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ワンダーワールドⅡ  作者: 白龍
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闇姫VSリューガ

冷たい風が吹く。


道化師と悪魔が、向かい合ってお互いの気持ちを弾ませあう。

それは、殺意。

殺人鬼と化した二人の、殺意の戦い。


「…っ」

ほんの一瞬の呼吸と共に、闇姫は飛び出した。

黒いスカートから尻尾を射出し、地面に叩きつける事でより勢いをつける。

その勢いにのり、リューガ目掛けて拳を叩き込む!


リューガは闇姫の攻撃すら、右手の平だけで受け止めた。拳をどけつつ、リューガは嫌な笑顔を見せる。


同時に闇姫の赤い左目が光り、ゼロ距離から魔力の波動を解き放った!

「…む?」

リューガの笑みが崩れ、同時に魔力の波動に巻き込まれ、周囲の岩石を破壊しながら吹き飛ばされる。


「…」

意外な抵抗に、リューガは空中で勢いよく回転して周囲の瓦礫を振り払いつつ着地する。思った以上の実力に、リューガは右手の拳を握ってハッキリとした戦闘姿勢をとる。

少しでも沈黙がよぎれば、冷たい風が吹き荒れる。


それからは、二人の打撃がひたすらぶつかり合った。

その度に巨大な衝撃波が生じ、島の各所の岩石が崩れ落ち、そして破壊される。

二人の破壊者の闘魂、殺人鬼の殺意は凄まじい程に燃え上がっている。何事にも捕らわれない、お互いを殺さんとする明確な殺意。


リューガは空中に飛び上がると、両手を向けて勝ち誇ったように笑った。

闇姫に見上げさせる隙も与えず、両手の平から赤い光弾を連射してくる!!

闇姫の頭上から降りかかる幾千の赤い破壊光弾。

闇姫は舌打ちすると、両手を構えて防御するしかなかった。


闇姫が爆発の煙で見えなくなる…。

当然島の岩石は周囲に飛び散り、いつの間にか空中で消滅している。


「さあ、これでどうかな?」

リューガは念入りに五分ほど光弾を撃ち続けた。

リューガの両手から魔力で発生した煙が吹き出ている。

様子を見る為、両手から風を放ち、周囲の煙を打ち払う。


「派手にやったぜ」

リューガは両手を頭の後ろで組んで、巨大な穴が空けられた島の大地を見下ろしていた。


穴の下には青い海。島を丸ごと貫通してしまったのだ。

そこに闇姫の姿はない。

リューガは、思った以上の呆気なさに思わずため息をつく。




だが…。




何かの衝撃波が発生し、島の出っ張った岩石たちは一斉に破壊される。

突然の豪音に耳を塞ぎつつ、リューガはニヤリと笑ってみせた。


「…意外とやるな」

リューガは驚かない。

むしろ、安心したような顔をしていた。



巨大な穴を紫のオーラで更に広げながら、瓦礫を纏った闇姫が翼を広げて上昇してくる。右腕を少しだけ押さえつつも、リューガには余裕の無表情を見せつけた。

無表情に対するリューガの笑顔。


二人はお互いに地上に着陸し、地上戦に固定する事にした。

「地上戦なら少しだけこの戦場が崩壊するのを防ぐ事ができる…」

闇姫の提案だ。

やつを苦しめる為には、この戦場が壊れてしまうのを少しでも防ぐのが最善の策なのだ。

あの態度、あの余裕…全てが闇姫の気に触っていた。

リューガはそんな彼女を挑発するように、舌を出して思い切り馬鹿にした顔を見せた。


「…」

飛び出しあう両者!

闇姫の渾身の回し蹴りをリューガは難なく跳ねて回避し、闇姫の頭部に逆に回し蹴りを放とうとする!

闇姫は頭を動かして、黒いツインテールをリューガの顔面にぶち当てる。

勿論偶然ではない。闇姫のちゃんとした策なのだ。

髪の毛がぶつかって一瞬だけ生じたリューガの隙。

闇姫は右手の拳を彼の腹部に叩き込んだ!


リューガは、初めて苦悩に歪んだ表情を見せる。

「こいつは…効くな」

拳から放たれる衝撃を逆に利用し、吹き飛ぶことで距離を離すリューガ。

闇姫は今度は地面を踏みつける事で足を地中に叩き込み、そのまま振り上げる事で地面を抉るように岩を蹴り飛ばす!

リューガ目掛けて飛んでくる無数の瓦礫。

リューガは両手でどんなに小さな瓦礫も見逃さずに裏拳を打ち込んでいき、砂粒に変えていく。



…闇姫はその隙を見逃さない。

瓦礫と共に、拳を構えて飛んでいく!リューガが気をそらした隙をつく作戦だ。

「くらいやがれ!!」

闇姫の黒く輝く拳が、憎きリューガの顔面に見事に直撃、同時に闇のエネルギーが黒い爆発を引き起こした!!

…瓦礫の雨がまた降り注ぐ。


リューガは、背中を大きく反らして、僅かに震えていた。

ここで彼を見過ごす闇姫ではない。この絶好のチャンスに、闇姫は容赦ない攻撃を叩き込む。

背中を反らしてるリューガの胸に、闇姫の拳が振り上げられ、命中。

やはりダメージは受けてるらしく、リューガは大きく息を吐いて猫背になる。

猫背になったところへ闇姫の膝蹴りが腹部に直撃。

衝撃に押し潰されるように膝をつくリューガを、闇姫は赤い目で見下していた。

「どうした」

闇姫はリューガの胸ぐらを掴む。

リューガはやはりニヤニヤと笑うばかりで、闇姫を挑発し続ける。

彼の顔面を空いた方の拳で殴り続ける闇姫。


そして再び大地に座らせると…。


闇姫の拳が黒い光を纏い、そのまま振り上げられてリューガの顎に直撃!

まるで空に吸い込まれるような勢いで飛ばされていくリューガ!

闇姫の闘志が直接炸裂したかのようだった。

空高く飛んでいき、地上に背中を向けて落ちてくるリューガ。


闇姫は念入りだ。

落下途中のリューガの上に飛び上がり、右手を突き出してリューガの憎たらしい顔面を鷲掴みにする。

そのまま落下の勢いにあわせて手先に力を込め、リューガを大地に叩きつける!

島全体を揺るがす衝撃が貫き、空中にぶちまけられる岩石…!




リューガは叩きつけられ、全身をピクピクと震わせていた。

正直、闇姫はこれだけの攻撃を叩き込んだのはかなり久々だった。それほどまでにこいつの力は大きく、危険な物だと察知していたのだ。

だが、もうここまでやれば、さすがに消耗しているはず。

油断するような闇姫ではないが、そんな確信はあった。

倒れたリューガに歩みより、黒いハイヒールにわざと足元の泥を塗りつける。

そのままリューガの顔面を踏みつけようと、足を振り上げる…。



その時…!


「!!」

闇姫の全身に、殺気が走った。

半ば反射神経に身を任せつつ、素早くバク転する事で彼から離れる。


「なかなかやるじゃん?」

リューガは、もう何もかもダメージを忘れきっていた。

何事もなかったかのように平然と起き上がり、軽く首と肩を鳴らして闇姫の方に向き直す。

闇姫は、普段ほとんど見えない困惑の表情を浮かべた。

その表情に込められた感情は困惑だけじゃない。


僅かな恐怖も…混じっていた。

服を軽く払いながら歩いてくるリューガ。


闇姫は初めてこう考えた。


殺される前に殺せば良い、と。


殺される恐怖を、初めて知ったのだった。



リューガは、一瞬彼女を挑発するような笑顔を浮かべると、地を蹴ってこちらに向かってきた!

単調な動きだが、闇姫は警戒を固めつつ体全体を動かして突き出される拳を回避する。

隙を見てリューガの視界から消えるように左に跳ね飛び、彼の背後に素早く回る。

手の平を彼の背中に向け、ゼロ距離から破壊光線を放って彼を跡形もなく消し飛ばすという戦法だ。


だがリューガは凄まじい反射神経を見せた。

背中を大きく反らす事で、背後の闇姫に頭突きをお見舞いしたのだ。

「ぐっ!!」

予想外の攻撃にさすがに闇姫は怯んだ。

リューガの逆さ顔は気味が悪いほどの笑顔を浮かべると、両目を紫色に光らせて光線を放ってきた!

闇姫の胸に衝突した光線。

光線の細さに似合わない衝撃が走り、闇姫は投げ飛ばされたかのように飛んでいく。


岩石に衝突して破壊、破片が頭上から降り注ぎ、久々に大きな攻撃をもらった闇姫。

それでも無表情のまま立ち上がり、リューガを挑発した。

「少しは効いたが、その程度か?思ってたより大した事のないやつだ」

挑発にのるどころか、さも面白そうにニチャリとした笑顔を見せるリューガ。

二人の殺意を運ぶように、静かで、しかしヒンヤリと鳥肌のたつような風が吹いてくる。



その時…。

闇姫は、二つの魔力が近づいてるのに気がついた。


その魔力の主を知った途端、闇姫の無表情が一瞬動く。

リューガはそれを見逃さなかった。




空の果てから、黒い光が二つ飛んでくる。


「御姉様ぁー!!!」


闇姫の妹、黒姫と影姫だった。


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