最期の希望は黒く笑う
「こいつぁ爽快だな!」
リューガは、両手の指から赤い光線を連射して隣町で破壊の限りを尽くしていた。
次々に家から出てくる人間たち。光線は彼らを的確に貫いていき、血の雨が降り注ぐ。
光線に貫かれて死亡する者もいれば、命乞いをしつつも頭を滅多撃ちにされる者、子供を抱き抱えて逃げようとし、足を撃たれる母親。
「こ、子供だけは…!子供だけは助けて…」
「知らねーよカス」
リューガは、二人の親子さえも犠牲にした。
そのまま隣町はどんどん崩壊していき、もはや町の原型さえ留めない程になっていく。
「これでおしまいだな?」
リューガは、町の人間たちの死体を見下ろしながら、空中に飛び上がる。
両手を天に掲げて魔力を集め、巨大な紫の光弾を作り上げる。
このまま隣町もろとも、周囲の地形を破壊し尽くすつもりなのだ。
魔力の塊と言える巨大な光弾は、稲妻のようなオーラを纏っている。笑いながら光弾を振り落とそうとするリューガ!
その時、リューガの光弾に何かが命中した。
同時に光弾はリューガの頭上で爆発、光弾を形成していた魔力が分裂し、真下のリューガに大量に降りかかる。
紫の光がしばらく空中に展開され、ゆっくり消えていく。
光が完全に消え去る頃には、リューガは真顔で自身の真横に目を向けていた。
まだ一人、邪魔が残っていたのだ。
灰色の翼を広げて空を飛び、リューガを睨んでいた。
「おい貴様、どういうつもりだ」
闇姫が、赤い目でリューガを睨んでいた。
「どういうつもりって?俺はただ遊んでるだけだが?」
「そういう意味ではない。私ならこんなアホみたいな破壊はしない」
全壊した周囲の建物を見て、闇姫は呆れ気味にため息をつく。その目は、いつもの闇姫の目に戻っていた。
リューガもわざと憎たらしくため息をつき、闇姫の反応を待つ。
そして、闇姫は決意した。
「ここで話す訳にはいかないな…ついてこい」
翼をより大きく広げて飛び去る闇姫。
リューガは純粋な期待を抱きながら、闇姫の後を追って飛んでいく。
雲をすり抜け、広い大地を見下ろしながら、闇姫はある目的地を見ていた。
雲と雲の隙間から見える島がある…。
そこは、大きな山が中心にたち、周囲には草一本生えていない、岩の塊とも言うべき島だった。
振り替えると、あの島に行く事を悟ったらしいリューガが、余裕の笑みを見せてくる。
その通りだ。あの島が闇姫の選んだ戦場だ。
島につき、小波が揺れる音を耳にする。夜空の中心に浮かんでいる青い月が、島全体を照らしている。
闇姫が先に着陸、リューガは一応怪しんだのか、ゆっくりと闇姫のあとに降りてきた。
島に足をつけ、周囲には特に罠はない事を確認するリューガ。
もちろん闇姫が罠を仕掛ける訳がない。こんな時でもフェアな戦いにこだわるのだ。
闇姫は両手を構えてリューガに高圧的に発した。
「リューガ、お前を殺す」
リューガは地面から生えてる岩石に座ると、突然笑いだした。
狂喜…と呼ぶにふさわしい笑い声をしばらくあげ続け、そして顔をあげる。
「悪魔が俺が殺したやつらの敵討ちでもする気か?世も末だ」
面白さを抑えられないリューガに、闇姫も面白そうに薄ら笑いを浮かべた。
「そんなものに興味はない。私はお前が気に入らないから殺す。ただそれだけだ」
予想外の返答に、リューガはますます楽しんだ。
ニヤリとした笑みを浮かべつつ、自身の座っていた岩石を魔力で打ち砕く…。




