残酷な運命 れなの涙
地上に降り立ったれなは、変わり果てたドクロとラオンを見た。
「…」
直後、れなは葵と粉砕男の間に入った。
「れな、どういう事だ?二人に何が起きてる?」
冷静な粉砕男は落ち着いた口調でれなに聞く。
れなは丁度それを知らせにやって来たのだ。
「二人は何かに操られてる可能性があるよ」
「なに!?」
粉砕男と葵の二人が声を揃える。
とは言え、そこまで衝撃は受けていなかった。
あの二人が、突然こんな豹変を見せるなど、まず有り得ない事。長年仲良く過ごしてきた二人は、どうも何かおかしいと薄々気づいていたのだ。
「さすがだな」
怪しい声がした。
また乱入者だ。
驚いて振り替えると、そこには全ての元凶が、一同のなかで最も緊張感のない態度で石に座っていた。
「…!リューガか!」
リューガは、馬鹿にしたように手を振りながられなたちに顔をみせた。
気づくとドクロとラオンは動きを止めている。
…やはりこの男の仕業で間違いなさそうだ。
「やあ皆さん、お揃いでぇ」
ふざけた笑顔を保ったまま軽く帽子をとり、ボサボサの髪を見せてくる。
れなはもう既に憎しみに顔を歪ませていた。
「リューガ…!私達を同士討ちにして全滅させようとしてたみたいだね…どこまで卑劣なの!!」
「卑劣?俺はただそいつらにこれを植え付けただけだ」
リューガはポケットから黒い結晶を取り出した。
結晶は日光で僅かに白い光を放ち、電気のようなオーラを纏っていた。
結晶自体は小さいが、そこから放たれる絶大な力はれなたちの足を僅かに震わせる程。
リューガはれなたちが問う前に説明した。
「これは悪の結晶。悪の力が集まって誕生した、文字通り悪の化身さ」
ラオンたちはこの悪の決勝を植え付けられて暴れているらしい…。
こんな禍々しいものを植え付けられてしまったら確かにここまで変貌するのも納得が行く。
とにかく二人を元通りにしなくてはならない。
「ラオンとドクロちゃんをかえせー!!!」
れな、葵、粉砕男の三人が、リューガに襲いかかる!
もはやフェアな戦いにこだわってる場合じゃない。こいつを放っておけば、世界は壊滅するだろう。
三人の鋭い拳の突きが、無数の槍の如くリューガに襲いかかる!
しかしリューガは何の無駄もない動きでその攻撃をその場から動く事なく、上半身だけを動かして回避する。更に速度をあげて突きを放つ三人だが、掠りすらしない。本当にここにいるのかと疑ってしまうほどに当たらないのだ。
リューガの表情は余裕そうだ。彼の次元にはまだまだ届かないという事なのか?
避けながらリューガはラオンたちを指差した。
「お前ら、俺よりあいつらを狙うべきじゃないのか?」
振り替える三人。
そこには、既にこちらに飛びかかる体制をとっている二人がこちらを睨んでいた。
「やばい!」
二人が飛びかかる前に、何とか跳ねて回避する。
案の定二人はロケットのような勢いで飛び込み、こちらに体当たりを仕掛けてきた!
かわされた事を瞬時に理解し、空中に跳び跳ねたれなたちに狙いを定めて再度向かってくる!
伊達に戦ってる訳ではない。
れなたちは両手を構える事で二人の体当たりの衝撃を和らげ、その隙に蹴りをぶちこむ!
地面に飛んでいく二人を見届け、れなたちは再度リューガに向かう。
リューガは相変わらず煽るような口調で発する。
「そいつらはもう元に戻せない。説得してみろ?面白いぐらいに周りの言葉が聞こえないからな」
歯を食い縛り、ドクロに掴みかかってれなは必死に声をかけた。
「ドクロちゃん!ドクロちゃん!!」
ドクロは、容赦なくれなの腹を蹴飛ばした。
痛みに耐えつつ、緑の目でドクロの赤い目をまっすぐ見つめるれな。
再度肩を掴み、心の底から叫ぶ。
「聞こえてるんでしょ!目を覚ませ!!」
今度はれながドクロの頬を殴り付けた!
ドクロは…やはり何も反応はない。
「ドクロちゃん!ドクロちゃん!!おい!!」
そんなれなを、ラオンが真横から無慈悲に殴り飛ばした。
近くにあった岩石に頭をぶつけるれな。
痛みと悲しみに、うっすら涙を浮かべていた。




