滅するか 光王国
数時間前の闇姫の来訪、そして光星王の死を見届けたシャナイは、複雑な感情を抱えていた。
午前二時。
凄い豪音が、光王国に響いた。
見ると、光王国の美しい城は、大量の触手によって倒壊していた。
真夜中の闇を照らしながら倒壊する城を見て、既に光星王死亡の報告を聞いていた国民たちは、すすり泣く者、何が起きてるのか分からず現実を受け入れられない者…多彩だった。
兵士たちは城下町の人々をパニックにさせないよう冷静に振る舞っているが、彼らが一番気が狂うような思いを抱えていた。
自分達の主が、こんな形で、あんな得体の知れない者に殺されたのだ。
戦争も始まっていないというのに。このままこの国はどうなってしまうのかと。
広場にある程度の国民を集め、兵士たちは敬礼する。
「…国王陛下は、光となりました。しかし国民の皆様、決して希望を捨ててはなりません。王が天に召されても、この国は…」
兵士たちの演説の最中、シャナイは一人城下町の路地裏に行っていた。
薄暗い路地裏で、彼は王の死を受け入れようとしていた。
彼も兵士の一人。
冷静に振る舞いながらも、その黄金の兜の向こう側では、悲しげな表情を浮かべていたのだ。
「…こんな形で亡くなるとはな」
シャナイは、建物の隙間に僅かに見える夜空を見上げた。
一番星が輝いている。
「シャナイ隊長!ここへおられたのですか。探したんですよ!」
彼を呼びに来た一人の兵士が、路地裏で一人空を見上げる奇妙なシャナイに声をかけた。
「あぁ…すまない。兵士集合だな」
その次の瞬間。
突然、兵士の頭が、兜ごと吹き飛んだ。
「!!」
これには、シャナイもさすがに驚いた。
首を失った兵士は、ゆっくりと仰向けに倒れる。
「王様を殺るなんて俺もずいぶん美味しい役を持ったねー」
シャナイは、直ぐ様振り返りつつ剣を引き抜いた。
背後には…道化師のような男、リューガが立っていた。
シャナイは剣を構えつつゆっくり後ずさる。もう既にこいつが只者ではない事に気づいていたのだ。
「お前か…。さっきから僅かにだが強い力を感じていた。ただ強いだけじゃない。邪悪な、とてつもなく邪悪な…」
リューガは帽子から僅かに出た黒髪を帽子にしまい、黄色の右目と水色の左目でシャナイを凝視する。
シャナイはリューガに切りかかる!
だが、剣はリューガをすり抜けてしまう。
どうやらここにいるリューガは幻覚のようだ…。
本体は、別の場所にいる。
今までこの手の敵は多く相手してきたシャナイだが、はっきりと力を感じられる幻覚を出す敵などはじめて遭遇した。
こいつが只者ではない事を再確認し、剣を下ろす。
リューガの幻覚は彼を鼻で嘲笑った。
「ひとつ聞かせろ。何故陛下を殺した?」
「簡単な事さ。何となく」
予想外の返答に、シャナイは僅かに声を荒げる。
「真面目に答えろ。何故だ」
「だから何となくって言っただろ?人を殺すのに深い理由がいるか?別に楽しい訳じゃないけどさ、何か殺したくなる時ってあるじゃん?」
シャナイの剣を持つ手が震える。
リューガの幻覚は、そんな彼を見てますます楽しんでいるようだった。
そして、更なる追い討ちを彼に決めてくる。
リューガの幻覚が指を鳴らすと、その場に白い光が集まり、何かが現れる!
「…!」
シャナイの目の前に現れたのは…光姫だった。




