滅び行く仲間
場面は戻って森にて…。
暴走していたラオンは、れな目掛けて巨大な剣を振り回しながら向かってくる!
今の彼女のいわゆる「保護者」であるリューガが離れた事で、れなもラオンも闘争心が暴走し始めたのだ。
しかし、れなは僅かながら、本当に僅かだが、まだ善の心があった。
(…ラオン…!)
れなは、心の中で一言だけそう呟いた。
だが体は勝手に動き、ラオンへ向かっていく。
訳も分からず殺意にかられ、目の前のラオンを殺したくて仕方なくなる。
(…ダメ!何なのこれ…)
目の前のラオンには、そのような感情は全て消えていた。
今までれなたちと重ねてきた思い出、覚えてきた感情…。
全てを失ったのだ。
理不尽な運命のせいで。
れなも、不安定な意思のままにラオンと戦っていく。
振り下ろされた剣をかわし、かわし様に首もとに回し蹴りをお見舞いする。
(…死ね!)
思わずれなは心のなかで叫ぶ。
衝撃波が発生し、周囲の大地から泥が舞い、周囲の木々から血のように赤い実が落ちてくる。
かつて友人同士であった二人は、全力で殺しあった。
「おりゃあああ!!!」
れなは、ラオンの剣を持つ手を殴り付ける。
巨大な剣は回転しながら宙を舞い、地面に突き刺さる。
武器を手放したラオンは足を深め、両手を掲げて構える。
れなは、取り戻していた理性を再び失い、拳を向けて心を殺意で満たす。
れなとラオンは突っ込みあい、拳を交わしあう。
組手で鍛えぬいてきたお互いの拳が、炸裂しあい、お互いを殺す為に成果を出す…。
「うおおおおお!!!!」
れなの拳がラオンの顔面に激突し、ラオンの拳がれなの顔面に激突する。
お互いの手を掴み合い、顔を近づけ、鬼の形相で睨みあう。
訳も分からない殺意は、二人を殺人鬼も同然の存在へと変えたのだ。
「…おらああああ!!」
「くああああああ!!」
同時に叫びあい、それぞれ渾身の力を込めた蹴りが、同時に体を蹴りつけあう!
れなは激痛で腹を抑え、ラオンは勢いよく吹き飛ばされて仰向けに倒れる。
れなは痛みにもがきつつも、ラオンのこの隙を見逃さなかった。
すかさず刺さっていたラオンの剣を引き抜き、そのまま仰向けのラオンに全力で振り下ろす!
幾つもの部品が破壊される音と共に、ラオンは悲鳴をあげた。
れなは刺さった剣を左右に引き合い、体を抉る。
アンドロイドの血であるオイルが飛び散り、部品やコードが剥き出しになる。
体に大穴を空けられ、大半の部品が押し潰されたラオン…。
だが彼女はまだ生きている。
その目は…ほんの僅かに、光があった。
そして、こう呟いたのだ。
「れ…な…」
そんなラオンの首目掛けて、れなは剣を振り下ろした。
「…はっ…」
その時、れなの目が、殺意から解放された。




