シャナイVS光姫
「…全ては、あんたたちの姫様が油断したせいさ」
光姫が堕ちた理由を聞きながら、シャナイは拳を震わせていた。
そして、一片の容赦もなくリューガに剣を向ける。
リューガはやれやれと首を振り、彼の姿勢に呆れたような調子を見せた。
「シャナイ、お前が相手すべきはお前たちの大事な姫君だぞ」
リューガが指を鳴らすと、光姫は全身から禍々しいオーラを放った。
オーラの色は紫と桃色…。それは、光が変質した邪気そのもの。原型を留めていない…。
今まで数々の戦場を渡ってきたシャナイでも、さすがにこれは苦でしかない。
自分達の守ってきた王国のリーダーを相手することになるとは。
光姫は操り人形のような挙動で浮かび上がり、建物の上へと浮上。両手を構え、力を集中させる…。
同時に手の平から放たれる白い破壊光線!
周囲一辺に放たれた光線は、長い文化を持つ白い美しい建物を一瞬にして真っ二つにする。そのまま回転する事でより多くの物を巻き込んでいき、光姫の周囲にはあっという間に火の海が展開される。
シャナイの耳に、人々の悲鳴が飛び込んでくる。
シャナイの剣、黄金の鎧は、周囲に燃え上がる炎の光を反射し、輝いた。
空中の光姫に、剣を向ける。
「…俺は、この王国を守る使命がある。相手が誰であろうと」
たとえそれが姫様であろうと。
シャナイは、その言葉を口に出せなかった。
地を蹴ってヒビ割らせ、光姫目掛けて飛行、足を突き出して向かっていく。
光線を放っていた光姫に蹴りが命中し、光線を止める事に成功する。
シャナイは更に剣を取りだし、光姫に向ける。
…だが、これ以上の攻撃が中々できなかった。
(まさかこんな形で手合わせする事になるとは)
シャナイに向かってくる光姫は、両手を白く光らせていた。
シャナイと光姫がすれ違いあうと同時に、お互いの攻撃を叩き込む!
シャナイは剣による斬撃を、光姫は両手に集めた光の魔力をシャナイを叩く事でぶつけ…。
光姫の胸元から、赤い血が白い光と共に飛び散ってくる。
そして、シャナイの鎧はひび割れ…。
「ぐあああっ…!」
彼の素顔を隠し続けてきた兜が、崩壊した。
金色の髪を持ち、決意に満ちた目を持つその顔は、光姫がまだ幼かった頃、彼女の世話をする際に彼女に見せてきた顔だった。
「…姫様…」
落下しつつ後ろを見ると、そこにはやはり無機質な目の光姫。
…この邪悪なオーラ、もう彼女を戻す事はできない。
このまま国が滅ぶのが先だ。
シャナイは、覚悟を決めた。
「お許しください…」
シャナイは、剣に全ての光を集めて白く光らせ、凄まじい勢いで横に振る!
金色の三日月型の光線が光姫に飛んでいき、直撃!
光姫の周りが目映く輝き、一瞬にして大爆発を起こした!
周囲の気温が一気に上昇し、その光の破壊力を物語る。
「…」
その光景は、偵察に来ていた「彼女」もきちんと見ていた。
「…光姫もくたばったか」




