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ワンダーワールドⅡ  作者: 白龍
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堕ちたれな 絶望の乱

「…バカな事を…!」

冷静な影姫が、一気に口調を変えた。黒姫もツインテールを激しく揺らしてあたふたと慌てている。


れなは、リューガの横についてしまった。

無機質で、光を失った目で。

解放された葵と粉砕男は、最悪の展開に口を開く。

「れ、れな…!」

「お、俺達が捕まりさえしなければ…」

粉砕男が、地面を殴って悔しさを叩きつけた。

必死に声をかける二人。

「れな!聞こえる!?」


やはり…れなには聞こえていない。




その目はひたすら光がなく、地面だけを見つめていた。

リューガは進んできたこの「ゲーム」に心を踊らせる。

「れなゲット~。さてそろそろメインイベントといくか?」

リューガの笑みは、凶悪そのものだ。


リューガは右手を掲げ、何かを念じた。


同時に、れな、ドクロ、ラオン…洗脳された皆がお互いを睨みあい、それぞれ構える。

そして、低空飛行で一気に接近しあい、戦いを始めたのだ。

突然殴りあいだした皆に、粉砕男と葵は一瞬困惑した。

冷静な二人はすぐにリューガの目的を察する。


(こいつ、れなたちを殺しあわせる気だ…)


葵が迷いなくリューガに散弾銃を向け、発砲する!

リューガは念じたまま弾丸を全てかわし、見向きもしなかった。


「くっ…弾切れ!」

弾切れに陥った葵は引き金を三回ほど引き、こうなればとリューガに殴りかかる!

弾をかわせば打撃などただの棒切れをかわすのも同然だろう。一つ一つの打撃を的確にかわし、反撃も完璧だ。

葵の腹部に膝蹴りをお見舞いし、葵は大きく息を吐いて前のめりに。圧倒的な強さに驚きつつ、葵は殺しあう仲間たちの姿を見た。

「どうすれば…」

このまま仲間が死に絶えるのを見ているしかないのか…!?


戦いは…暴走していたラオンが優勢だった。

粉砕男が止めに入ろうと走っていくが、ラオンは彼を蹴飛ばして彼にも敵意を向ける。


一方でドクロは粉砕男には攻撃しようとしなかった。


…かつての記憶が、僅かながら残ってるのかもしれない。


「ドクロちゃん…。俺の事を覚えてるのか?」

粉砕男はラオンを殴り飛ばしつつ、ドクロに向かっていく。ドクロは、やはり無機質に粉砕男を見つめていた。


「駄目!!」

粉砕男を引き止める者がいた。

振り替えると、そこには粉砕男の体を押さえて動きを止める黒姫が。黒いツインテールが、粉砕男の岩のような肌に当たって揺れている。

「今の彼女はただの操り人形。あんたの事なんて覚えてる訳ない!」

これがれなだったら振り払ってるかもしれないが、粉砕男はドクロの無機質な目を見て改めて納得した。


その時…。



「ぐあっ!」


激痛に呻く、高い声がした。



粉砕男が驚愕する。






ドクロが、ラオンに剣で背中を刺されていたのだ。





血が飛び散り、粉砕男とラオンの顔に赤い血が張り付く。

ドクロは膝をついてうつ伏せに倒れ、ラオンは剣をわざと抉るように抜く事で深い切り傷を刻む。






粉砕男も膝をついた。







「お、おい、ドクロちゃん…」




ドクロは、動かなくなった。








歯を食い縛り、ラオンを睨む粉砕男。



「ラオン…!」


粉砕男は、実に悲しい気持ちに襲われた。


そんな彼の背後から、容赦なくれなが掴みかかって来る!

粉砕男は彼女を振り払い、葵に向かって震える声でこう叫ぶ。

「今は不利だ!撤退するぞ!」

葵は、戸惑いつつも頷いた。彼女もまた、倒れたドクロを見つめていたのだ。


二人で並んで逃げつつ、葵はれなとラオンを見る。

「必ず助けるからね…。だから、もうこれ以上は…!」

粉砕男は、リューガを強く睨み付ける。

「…必ず倒してやる」


森から抜け、二人は隣町と森を繋ぐ草原で、暗い夜空を見上げていた。


「二人を助ける方法はないのか…」

粉砕男は希望を捨てていない。だが、やはり絶望感は僅かながらもあった。

それは葵も同じだ。

とにかく、今は安全な隣町へ行き、町の人々にこの事を伝えなくてはならない。

二人は隣町へと向かった。

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