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ワンダーワールドⅡ  作者: 白龍
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光姫 変貌

シャナイの前に現れた光姫の目は…無機質だった。

「姫様、どこへ行ってらしたのですか…」


シャナイの言葉は、光姫の耳には届いていなかった。

ひたすら俯き、ただ潜めるように息をするのみ。

リューガの幻覚は光姫の横に立ちつつ無慈悲な笑顔で説明を始めた。

「こいつがこうなったのは、つい先程の事さ」





光姫は、今まで光王国から抜け出し、元テクニカルシティ近くの森で偵察兵たちの援護に向かっていたのだ。

「…お父様やシャナイに外出許可をもらってない…。焦りすぎましたね…」

外出許可を得ず、焦りのままに飛び出した事もあり、光姫は早く偵察兵たちを見つけ出そうと緑に包まれる森に足を踏み入れていた。

冷たい風で揺れる木々、地面には無造作にすら感じる程に様々な方向に向かって生えた雑草。

光姫は、ほんの僅かな恐怖心を抱えつつも、勇気を振り絞って森を歩んでいた。


一層強い風が、彼女の金の髪を揺らす。

「!!」

光姫は、この時感じた。


風に運ばれてきた森の匂いと一緒に…生臭い血の臭いも運ばれてきたのだ。

「急がないと…!」


草の音を鳴らしながら走っていく光姫。


「…!」

血の臭いを辿り、その場所に辿り着く。

森の小さな広場だった。

草は僅かに生えてるだけで、あとは干上がったような土だけが、その広場を構成していた。


…そしてそこには、れなとラオン、そして血まみれで倒れたドクロ。

そして、石に座り込んだリューガ。

「オッホー、これは珍しいな」

光姫は困惑しつつも、瞬時に状況を理解した。


「れなさんたちを…返して!」

リューガは相変わらず馬鹿にした顔で光姫を挑発、何の返答もない。

光姫は問答無用で地を蹴り、リューガ目掛けて飛んでいく!

右手の拳に光の力を集め、金色に光らせた。

「くらえ!」

光姫の拳が突き出され、真夜中の森が昼間のように明るくなった!!



「…え?」

光姫の渾身の拳は…リューガの人差し指だけで受け止められていた。

そのままリューガは光姫の拳を掴み、身動きを封じる。

凄い力で拳を握りつぶされそうになる光姫。

苦痛に顔を歪め、悲鳴をあげる。


リューガはそんな彼女の顔を楽しむように見下し、何かを取り出した。


「そ、それは…!」

光姫の黄色の目に、禍々しい力を放つ黒い結晶が差し出される。

その力は…まさに光姫が感じていた強大な力。

触れればただではすまないと、もう分かっていた。

もがく光姫だが、まるで動けない…。直接張り付かれているようだ。

「くっ…ならばせめて…!」

光姫は、掴まれていない左手に桃色の光を集める。

優しい光だ。周囲の木々もその光に反応し、僅かに揺れている。

光姫の手が突き出されると同時に、光は周囲に霧のように広がった。

リューガは少し驚いたような顔を見せる。

「!な、なんだこれは…」

煙たそうに光姫の拳を離すリューガ。

光姫は、この光でダメージを与えられるとは思っていなかった。


「これは、浄化の光!れなさんたちを返してもらいますよ!」

光はれなたちを包み込み、悪の心を打ち消そうとしていた。

リューガは膝をついて息を切らしている。


「くらいなさい!」

光姫は、リューガに飛び込んで右手の平を向けた。

同時に、白い破壊光線がリューガに放たれ、あっという間に飲み込んだ!

周囲が真っ白に照らされる。


「…」

あとには、地に伏したリューガ、手の平を構えたままの光姫。

そして、桃色の光に包まれるれなたち。


光姫は、れなたちを見て拳を握る。

…浄化は成功した。


しばらく待てば元通りになるはずだ。

「…それにしてもこいつは一体…」

リューガを見下ろす光姫。

光姫が他人をこいつと言うのは珍しかった。それほどリューガの邪気を感じていたのだ。

とりあえず今はれなたちに事情を説明し、ドクロを助けないといけない。

光姫はれなたちに歩み寄り、浄化が完全に成功するのを待つ事に。





直後、光姫に鈍痛が響いた。



光姫は顔を歪ませた。



目の前のれなが、拳を突き出してきたのだ。

光姫は腹部を渾身の力で殴られ、油断していた事もあって全身に衝撃が走り、口からは血が流れていた。

後ずさる光姫だが、背後からも殺気を感じた。

恐る恐る振り替えると、そこにはれなと同じ目をしたラオンが…。



そして、リューガが起き上がる。

「…まあまあやったと褒めてやるよ。だが、俺の洗脳をそんな光で解けると思ったか?」

リューガは傷一つなかった。


光姫の顔が、一瞬絶望で歪む。


れなとラオンが無慈悲に襲いかかり、二人を攻撃したくない光姫は一方的に殴られる。

また振り出しに戻ってしまった。


「くっ…!」

光姫は、決死の思いで右手を天に掲げ、自身の頭上に黄金の光を集めだした。

この大技を繰り出すしかない。光を集めながら、彼女は自身の体力を削っていた。


光を集めるのに必死な光姫を、リューガが見逃す訳がない。

「やっちまったな姫様よ。隙を見せるなんてあんたも甘い」

リューガは、黒い結晶を右手に持ち、凄まじく邪悪な笑みで光姫に向けた。


「あんたも終わりだ」

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