガは震えながら弱々しい声を発する。

「ぐ…み、みごどだぁ…」

称賛も無視して闇姫は尻尾を勢いよく引き抜く。更に飛び散る血液。

うつ伏せに倒れるリューガの両目は、青くなっていた。



「…」

沈黙がよぎる。

リューガのあの禍々しい魔力は少しずつ薄れていく。

「死ぬ前に教えろ。何故殺戮をする?」


リューガは弱々しい薄ら笑いを浮かべながら答えた。

「分かるだろ…?これはゲームさ…。命を踏みにじるのは面白い。俺は面白いから…」








闇姫の全身に、突然衝撃が走る。


「やってるのさ!!」


いつの間にか、リューガは立ち上がっていた。

そしてその右手は、闇姫の胸を刺し貫いていた。


吐血しつつも、笑みを崩さない闇姫。

「…心臓を貫けば勝てると思ったか?私を見くびるな…」

「それが残念だったな、俺の魔力は相手の再生力を打ち消せるのさ。どんな生物だろうと、豆腐同然よ」


闇姫の笑みが、だんだん崩れていく。

「どうした?闇姫さんよ」

引き抜かれるリューガの手。

膝をついて、胸から流れる血を不思議そうに見つめる闇姫の姿は、リューガにとっては滑稽だったに違いない。


闇姫はかすり傷程度と捉えてすぐに起き上がり、拳を突きだそうとした。


だが、リューガは今の戦いで完全に闇姫の動きを把握していた。

拳を人差し指だけで受け止め、衝撃を周囲に逃がす。

歯を食い縛る闇姫。

今度は空中に飛び上がり、尻尾でリューガを滅多刺しにしようとする。

「くらえ!!」


尻尾を突きだした瞬間…リューガは平然と闇姫の尻尾を右手の人差し指と中指で挟む事で受け止めた。

闇姫の黒目が縮小する。


同時にリューガが赤く光り、尻尾を通して闇姫の体を感電させる。

赤い電撃に全身を震わされ、煙をあげながら苦しむ闇姫。

「ぐああああああ!!!」

地面に叩き落とされ、膝をつく闇姫に、リューガの容赦なしの膝蹴りが飛んでくる!

脇腹に直撃し、吐血する闇姫。

そこから何度も頭を踏みつけられ、立ちあがる気力さえもなくしていく。


リューガはより不気味な笑顔を浮かべると、空高く飛び上がって両手に紫のエネルギーを集め始めた。


「ちく…しょう」

紫の光に照らされながら、闇姫は必死に立ち上がろうとする。

全身に絡み付く激痛は、脳を直接いたぶるかのよう。

明らかに普通の戦士の攻撃ではない。


世界の危機…闇姫は感じ取った。


そんななか、苦し紛れだと分かっていても、闇姫は挑発を忘れない。

「…ふふふ、お前なような下品な悪党がいるか」

ヨタヨタと立ち上がる闇姫。




空を見上げ、紫色に輝くリューガに、最期の言葉を叫んだ。


「…世界は私の物だ!全ての支配者はこの私だ!お前のような屑の玩具ではない!!」


闇姫はもはや、抵抗もしなかった。


生まれて初めて、敗北を悟った。


リューガは彼女の最期の言葉を聞くと、つまらなそうに表情を曇らせ、右手を突き出す。


右手の平から放たれる巨大な破壊光線!!

地上にいる闇姫に猛速度で近づき、そのまま竜のごとく飲み込む。


闇姫の全身に、更なる激痛が走り抜ける。

すぐに殺してしまわないように、わざと威力を加減していたのだ。

死んでしまうギリギリの痛みが全身を貫く。

「私が死すとも、闇は滅びぬ!お前を飲み込む巨大な闇が訪れる日は…そう遠い未来ではない!」

かつてあげた事のない声をあげ、エネルギーに徐々に飲み込まれていく。


「惨めなゴミが!死ぬ時はとことん苦しめ!!」

声が出なくなるその瞬間まで、闇姫は叫んだ。


その勢いで空中に押し上げられ、リューガの目の前を通過し、空高く昇り…。











一瞬閃光を放つと、巨大な大爆発が起きた。

それと同時に、闇姫の魔力は跡形もなくこの世から消え失せた。











「闇姫でさえも、最期の時が一番美しいな」




夜空の星が、一瞬闇に飲み込まれた。





「さて…コンプリートだな」

リューガは、冷たいため息をつくと、どこかへ向かって歩いていった。

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